Wシリーズ、スーパーボウル… 米スポーツ界の「エル・クラシコ」

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スペイン・リーガ・エスパニョーラ第17節。12月23日(土)にレアル・マドリードとバルセロナが対戦する「エル・クラシコ」が行われる、クラシコはスペイン語で「伝統の一戦」という意味を持つ。

本連載では、世界中の「伝統の一戦」にテーマを当て、5回に渡り紹介していく。第2回はプロスポーツ大国アメリカで行われる「伝統の一戦」を紹介する。

 

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国民的娯楽「ベースボール」の伝統の一戦

歴史を遡ると、幕末の日本に黒船が来航した1850年代後半、アメリカにはすでにリーグがあり、試合が行われていたというベースボール。1876年にはナショナル・リーグ、1901年にはアメリカン・リーグが誕生している。

メジャーリーグで最も大きな舞台は、やはり「Fall Classic」(秋の祭典)とも呼ばれるワールドシリーズ。1903年に第1回が開催され、1994年の選手会ストライキなどで2度の中止はあったが、第2次世界大戦中も行われ、2017年で113回を数えている。

日本人に馴染みのあるワールドシリーズと言えば、やはり松井秀喜がMVPを獲得した2009年。第2戦では決勝本塁打、第3戦で2試合連続本塁打を放つと、第6戦では、本塁打を含む6打点の大活躍。シリーズ通算では打率.643、3本塁打、8打点で、ニューヨーク・ヤンキースを9年ぶりのワールドチャンピオンに導いた。

ちなみにこのシリーズ後、松井はヤンキースと契約を更新できず、ロサンゼルス・エンゼルスに移籍。これ以降、ヤンキースはワールドシリーズに出場できていない。この状態がもう少し続けば「ゴジラの呪い」と言われそうだ。

 

 

「バンビーノの呪い」が生んだライバル関係

メジャーリーグのレギュラーシーズンでの「伝統の一戦」といえば、ヤンキースとボストン・レッドソックスの戦いだろう。両チームはアメリカン・リーグ東地区のライバル。特にレッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークでのヤンキースに対するブーイングは凄まじい。

ライバル関係の発端とも言えるのは、1918年にレッドソックスが「バンビーノ」(ベーブ・ルース)をヤンキースにトレードで放出したことだ。それ以降、ワールドシリーズを5回制覇していたレッドソックスは優勝できず、逆にそれまで優勝のなかったヤンキースは27回も世界一となった。86年間も優勝できなかったことで「バンビーノの呪い」と言われたが、それが解けたのもライバルとの対戦だった。

2004年のアメリカン・リーグ・チャンピオンシップシリーズで、レッドソックスとヤンキースが激突するが、レッドソックスは3連敗で一気に追い込まれる。第4戦も1点リードを許し最終回を迎えたが、土壇場で追いつき、延長12回サヨナラ勝ち。その勢いのまま4連勝でヤンキースを撃破。ワールドシリーズではセントルイス・カージナルスを下した。86年間優勝できなかったレッドソックスだが、これ以降は3回の優勝。この間にヤンキースの優勝は1回と、立場は逆転しつつある。

 

 

世界最大のスポーツイベント「スーパーボウル」

アメリカで、ベースボールを上回る人気を誇るのがアメリカンフットボール。そのプロリーグ「NFL」の売り上げは130億ドル(約1兆4640億円)を記録する。NFLは9月に開幕し、レギュラーシーズンはわずか16試合。1月からはプレーオフが行われ、2月第1週にチャンピオンを決める「スーパーボウル」が行われる。世界最大のスポーツイベントと呼ばれ、アメリカでのテレビ視聴率は40%、年間最高視聴率を記録し、テレビCMは30秒枠で約4億円とも言われる。

プロだけでなく、カレッジフットボールもアメリカでは人気が高い。バルセロナの本拠地カンプ・ノウ(収容9万9354人)は欧州最大のスタジアムだが、それを超える収容10万人超のスタジアムがアメリカには8つあり、それが全て大学のアメリカンフットボールスタジアムだ。最大のものはミシガン・スタジアムで収容10万9901人。それが毎試合満員となるから驚く。

そんなカレッジフットボールの「伝統の一戦」と言えば、レギュラーシーズン終了後の12月中旬から1月に、全米各地で行われる「ボウル・ゲーム」。成績上位校が対戦するが、特に「ローズボウル」「オレンジボウル」「シュガーボウル」「コットンボウル」「フィエスタボウル」「ピーチボウル」の6つのボウル・ゲームは持ち回りで、全米大学王者を決めるプレーオフの準決勝となり、アメリカの新年を熱くさせるイベントだ。

 

 

第3回につづく)