超RIZIN.3|マニー・パッキャオvs安保瑠輝也の対戦実現/鈴木千裕から変更の経緯・タイムライン|7.28 さいたまスーパーアリーナ

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

井熊知也 Tomoya Ikuma

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超RIZIN.3 マニー・パッキャオ vs 安保瑠輝也

7月28日に開催される『超RIZIN.3』(スーパーライジン3)で、ボクシング元世界6階級(一部では8階級とも)のレジェンド、マニー・パッキャオが、約1年8か月ぶりにファイターとしてリングに立つ。当初は、現RIZINフェザー級王者の鈴木千裕(すずき・ちひろ)とのマッチアップとして発表されたが、鈴木の負傷により安保瑠輝也(あんぽ・るきや)に変更された。

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パッキャオの最近の動向や、鈴木戦の決定から安保への変更までの顛末をタイムラインで追った。同大会はABEMA(アベマ)U-NEXT(ユーネクスト)などでPPV配信される。


■目指すは現役復帰? マニー・パッキャオの最近の動向

今年の6月に『RIZIN.47』のリング上にて、今夏7月28日に開催される『超RIZIN.3』に参戦することが正式発表された元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ。パッキャオはこれまで2度現役引退を表明しており、直近では、2021年9月にフィリピン大統領選挙への出馬表明と同時に、「さようならボクシング」と現役引退を宣言していた。

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2022年5月の大統領選敗退後、現役復帰が囁かれる中、同年11月に韓国で行われた武術系YouTuberとのエキシビションマッチ以来、選手としてリングに立っていない。

その後、2022年12月31日の『RIZIN.40』にパッキャオが登場し、RIZINとの契約が発表された。「70kg以下の選手を募集する」というパッキャオの対戦相手として、RIZINの榊原信行CEOは「世紀のリマッチ、来年フロイド・メイウェザーと戦いませんか?」と提案。この一連の発表により、メイウェザーとの『世紀の再戦』がRIZINの舞台で実現する可能性が浮上。パッキャオも「準備はできている」と前向きに応じていた。

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『最初』のパッキャオvsメイウェザーは、2015年5月に聖地ラスベガスで行われ、メイウェザーが判定勝利を収めている。この試合の総興行収益は約600億円以上とも言われており、ボクシング史に残るメガマッチとなった。

だが、それから『世紀の再戦』プランは音沙汰なく、パッキャオのRIZIN参戦も事実上棚上げとなっていた。

そして、重大発表が予告されていた2024年6月9日の『RIZIN.47』にて、パッキャオがサプライズ登場すると、『超RIZIN.3』のリングで、現RIZINフェザー級王者の鈴木千裕とボクシングに準じた「RIZINスタンディングバウト特別ルール」で対戦することが電撃発表された。

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ところが、この発表からわずか19日後の6月28日、まさかの事態が起きた。『超RIZIN.3』開催1か月前にして、6月23日のKNOCK OUT代々木体育館大会で行った五味隆典とのボクシングマッチで、鈴木が右拳を骨折。パッキャオの『RIZINデビュー戦』の相手が、当初の鈴木から、第4代K-1 WORLD GPスーパーライト級王者の安保瑠輝也に変更になった。

この事態を受けてパッキャオは、「相手が変わったと聞いたが、もちろんノープロブレムだ。ファイターには怪我は付き物だ」と述べ、代打の安保に対しては「君にはボクシングは崇高でファンタスティックで、そして何よりも難しいことを教えよう」と警告した。

パッキャオが日本で試合を行うのは、1998年5月の寺尾新戦(後楽園ホール)以来であり、今回約23年ぶりとなる。対戦相手の変更はあったが、RIZINファンはもちろん、ボクシングファンからも注目を集める試合になるだろう。

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また、米ボクシング専門メディア『ボクシング・シーン』は、日本時間6月9日にパッキャオが現役復帰を検討中であり、WBA世界ウェルター級暫定王者マリオ・バリオスとの対戦プランが進行中だと報じた。これについてパッキャオは、まだ交渉段階にあり、実現するにはもう少し時間がかかるが、もし実現するなら今年の11月か12月になる可能性があると伝えた。

パッキャオは、安保戦を単なる練習試合としてしまうのか、この点でも見ものとなる。

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■パッキャオvs鈴木決定から安保代打抜擢までのタイムライン

