大谷翔平のFAはどうなる? FAのタイミングや契約内容、移籍先の候補などを解説

Dan Treacy

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大谷翔平の去就が2023年MLBトレード期限の最大焦点だった。ロサンゼルス・エンゼルス経営陣がこのアメリカン・リーグ最優秀選手賞(MVP)確実のスーパースターをトレード市場に出さないことを発表するまでは。

エンゼルスは今シーズンのプレーオフを本気で狙いにいく方針を定めた。しかし、大谷が依然として今シーズン終了後にはフリーエージェントになることは変わらない。その契約はMLB史上最大のものになると予想されている。

大谷はどのチームにとっても理想的な新戦力になる。しかし、大谷を獲得するための巨額な資金を用意できるチームはさほど多くはない。大谷をチームに留める決断をしたエンゼルスは、もちろんそのことも考慮したはずだ。

大谷がフリーエージェントになる日程、予想契約内容、そして移籍先候補などの情報は以下の通りだ。

大谷がフリーエージェントになる日は

大谷は2023年ワールドシリーズが終了した翌日にフリーエージェントになる。つまり、最も遅い場合でも、11月5日には大谷はオープン市場に出るということだ。その時点より前の段階でエンゼルスと新たな契約更新に合意した場合を除いてではあるが。

選手はフリーエージェントになってから5日間が経過するまでは新しいチームと契約を結ぶことはできない。それまでは現在のチームに独占交渉権が与えられる。もっとも、この猶予はあまり大きな意味を持たない。一般的に12月上旬のウィンター・ミーティング(訳者注:メジャーリーグ全球団の経営陣が一堂に会する、毎年恒例の経営会議期間。1週間近い日数をかけて行われる)が行われるまでは、フリーエージェント市場で大きな動きはないからだ。

昨年のオフシーズンでは、アーロン・ジャッジ、ザンダー・ボガーツ、トレア・ターナー、ジャスティン・バーランダーといった大物フリーエージェント選手たちの多くが12月上旬から中旬にかけて新契約に合意した。大谷の新契約プロセスもその時期の数週間に行われると見るのが自然だろう。

予想される新契約の詳細

大谷が現在のチームメイトであるマイク・トラウトを越えるMLB史上最高額の契約オファーを受けることはほぼ確実と見られている。

トラウトは2019年に12年総額4億2650万ドル(約597億円、以下すべて1ドル140円で計算)でエンゼルスとの契約更新に合意した。それ以降、平均年俸額ではトラウトを上回った選手が5人現れたが、総額4億ドル(約560億円)を越える野球選手は現在でもトラウトのみだ。それが変わろうとしている。

各種スポーツの契約内容を網羅したウェブサイト『Spotrac』は大谷の打者と投手の両面での貢献度を数量化した。それによると、打者大谷は9年総額3億2600万ドル(約456億円)、投手大谷は6年総額2億200万ドル(約283億円)が適正価値であると見積もった。合わせると5億2800万ドル(約739億円)ということになる。
 

大谷の絶大な人気と集客力も大きな要素になる。大谷がチームに加わることで、日本でもアメリカでも大勢のファンを獲得できることは間違いないからだ。

もし大谷の市場価格を引き下げる要素があるとすれば、それは大谷が歴史上過去に例がないことをやってのけていることだろう。投打の両面で大活躍する大谷は他のどの選手よりも大きな価値をチームにもたらしているが、身体がどれだけ長く耐えられるかは懸念材料だ。

大谷は投手と打者の両方で、すでにほぼ3シーズンを健康な状態でフル出場している。しかし、それが8年、9年、あるいはもっと長くの年数になると予測は難しい。たとえ2023年現在の大谷にどれだけの価値があったとしても、その長期的リスクを懸念するチームはいくつかあるかもしれない。

