ついにその時がやってきた。12月9日(日本時間10日)、MLBロサンゼルス・エンゼルスからフリーエージェントとなっていた大谷翔平が新天地を決め、北米スポーツ史上最大となる契約を手にした。
大谷の移籍先はロサンゼルス・ドジャース。これにより、MLB最大の二刀流スターを獲得したドジャースのワールドシリーズ制覇への期待は、一気に高まっている。
大谷翔平のMLBでの経歴
大谷が日本から初めてMLBへやってきた2018年、投手と打者の二刀流を続けてどれだけ活躍できるか、多くの考察がなされた。大谷はMLB1年目から打者として22本塁打、打率.285、出塁率.361、長打率.564と堅実な成績を残したが、投手としては10試合の先発登板で肘を痛め、トミー・ジョン手術を受けることとなった。
2021年、万全の状態となった大谷はMLB最大のスター選手へと変貌した。投手としては130.1回を投げて防御率3.18、打者としては45本塁打、26盗塁、打率.257、出塁率.372、長打率.592の成績を残し、アメリカン・リーグMVPを獲得。翌2022年にはさらなる飛躍を遂げたが、MVP投票ではシーズン62本塁打のア・リーグ新記録を樹立したアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)に次ぐ2位となった。
そして2023年、打者として打率.304、出塁率.412、長打率.654、44本塁打、20盗塁に加え、投手として132回を投げて防御率3.14という自己ベストの成績を残し、自身2度目のア・リーグMVPに輝いた。しかしながら、シーズン終盤に肘を痛めてしまい、2度目の手術を受けることに。2023年シーズンの終盤は投げることができず、2024年も登板はできない見込みだ。
幾度となく故障に悩まされながらも、その才能と市場性の高さから、大谷はMLBのフリーエージェントの歴史の中でも類を見ない、非常にユニークな存在となった。
以下に、大谷がサインした契約内容を詳しく見ていこう。
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大谷翔平の新契約の詳細
大谷とドジャースの契約は10年間7億ドル(約1015億円。1ドル=145円換算。以下同)。これはMLB史上最高額というだけでなく、NFLカンザスシティ・チーフスのクォーターバック、パトリック・マホームズが2020年にサインした10年5億300万ドル(現在のレートで約729億3500万円)を超える、北米スポーツ史上最高額の契約となった。また、大谷のエンゼルスでのチームメイトであるマイク・トラウトが2019年に結んだ12年4億2650万ドル(現在のレートで約618億4250万円)を超える北米スポーツ史上最高の全額保証契約ともなった。
平均年俸(※編集部注:AAV=Anual Average Value。契約総額を契約年数で割った額)でいうと7000万ドル(約101億5000万円)で、これもジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)とマックス・シャーザー(テキサス・レンジャーズ)の4330万ドル(現在のレートで約62億7850万円)を超えてMLB史上最高額である。
しかしながら、スポーツニュースサイト『The Athletic』のケン・ローゼンタル記者によれは、今回の契約には「過去に例を見ない繰延条項」が含まれており、大谷の平均年俸は7000万ドルを下回るという。つまり、ドジャースは今回の契約が終わる2033年以降も大谷に支払いを続けることになっていて、実際の繰延年数がどのくらいになっているかは判明していない。
Ohtani deal with Dodgers, per source, includes “unprecedented” deferrals - the majority of his salary. The deferrals were Ohtani’s idea to ease the Dodgers’ luxury-tax and cash flow burdens to give the team the flexibility needs to be as competitive as possible, the source said.
