現地時間6月10日、女子ボクシング界の大物クラレッサ・シールズ(米国)が初の総合格闘技デビューを果たした。1、2ラウンドで苦戦しながらも3ラウンド目で逆転TKOを決めた。
シールズは、2012年ロンドン五輪、2016年ロンドン五輪のボクシング女子ミドル級を制し、男女含めて史上初の2大会連続金メダルを獲得。プロ転向後には女子スーパーウェルター級で主要4団体統一、同ミドル級でも主要4団体統一、同スーパーミドル級では2団体統一の上で3階級制覇を達成した。自ら"GWOAT(Greatest Woman of All Time)"を名乗るのも頷ける実績と実力を持つ。
かねてからUFC女子フェザー級、同バンタム級の二階級王者で知られる女子MMAトップファイター、アマンダ・ヌネスとの対戦に意欲を見せていたが、2020年末にMMA転向を決意。UFCのレジェンドであるジョン・ジョーンズとホリー・ホルムのもとでトレーニングを開始した。特にホルムは、シールズと同じく女子ボクシング世界王者からMMAに転向してUFC王者になった人物であり、メンターとして適任だった。
7ヶ月間のトレーニングを経て、現地時間6月10日、米国ニュージャージー州アトランティックシティのオーシャンカジノでMMAデビューとなったシールズだが、キャリア12年のブリタニー・エルキンはなかなかに手強い相手だった。
1ラウンド目、ブラジリアン柔術をベースとするエルキンは、ムエタイ流のキックを散らしてシールズを牽制しつつテイクダウンを奪うと、ケージのフェンスに押し込んだ。シールズが盛り返した場面もあったが、ほぼマウントを取られた状態でガードに徹するほかなかった。
Claressa's hands are dangerous!#2021PFL4
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2ラウンド目開始直後、仕切り直しを狙うシールズがコンビネーションからの右ストレートを繰り出すものの、ムエタイ流の上体を後ろに反らせたフォームのエルキンには有効打が入らない。エルキンのタックルをこらえるも、経験不足かここから追撃に移れず結局グラウンドに引きずり込まれてしまった。シールズは1ラウンド同様、下の体勢で耐える形でほとんどの時間を消費することになったが、終了20秒前に抜け出し、最終ラウンドに向けて良い流れを掴んだ。
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最終ラウンド、明らかに動きが鈍くなったエルキンは打撃を嫌がりタックルに行くが、シールズはしっかり首を押さえ込んだ。亀の状態となったエルキンは、シールズの腿を両足と腕で巻き込んだものの、シールズにとってはパウンドを打ち下ろす好機となり、1分44秒、そのままTKOで逆転勝利を奪った。
1、2ラウンドで経験不足を露呈し、女子ボクシング界最強のパンチを封殺されたものの、最終的にはそのパンチで白星デビューを飾ったシールズ。自身の今のMMAファイターとしての立ち位置を自覚しているのだろう。試合直後のインタビューで「私は不利な立場にあることを知っていました」と話した。
シールズは、あくまでボクシングの世界王者であると同時に、MMAの世界王者になることを目標としている。女子MMAの頂点に立つヌネスとの対戦が実現するまでには、まだまだ乗り越える試練がありそうだ。
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