  • 2024年3月8日:キック団体「KNOCK OUT」の若手登竜門リアリティ番組『THE KNOCK OUT FIGHTER』のコーチとして、鈴木千裕と五味隆典がそれぞれ就任。6月23日に大将戦としてボクシング準拠ルール対決を行うことを発表。
  • 2024年4月29日:『RIZIN.46』で鈴木が金原正徳を1R KOに沈め、RIZINフェザー級王座を初防衛。
  • 2024年6月9日:『RIZIN.47』で、7月28日開催『超RIZIN.3』でのマニー・パッキャオvs鈴木によるボクシングルール準拠マッチを発表。
    • 同日:パッキャオがWBA世界ウェルター級暫定王者マリオ・バリオス相手の現役復帰戦交渉中との海外報道。鈴木戦を本格復帰前の『練習試合』にするのではという憶測も。
  • 2024年6月19日:五味が23日のKNOCK OUT代々木体育館大会に向けて練習を公開。五味は、鈴木vsパッキャオ戦が後出しで決まったことに怒りをにじませ、「今回はスパーリングじゃないからね。アゴが折れてもパッキャオと出来るならやってみろ」と豪語した。
  • 2024年6月23日:KNOCK OUT代々木体育館大会、鈴木vs五味は3分3Rの末、ドロー決着。師弟対決を終えた五味は、「あのパンチはパッキャオさんには当たらないんじゃないかな」と苦言。
    • 同日:鈴木vs五味戦を受けて、鈴木と因縁深い平本蓮は、「シンプルに鈴木千裕はMMAがあってるよ」「俺と朝倉未来に格闘タレントと罵るなら、(似たような方向性になる)パッキャオ戦受けるべきではないと思う、MMAやろう」と諭した。
    • 同日:鈴木負傷の噂を受けてか、安保瑠輝也がパッキャオ戦代打出場を表明。
  • 2024年6月24日:鈴木の所属ジム代表の山口元気氏が「(五味との)試合前から拳を痛めていた」と明かし、パッキャオ戦オファー時点でジム代表として難色を示すも、鈴木本人の希望を尊重したと告白。改めて親心としてはやるべきではないとしたことで、鈴木のパッキャオ戦撤退が現実味。
    • 同日:木村『フィリップ』ミノルが、パッキャオ戦の代打出場を表明。
  • 2024年6月28日:RIZINが緊急記者会見を行い、鈴木が五味戦で全治4か月の右拳骨折を負ったため、安保が代打出場すると発表。意気消沈の鈴木は「ファンのみなさん本当にすみません。代打を務めてくださった安保選手ありがとうございます」と右拳に包帯を巻いた状態で謝罪、安保にも頭を下げた。安保は「鈴木選手の無念の気持ちもオレが背負って本当に勝つ気で挑もうと思っているので応援お願いします」と意気込んだ。
  • 2024年7月20日:最終記者会見に安保のみ登壇。減量は「あと5.5kgくらい。いつも1週間で7kgくらい落とすんですけれど、それよりはペース的にいい感じ。コンディションを落とさずにいけたら、マジで自分が勝つと思っています」と豪語。パッキャオのWBA世界ウェルター級タイトルマッチが内定したことについては、「(今回の試合は9月の復帰戦に向けて)12R戦うスタミナとかメンタルとかモチベーションを全部作ってきているってこと。今も第一戦で戦おうとしている選手なので、そういう選手と戦えることに新しい自分の扉とか道が見えてくる」として、むしろ歓迎だとした。

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■代役の安保瑠輝也の最近の動向

榊原CEO曰く「二つ返事で」このパッキャオ戦を引き受けた安保は、第4代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者の肩書を持つキックボクシング出身ファイター。2023年5月のRIZIN移籍初戦でムエタイレジェンドのブアカーオと接戦のドロー経験後、9月には宇佐美正パトリックに3-0判定勝ちで貫禄を見せたが、大晦日のMMA転向初戦では同じK-1出身者の久保優太に一本負けを喫した。

MMA転向でいきなり挫折を味わった安保だが、6月2日に朝倉未来がCEOを務める『Breaking Down 12』で、因縁のスダリオ剛に見事判定勝ち。44kgの体重差を乗り越えての大きな勝ち星だった。