大谷の移籍先候補

大谷の獲得競争は巨額の契約資金を用意できるチームに限られる。トレード期限前にボルチモア・オリオールズやアリゾナ・ダイヤモンドバックスなどのチームが大谷のトレード獲得に興味を示したと報じられたが、そうした中小規模のチームが巨大な長期契約を結んだ例は少ない。

大谷をフリーエージェント市場で獲得に動くと見られるチームは以下だ。

ロサンゼルス・ドジャース

ここ数年、ドジャースは何人かの大物選手をフリーエージェントで失った。マックス・シャーザー、コーリー・シーガー、そしてトレア・ターナーらが他球団と巨額契約を結んだ。現在のドジャースは合計年俸額でメジャーリーグ5位である。新たな大型契約を結ぶ資金には余裕がある。毎年のようにワールドシリーズを狙う位置にいるドジャースは大谷にとっても魅力的に違いない。

サンフランシスコ・ジャイアンツ

ジャイアンツにはフリーエージェント市場につぎ込む資金がある。昨年冬、アーロン・ジャッジに掲示したオファーが断られ、カルロス・コレアとも医学的な懸念から契約を見送った経緯があるからだ。スター選手を渇望しており、そのためには大金を使う用意がある。

ニューヨーク・メッツ

この2年間のオフシーズンにおいて、メッツは無限とも思われる大金を投じてきた。オーナーのスティーブ・コーヘン氏はこうした出費は永久に続けられるものではないと今シーズン序盤に発言したが、大谷を獲得できるとなれば、話は別だろう。シャーザーやジャスティン・バーランダーを手放せば、大谷獲得の資金は浮くのではないか。

ニューヨーク・ヤンキース

ヤンキースがワールドシリーズ進出を逃すたび、地元ブロンクスからのプレッシャーは大きくなる。最近のオフシーズンでGMのブライアン・キャッシュマン氏は超大物フリーエージェント選手を見送ってきた。今シーズン以降もチームに留まることができれば、世間をあっと言わせたいと考えるだろうか。ヤンキースに大谷獲得の資金があることには疑いの余地はない。

シアトル・マリナーズ

マリナーズは金満球団とは思われていない。しかし、ロビンソン・カノと結んだ巨額契約では世間を驚かせた。フリオ・ロドリゲスとの契約はチームに有利な内容であるため、長期的な柔軟性がある。2017年に大谷がメジャーリーグにやってきたとき、マリナーズは最終候補に残った。大谷は過去にオフシーズンをシアトルで過ごしたこともあったのだ。マリナーズが長期的視野に立てば、大谷獲得を目指すことは自然だ。

テキサス・レンジャーズ

レンジャーズは新たな本拠地球場へ移ったばかりで、2年連続でオフシーズンに巨額の資金を費やした。まだ余裕は残っているだろうか。アメリカン・リーグ西地区でヒューストン・アストロズを追い落とすチャンスを目の前にした今、大谷を獲得することは優勝を目指すために最良の道であると思われるのだが。

ロサンゼルス・エンゼルス

大谷がエンゼルスに残留する可能性が消滅したわけではない。オーナーのアルテ・モレノ氏が大谷のトレード放出を見送ったことは、このチームが少なくとも契約更新のチャンスを狙っていることの兆候かもしれないのだ。

しかし、それは容易なことではない。大谷は勝利することを優先すると発言してきた。そしてエンゼルスは大谷が加入してからの6シーズンでプレーオフ進出をはたしたことがない。

また、エンゼルスはトラウトとアンソニー・レンドンとの契約に巨額を費やしてしまっている。これからさらに大谷と巨額契約を結ぶと、他の戦力を充実させることは難しくなる。

原文: Shohei Ohtani free agency, explained: Everything to know about dates, projected contract & landing spots
翻訳:角谷剛
 

Dan Treacy

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Dan Treacy is a content producer for Sporting News, joining in 2022 after graduating from Boston University. He founded @allsportsnews on Instagram in 2012 and has written for Lineups and Yardbarker.