ジョン・ジョーンズが輝かしい2010年代に入る直前の2009年12月、MMA史上最悪の誤審と呼ばれる出来事が起こった。マット・ハミルと対戦したジョーンズが放った肘打ちがレフェリーのスティーブ・マザガッティによって反則とされ、ジョーンズは反則負けとなってしまったのだ。この不運な出来事にかかわらず、多くの人はジョーンズが近い将来このスポーツで絶対王者になることを予期した。そして、彼らは間違ってはいなかった。
現在32歳のジョーンズは2010年代の10年間で16勝0敗1ノーコンテストの戦績を残し、そのうちの8勝は接近戦によってもたされた。UFC世界ライトヘビー級王座を3回獲得している。2011年3月のUFC128では、僅か6週間前に決定したマウリシオ・“ショーグン”・フアとの対戦に挑み、3ラウンドTKOで下して、王座を獲得した。それ以降、MMAでは”Bones”ジョーンズの時代が続いている。
ジョーンズはただ勝つだけではない。試合開始のゴングが鳴ってから試合が終わるまで、常に相手を圧倒するような戦い方だ。フアを破った後、4人のUFC世界ライトヘビー級チャンピオンたち、クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン、リョート・マチダ、ラシャド・エヴァンス、ビクトー・ベウフォートを立て続けに下している。ジョーンズはダニエル・コーミエ、チェール・ソネン、アレクサンダー・グスタフソン(2回)という好ファイターにも勝っている。
この10年間のジョーンズは数々の私生活上のトラブルとも無縁ではなかった。飲酒運転で逮捕され、当て逃げ事件を起こし、暴行容疑で訴追もされている。さらに、ドーピング検査にも2回抵触し、出場停止処分も受けるなど、常に悪しき話題の中心にある。
こうした出来事があっても、ジョーンズがオクタゴンの中で成し遂げたことは否定できない。2010年代にジョーンズが見せた圧倒的なパフォーマンスは彼を総合格闘技界の有望株から史上最強のファイターの地位にまで押し上げた。
これらの業績により、スポーティングニュースはジョン・ジョーンズを2010年代MMA最高男子選手に選出した。
次候補選手:ダニエル・コーミエ、デメトリアス・ジョンソン、コナー・マクレガー
数字で見るジョン・ジョーンズ
― ジョーンズの2010年代の戦績は16勝0敗1ノーコンテストだった。
― その17試合のうち14 がタイトルマッチだった。
― UFCライトヘビー級チャンピオンのベルトを8回連続で防衛した。
他からの評価
「ジョン・ジョーンズはいつも安定している。常にベストバウトだ。彼がライトヘビー級で倒してきた顔ぶれを見たらわかるだろう。特にダニエル・コーミエを2回も破っていることは信じがたい。コーミエは信じられないほど強いからね」 - ダナ・ホワイトUFC社長
「ジョン・ジョーンズが最強であることに疑いの余地はないよ。それも史上最強だと思うよ。ケージの中に入ると、彼はダイナミックだ。しっかりした技術もある。だが何よりも彼は最強のファイターなのさ」 -かつての対戦相手でもありトレーニング・パートナーでもあるラシャド・エヴァンス
次の10年を担うのはイスラエル・アデサンヤ
ジョーンズがかつてそうだったように、UFCでのキャリアが始まったばかりのアデサンヤには何か特別なものがあるように感じられる。ケージの中でのアデサンヤの滑らかな動きと対戦相手を倒す鮮やかさには息をのむものがある。UFC参戦後わずか20か月でミドル級チャンピオンになり、現在の総合格闘技界においてベストファイターの1人として見られている。
30歳のアデサンヤは圧倒的な成績を残してきて、既にジョーンズとのスーパーファイトも噂に上っている。もしジョーンズに勝つようなことがあれば、彼が健康でいる限りは、”Last Style Bender”の異名をもつアデサンヤこそが次代のMMAを担う存在であることに疑いを抱くものはいなくなるだろう。
(翻訳:角谷剛)
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