フェザー級の鈴木から、RIZINではライト級(約70kg)で戦う安保に変更されたことで、パッキャオ戦の契約体重は、68kgから69kgに変更。安保は会見で現在の体重が78~79kgであることを明かしており、残り1か月で約10kgの減量を求められることとなった。減量について安保は「(計量失敗は)大丈夫です! 100%ないです! 計量失敗するときは格闘家をやめるときだと思っているんで」と覚悟を示した。

発表会見の最後で安保は鈴木と握手を交わし、「オレがさいたまスーパーアリーナの天井に穴が開くくらいの『稲妻』を落とすんで」と拳を合わせ、代役として『稲妻魂』も引き継いだ。

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■超RIZIN.3 対戦カード(試合順確定)

  • メインイベント(第11試合):RIZIN MMA特別ルール 5分5R(66.0kg)
     朝倉未来 vs 平本蓮
  • セミ(第10試合):RIZINスタンディングバウト特別ルール 3分3R(69.0kg)
     マニー・パッキャオ vs 安保瑠輝也(※鈴木千裕は拳の怪我により欠場)
  • 第9試合:RIZIN MMAルール 5分3R(66.0kg)
     斎藤裕 vs 久保優太
  • 第8試合:RIZIN MMAルール 5分3R(57.0kg)
     扇久保博正 vs 神龍誠
  • ─────── 休憩 ───────
  • 第7試合:RIZIN MMAルール 5分3R(59.0kg)
     所英男 vs ヒロヤ
  • 第6試合:RIZIN MMAルール 5分3R(61.0kg)
     芦澤竜誠 vs 皇治
  • 第5試合:BKFCフライ級 ベアナックルルール 2分5R(57.2kg)
     ジョン・ドッドソン vs 征矢貴
  • 第4試合:RIZIN MMAルール 5分3R(49.0kg)
     RENA vs ケイト・ロータス
  • 第3試合:RIZIN MMAルール 5分3R(66.0kg)
     鈴木博昭 vs YA-MAN
  • 第2試合:BKFCフライ級 ベアナックルルール 2分5R(57.2kg)
     タイ・エマリー vs チャリーサ・シガーラ
  • 第1試合:RIZIN MMAルール 5分3R(66.0kg)
     新居すぐる vs 摩嶋一整

※上記カードは、大会運営の都合や選手の体調等の理由で変更される可能性がある。


超RIZIN.3:概要(日程・会場)

  • 正式大会名:Yogibo presents 超RIZIN.3
  • メインイベント:朝倉未来vs平本蓮
  • セミファイナル:マニー・パッキャオvs安保瑠輝也
  • 開始時刻:2024年7月28日(日)12:00開場(予定)14:00開始(予定)
    ※上記時間は大会運営の都合で前後する
  • 試合会場:さいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市)


⬛放送予定(テレビ中継・インターネット配信)

通常大会と同様であれば、ABEMAU-NEXT、RIZIN 100 CLUB、RIZIN LIVE、スカパー!(スカパー!番組配信)で、PPVライブ中継される。

ネット配信系は前売り税込6500円、当日税込6900円、アーカイブ税込4400円。スカパー!は税込6900円。プラットフォームによっては独自の割引施策が実施される。

ABEMAは、有料会員(ABEMAプレミアム)初回登録の上でのPPVチケット購入で4000円がキャッシュバックされる。また、朝倉未来、平本蓮の応援チケット(前売り/当日)も販売する。なお、ABEMAプレミアムの2週間無料トライアルは7/22から撤廃された。

U-NEXTは、キャンペーンページからの有料会員初回登録(31日間無料)で、4000円がキャッシュバックされる。初回登録の600ポイントとあわせて計4600円オフになり、業界実質最安値となる。

テレビ地上波や衛星放送WOWOW(ワウワウ)、また、DAZN(ダゾーン)、Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)、SPOTV NOW(スポティービーナウ)、TVer(ティーバー)、Lemino(レミノ)といったスポーツ配信実績のあるサービスでのライブ配信予定はない。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

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スポーティングニュース日本版でアシスタントエディターを務める。大阪府茨木市出身。大学を卒業後、2020年にキックボクサーとしてプロデビューを果たす。引退後、格闘技に関連する情報を発信するために個人ブログを立ち上げる。ライターとしては主に格闘技をメインに扱い、目まぐるしく変化する格闘技の世界において、最新情報を追い続ける元プロ格闘家ライター。