亡くなった盟友の魂とともに闘い続けるイスラエル・アデサニャ【前編】

Brendan Bradford

亡くなった盟友の魂とともに闘い続けるイスラエル・アデサニャ【前編】 image

イスラエル・アデサニャがUFCで最もエキサイティングなファイターのひとりでであることを証明するのに必要だったのはわずか9分だった。そして総合格闘技界で最もカリスマ性溢れる人のひとりであることを証明するのにも1分とかからなかった。

▶スポーツ観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

近年最も期待されていたデビュー戦のひとつとなったUFC 221での試合で、アデサニャはあらゆる攻撃を駆使してロブ・ウィルキンソンの心を折り、TKO勝利したのだ。

彼は自身のファイトを「Cか良くてもCプラスくらい」と評価したが、レフリーのスティーブ・パーシバルが試合を止める必要があるほどの圧倒的なものだった。

アデサニャは盛り上がる観客に応えながら、ジョン・アニックからマイクを受け取ると「プレッシャーはない。プレッシャーはダイヤモンドを生み出すんだ」と話した。

「ミドル級の奴らに告ぐ。新たな犬がやってきたぞ。そしてたったいまこのリングにマーキングしまくってやった」。

そう言い放つと、アデサニャはオクタゴンをあとにし、踊りながらアリーナを去っていった。

それはとても楽しく、派手で、惹きつけるものがあったのだ。

 

The @stylebender has arrived. Superstar. #UFC221

Brendan Bradfordさん(@1bbradfo)がシェアした投稿 -

しかし裏ではまた違った一面を見せていた。スポットライトを外れ、観客から遠ざかると、その状況の強大さをようやく実感したのだ。

シティ・キックボクシングでのコーチであるユージーン・ベアマンの肩に手を回したアデサニャは、「俺たちは約束を果たした」と涙を探しながら話し、ロッカールームへと下がっていった。

「俺たちは約束を果たしたんだ」。

2015年、アデサニャの親しい友人でありトレーニングパートナーでもあったジェイミー・“VDK”・ヴァンデルカウがニュージーランドの農場で起きた事故に巻き込まれ、帰らぬ人となった。彼の他界はニュージーランドの総合格闘技界にとって悲劇となり、アデサニャは試合後に彼のことを考えていたのだ。

後編へ続く

Brendan Bradford