大谷翔平はもうすべてを成し遂げたと思っていた矢先、さらにMLB史上前例のないことを達成しようとしている。
大谷は現在ゼロのMLBの「50-50」クラブに加わろうとしている。同一シーズンに50本塁打と50盗塁を記録した選手はこれまでいないが、ドジャースのスーパースターは現在のペースでいけば、シーズン終了までに両方の記録を達成する見込みだ。
ドジャースは大谷が昨年9月に肘の手術を受けて今季は投球できないため、2024年は大谷の価値が例年より限られる可能性があることを知っていたが、それでもオールスターに4回選出された大谷は3度目のMVP獲得に向けて素晴らしいシーズンを過ごしている。「50-50」達成は、日本のスーパースターにとって歴史に残るシーズンの締めくくりとなるだろう。
『スポーティングニュース』は、大谷の今季成績、大谷の本塁打と盗塁のペース、MLBのシーズン最多記録などをまとめていく。
2024年 大谷翔平の成績
試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | OPS | OPS+ |
148 | .287 | 48 | 110 | 48 | .983 | 174 |
大谷翔平の本塁打ペース
大谷は9月18日までに48本塁打を放ち、シーズン終了までに51本塁打を記録するペースだ。
しかし、ドジャースは残り11試合しかなく、大谷が50本塁打を達成することは決して当然のことではない。ちょっとしたスランプが一度でも起これば、「50-50」の達成を逃す可能性もあるが、現時点で大谷が個人的な偉業を気にしているとは考えにくい。
大谷が「50-50」を成し遂げられると信じる理由があるとすれば、彼は最近好調だ。2度のMVPに輝いた大谷は、過去33試合で13本のホームランを放っており、シーズン最後の2週間強でこのペースに少しでも近づけば、大谷はすぐに50本塁打を超えることになるだろう。
この4年間で大谷が達成したことを振り返っても、50本塁打は大谷にとって初めてのことだ。2023年までの自己最多本塁打は、エンゼルス時代の2021年に記録した46本塁打だった。大谷は今季すでに47本塁打を達成しており、自己最多を更新しているが、50本塁打でさらに特別なクラブに入ることができる。
加えて、大谷はドジャース球団史上初のシーズン50本塁打を記録した選手にもなる。現在のドジャースの球団記録はショーン・グリーンが2001年に記録した49本塁打だ。
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大谷翔平の盗塁ペース
大谷は今季48盗塁を記録しており、シーズン終了までに52盗塁を記録するペースだ。
50盗塁は、50本塁打よりも大谷がコントロールできる範囲内である。四球であれ他のヒットであれ、塁に出れば大谷は盗塁のチャンスを得られる。フォアボールが多く、最近のホームランペースで、リリーフ投手陣が大谷を警戒し続ける可能性は高い。
もちろん、オオタニが「50-50」以上追い求めているなら、シーズン後半にさらなる盗塁を試みることも考えられる。ドジャースはナショナル・リーグ西地区で2位サンディエゴ・パドレスと3.5ゲーム差のリードを保っており、レギュラーシーズン終了の数日前に地区優勝を確定させる可能性があり、大谷に記録を追いかけるチャンスを与えている。
しかし、大谷は個人的な偉業よりも勝利を重視することを明らかにしているので、記録達成のためだけに不必要なリスクを冒すことはないだろう。
「50-50」クラブ入りなるか
MLBの「50-50」クラブは、大谷がそれを作らない限り、あるいは作るまで存在しないだろう。同一シーズンに50本塁打と50盗塁を記録した選手はこれまで当然おらず、ドジャースのスターは歴史に名を残すことになる。
今までで最も近い記録は「40-40」クラブで、しかもそれほど近い記録でもない。
アレックス・ロドリゲスは1998年に46盗塁を記録したが、それでも50本塁打には8本も足りない42本塁打でシーズンを終えた。アルフォンソ・ソリアーノは2006年に46本塁打を記録したが、41盗塁では「50-50」には到底及ばない。2023年、ロナルド・アクーニャJr.は41本塁打でシーズンを終え、こちらも50本塁打には遠く及ばなかった。
大谷はすでにシーズンで47本塁打と47盗塁を記録した初の選手である。そして、今さらなる歴史が作られようとしている。
