RIZINで最も勢いのある男となったクレベル・コイケ(ブラジル/日本)が、大晦日『RIZIN.40』の「RIZIN vs. Bellator(ベラトール)MMA全面対抗戦」で、Bellator最強の男パトリシオ・ピットブル(ブラジル)を迎え撃つ。
故郷から遠く離れた日本の地で苦難の日々を過ごし、MMA業界の注目スターの座にのし上がってきたコイケのプロフィール・戦績・経歴について紹介する。
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2022年の大晦日の夜、『RIZIN.40』で、『RIZIN』の強豪たちが『Bellator』の強豪たちと究極の戦いを繰り広げることになる。この5 vs. 5の対抗戦には、クレベル・コイケ(ブラジル、ボンサイ柔術)という日系ブラジル人トップファイターが登場する。現RIZINフェザー級チャンピオンであるコイケは、ノンタイトル戦で現Bellatorフェザー級チャンピオンのパトリシオ・"ピットブル"・フレイレ(ブラジル、ピットブル・ブラザーズ)と対戦する。この注目カードは日本のさいたまスーパーアリーナで行われる。(画像:RIZIN FF)
10代でブラジルから日本にわたり、苦難の日々を経てMMAの世界で成り上がってきたコイケは、RIZINフェザー級タイトルを獲得してもなお、さらなるレベルの高い試合を求めていた。同大会発表会見の場で感謝とともに意気込みを語った。
「このような機会を与えていただき、本当にありがとうございます。今回、高いレベルで戦う機会を与えてくれたBellatorに感謝します。今は少し緊張していますが、皆さんを失望させないような良い試合をすることを約束します。良い試合をするために全力を尽くします。RIZINのファンの皆さん、応援よろしくお願いします」
33歳のコイケは、世界のMMAシーンのなかで自身を注目させることができるところまで実力で這い上がってきた。彼は2008年のデビュー以来、長い道のりを歩んできたのだ。スポーティングニュースはパトリシオ・フレイレ(RIZINの公式呼称は「パトリシオ・ピットブル」)の対戦相手となるコイケが、明日をも分からぬヤングボーイからRIZIN切ってのライジングスターとなった経緯について紹介する。
クレベル・コイケ:ブラジルから日本にわたり苦節14年、RIZINトップスターとなった苦労人
33歳のブラジリアンは、14歳の時に家族で出稼ぎのため、日本に移住した。18歳の時、リーマンショックにより両親はブラジルに帰国したが、コイケ自身はそのまま日本に残った。両親と離れたことで荒んだ生活も送ったが、格闘技に専念するため、様々な肉体労働の仕事で生計を立てていた。
コイケは、「警備をしたり、建設作業をしたり、稼ぎに使えるものは何でもやったよ」と2018年に『MMA Junkie』から取材を受けた際に語っている。
「ビーチを掃除したり、ゴミ拾いをしたり、試合に出場するのためのお金を稼ぐために言われたことは全部やった。2週間後に大会があると知ったら、仕事を頼むんだ。それで契約金(エントリーフィー)を払っていたんだ。今となっては、家族も、最初から味方をしてくれた友人たちも、私が自身の夢にこだわることに対してとても頑固だと呆れたように言います。多くの人はもう(成功はできないと)諦めていたでしょうから」
2004年、日本での苦しく荒んだ生活のなかで出会ったのが、静岡県浜松市で「ブルテリア格闘技ジム(ボンサイ柔術日本支部)」を立ち上げたソウザ3兄弟の長兄マウリシオだった。同い年の盟友となるホベルト・サトシ・ソウザがまだ来日する前のことだ。ソウザ兄弟とともに技を磨き、2008年にMMAプロデビューを果たしたコイケは、『DEEP』、『HEAT』、『REAL』、『Rebel FC』といった日本や中国の格闘技団体で戦ってきた。2015年にポーランドで『KSW』のフェザー級グランプリを制し、キャリア最初のブレイクを迎えるも、同年12月、空位のKSWフェザー級王座決定戦に挑むも、アルトゥール・ソウィンスキに敗れた。
これで14戦無敗の記録が途絶えたものの、コイケは諦めなかった。2017年にマルチン・ロゼクに判定で勝利し、KSWフェザー級王座を獲得するなど、6連勝を達成したのだ。その後、ソウィンスキとのタイトルマッチでは体重超過によってベルトを剥奪されたが、試合には勝利した。だが、MMA業界のなかでは、まだまだマイナーな存在でしかなかった。強すぎる故に、日本国内で対戦を忌避されたという逸話もある。
2020年、ようやく『RIZIN』参戦にこぎつけたコイケは、これまでのジャーニーマン(流しの職人)として数々の団体を渡り歩き、研鑽してきた実力を発揮していく。RIZINデビュー戦となった同年大晦日大会でカイル・アグォンを難なく撃破すると、翌2021年3月には摩嶋一整も絞め落とした。
そして、コイケの名と実力を広く世間に知れ渡らせることになったのが、同年6月。RIZINのエース・朝倉未来と東京ドームという最大級の舞台で対戦。コイケはプロでは判定負けしか許していなかった朝倉を初めて三角絞めで失神に追い込み、一本勝ちを収めた。この勝利は、MMA業界に大きな衝撃を与えるとともにコイケが積み上げてきた努力と実力が開花した瞬間だった。盟友のホベルト・サトシ・ソウザもそうだったが、RIZINという舞台で世界に注目される存在となった。
その後もコイケは、元UFCファイターの佐々木憂流迦や萩原京平を難なく退け、2022年10月の『RIZIN.39』で、満を持してフェザー級タイトルに挑戦。王者の牛久絢太郎を三角絞めで仕留め、新王者に登りつめた。しかもRIZIN登場以来、すべて一本勝ちでの6連勝。キャリア通算では7連勝中だ。
ボンサイ柔術一派のなかでは、ホベルト・サトシ・ソウザが打撃にも強みを持つのに対し、コイケは寝技に絶対的な自信を持つ。リアネイキッドチョーク、腕ひしぎ十字固め、ダースチョーク、三角絞めで多くの対戦相手を絞め落としてきた。その数は、31勝中27勝に及ぶ。14年のプロキャリアでほとんど勝ち続けてきた実力は伊達ではない。
そんなグラウンドマスターたるコイケが大晦日に迎え撃つのは、Bellatorが誇るハイパーオールラウンダー、パトリシオ・ピットブル・フレイレだ。とにかく穴がないパトリシオに対して、コイケが自慢の寝技で攻めきれるのか。朝倉未来との再戦が囁かれた際には、「目指すレベルが違う」として、新たな次元へと進むことを明言したコイケが、世界に挑む雄姿に期待したい。
クレベル・コイケ:プロフィール・戦績
- 名前:クレベル・コイケ・エルベスト(Kleber Koike Erbst)
- 出身地:ブラジル(日本在住地は静岡県)
- 生年月日:1989年10月16日(33歳)
- 身長:178cm
- リーチ:183cm (72in)
- 体重:66.0kg(フェザー級)
- 所属:ボンサイ柔術
- MMA総戦績:31勝5敗1分(うちRIZIN戦績6勝0敗)
- MMAタイトル歴:
- Rebel FCフェザー級グランプリ優勝&Rebel FCフェザー級王座
- 第3代KSWフェザー級王座
- 第3代RIZINフェザー級王座
原文:Who is Kleber Koike Erbst? Record, bio of MMA star and RIZIN champion
翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部
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