— Ken Rosenthal (@Ken_Rosenthal) December 9, 2023
複数の記者が報じているが、この繰延条項を取り入れることは、ドジャースが贅沢税(※編集部注:チーム年俸総額が一定の基準額を超えた場合にチームがリーグから徴収される金銭)をコントロールし、ほかの戦力を獲得する余力を残すために、大谷サイドが考えた案だという。
大谷がどのような契約をするか、様々な推測がされてきた。1年契約を結び、肘が完治した2024年に改めてフリーエージェントとなる、という意見もあれば、数年後に再度フリーエージェントになれるよう、様々なオプトアウト条項を入れ込むのでは、という意見もあった。
しかし結局は、2023年シーズンが始まる前から想定されていた通り、大谷はこのオフに超大型契約を手にした。これにより、大谷は39歳になるシーズンまでドジャースでプレーすることになる。
関連記事:大谷翔平獲得競争の勝者と敗者: ドジャースが衝撃の7億ドル契約で二刀流スターを獲得
大谷翔平の年齢
ドジャースと契約を結んだ時点での大谷の年齢は29歳。契約満了になる2033年時点で大谷は39歳になる。
MLB歴代最高契約金額トップ10
契約総額
選手 | 契約チーム | 契約 年数 | 総額 |
大谷翔平 | ドジャース | 10 | $7億 |
マイク・トラウト | エンジェルス | 12 | $4億2650万 |
ムーキー・ベッツ | ドジャース | 12 | $3億6500万 |
アーロン・ジャッジ | ヤンキース | 9 | $3億6000万 |
マニー・マチャド | パドレス | 11 | $3億5000万 |
フランシスコ・リンドーア | メッツ | 10 | $3億4100万 |
フェルナンド・タティスJr. | パドレス | 14 | $3億4000万 |
ブライス・ハーパー | フィリーズ | 13 | $3億3000万 |
ジャンカルロ・スタントン | マーリンズ | 13 | $3億2500万 |
コーリー・シーガー | レンジャーズ | 10 | $3億2500万 |
平均年俸額
選手 | 契約チーム | 契約 年数 | 平均年俸 |
大谷翔平 | ドジャース | 10 | $7000万 |
マックス・シャーザー | メッツ | 3 | $4330万 |
ジャスティン・バーランダー | メッツ | 2 | $4330万 |
アーロン・ジャッジ | ヤンキース | 9 | $4000万 |
ジェイコブ・デグロム | レンジャーズ | 5 | $3700万 |
ゲリット・コール | ヤンキース | 9 | $3600万 |
マイク・トラウト | エンゼルス | 12 | $3550万 |
カルロス・コレア | ツインズ | 3 | $3510万 |
アンソニー・レンドン | エンゼルス | 7 | $3500万 |
スティーブン・ストラスバーグ | ナショナルズ | 7 | $3500万 |
関連記事:エンゼルス大谷翔平の今シーズンの成績・活躍まとめ|ホームランや勝利数は
北米スポーツにおける歴代最高契約金額トップ10
契約総額
選手 | チーム | 契約 年数 | 総額 |
---|---|---|---|
大谷翔平 | ドジャース(MLB) | 10 | $7億 |
パトリック・マホームズ | チーフス(NFL) | 10 | $5億300万 |
マイク・トラウト | エンゼルス(MLB) | 12 | $4億2650万 |
カネロ・アルバレス | DAZN(ボクシング) | 5 | $3億6500万 |
ムーキー・ベッツ | ドジャース(MLB) | 12 | $3億6500万 |
アーロン・ジャッジ | ヤンキース(MLB) | 9 | $3億6000万 |
マニー・マチャド | パドレス(MLB) | 11 | $3億5000万 |
フランシスコ・リンドーア | メッツ(MLB) | 10 | $3億4100万 |
フェルナンド・タティスJr. | パドレス(MLB) | 14 | $3億4000万 |
ブライス・ハーパー | フィリーズ(MLB) | 13 | $3億3000万 |
平均年俸額
選手 | チーム | 契約 年数 | 平均年俸 |
---|---|---|---|
カネロ・アルバレス | DAZN(ボクシング) | 5 | $7300万 |
大谷翔平 | ドジャース(MLB) | 10 | $7000万 |
デイミアン・リラード | バックス(NBA) | 2 | $6090万 |
アンソニー・デイビス | レイカーズ(NBA) | 3 | $5900万 |
ヤニス・アデトクンボ | バックス(NBA) | 3 | $5900万 |
ジェイレン・ブラウン | セルティックス(NBA) | 5 | $5770万 |
デビン・ブッカー | サンズ(NBA) | 4 | $5570万 |
カール・アンソニー・タウンズ | ティンバーウルブズ(NBA) | 4 | $5560万 |
ニコラ・ヨキッチ | ナゲッツ(NBA) | 5 | $5520万 |
ジョー・バロウ | ベンガルズ(NFL) | 5 | $5500万 |
ステフィン・カリー | ウォリアーズ(NBA) | 4 | $5380万 |
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。
翻訳:石山修二(スポーティングニュース日本版)