MLBのシーズン最多本塁打記録
大谷にとって50本塁打は素晴らしい偉業だが、50本、あるいはそれ以上でも、1シーズンの歴代本塁打記録のトップには届かないだろう。
バリー・ボンズは2001年に73本塁打を放ち、シーズン最多本塁打記録を保持している。ステロイドの使用を認めていない、あるいは強く疑われていない選手のみに絞るなら、シーズン本塁打記録7位に位置する2022年のアーロン・ジャッジの62本塁打まで下がらなければならない。
選手名 | 本塁打 | チーム | 年 |
バリー・ボンズ | 73 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | 2001 |
マーク・マグワイア | 70 | セントルイス・カージナルス | 1998 |
サミー・ソーサ | 66 | シカゴ・カブス | 1998 |
マーク・マグワイア | 65 | セントルイス・カージナルス | 1999 |
サミー・ソーサ | 64 | シカゴ・カブス | 2001 |
サミー・ソーサ | 63 | シカゴ・カブス | 1999 |
アーロン・ジャッジ | 62 | ニューヨーク・ヤンキース | 2022 |
ロジャー・マリス | 61 | ニューヨーク・ヤンキース | 1962 |
ベーブ・ルース | 60 | ニューヨーク・ヤンキース | 1927 |
大谷はジャッジに追いつくだけの時間はないと思われるが、50本塁打はそれ自体が珍しいことだ。
2008年以降、シーズン50本塁打を打った選手は、アーロン・ジャッジ、マット・オルソン、ピート・アロンソ、ジャンカルロ・スタントン、クリス・デービス、ホセ・バティスタと6人のみでほんの一握りだ。さらに、大谷が達成しようとしている50盗塁と50本塁打は前例がない。
MLBのシーズン最多盗塁記録
50盗塁も大谷にとってはかなりの快挙だが、シーズン記録である138盗塁や近代野球以降の記録である130盗塁には遠く及ばないだろう。
選手名 | 盗塁 | チーム | 年 |
ヒュー・ニコル | 138 | シンシナティ・レッズ | 1887 |
リッキー・ヘンダーソン | 130 | オークランド・アスレチックス | 1982 |
アーリー・レイサム | 129 | セントルイス・ブラウンズ | 1887 |
ルー・ブロック | 118 | セントルイス・カージナルス | 1974 |
チャールズ・コミスキー | 117 | セントルイス・ブラウンズ | 1887 |
ビリー・ハミルトン | 111 | カンザスシティ・カウボーイズ | 1889 |
ビリー・ハミルトン | 111 | フィラデルフィア・フィリーズ | 1891 |
ジョン・ウォード | 111 | ニューヨーク・ジャイアンツ | 1887 |
ビンス・コールマン | 110 | セントルイス・カージナルス | 1985 |
ビンス・コールマン | 109 | セントルイス・カージナルス | 1987 |
アーリー・レイサム | 109 | セントルイス・ブラウンズ | 1888 |
リッキー・ヘンダーソン | 108 | オークランド・アスレチックス | 1983 |
シーズン盗塁記録の多くは、野球が現在とは大きく異なっていた近代野球以前に樹立されたものだが、2023年に50盗塁以上を記録した選手は、その年ナショナル・リーグMVPを受賞したロナルド・アクーニャJr.の73盗塁を含め3人いる。
今季はエリー・デラクルーズが64盗塁でMLB全体トップに立ち、2010年以降、60盗塁以上を記録した選手には、ディー・ストレンジ=ゴードン、マイケル・ボーン、ジョナサン・ビラーがいる。
しかし、逃れられない事実は50本塁打でこれを達成した選手はいないということだ。「50-50」を達成すれば、大谷はさらに別次元の存在になるだろう。
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原文:Shohei Ohtani 50-50 stats tracker: How Dodgers star can make MLB history with home run, stolen base totals in 2024(抄訳)
※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。翻訳・編集:佐藤瑞紀