クレメンス親子の引っ越し
クレメンスは2018年シーズンをシングルAのランシング・ラグナッツで迎えたが、すぐにハイAに昇格。そのことは、クレメンス自身を驚かせた。
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昇格は主に、打席での好成績によるものだった。クレメンスは22三振に対し、25四球を記録。2018年シーズンにおける彼の目標のひとつはハイAに昇格することだったが、これほど早く昇格するとは思っていなかった。
「良いプレーができているとは思っていたけど、いつ昇格できるかはわからなかった。いわば早期の昇格だったから、驚いたよ」
シーズンのこんなに早くに荷物をまとめて、フロリダへと移動することになるとは。ランシングでのシーズンを迎える際、彼は父、ロジャーに引っ越しを手伝ってもらった。ロジャーはヒューストンの家からやって来て、息子が新居での生活を整えるのを手助けした。
その翌週、クレメンス親子は再びダニーデンへの引っ越し荷物をまとめた。
「父は1週間かけて、僕が新しいアパートで生活する準備を手伝ってくれたんだ。彼は『よし、完璧だ。車も送っといたぞ。数週間後にまた会おう』という感じだったよ」
その翌日、ラグナッツのシーザー・マーティン監督はクレメンスをオフィスに呼び、ダニーデンへ行くよう告げたのだった。
「父に電話して『お父さん、新しいアパートに来たばかりだけど、今すぐフロリダに行くことになったんだ』と言った。彼は『それは良い問題だ』と言って喜んでいたよ。僕がフロリダに着いた頃、父はランシングに戻って、僕の荷物を車に詰めて、2日かけてダニーデンまで運んできてくれた」
クレメンス家の教え
幼い頃から野球に囲まれ、MLBのスーパースターを父に持ちながら育ったクレメンスは、他の選手が持っていないような野球の知識も持っている。ある特定の状況で何をすべきか、クレメンスは他の若手選手よりも知っている。彼はまだ学んでいる最中だが、23歳にして野球について多くを知っている。
「父にとても感謝していることのひとつは、野球を正しくプレーする方法を教えてくれたことだ。それ故、僕はとても高い野球IQを持っている」クレメンスは言った。「野球に囲まれて育ち、クラブハウスに出入りさせてもらっていたことで、僕は準備ができていた。メジャーリーガーになるとはどういうことか、どのように人と接するべきか、どうやって良きチームメイトになるか、といったことについてね」
サイヤング賞7度獲得の父に育てられたことから、周囲からの期待が大きいことは理解している。もっとも、父のロジャーは息子に、非現実的な期待をしてはいない。彼はひとつの大事なことだけ教えた。
「父は『お前が打率4割打とうが、40本塁打を打とうが、100打点挙げようが気にしない。ただ、お前には良きチームメイトになってほしいんだ』と言った。それが、父が僕に期待する最も大きなことなんだ」
今年初め、ケイシーはツイッターに2枚の写真を投稿した。ひとつは彼がまだ幼い頃、ブルージェイズのスプリングトレーニング中に家族で撮った写真だ。1998年のスプリングトレーニングで、ケイシーは父のバッグを持っていた。もう1枚は、20年後の写真。今回は、ケイシーがブルージェイズ傘下の選手となった。
「偶然だったんだ」クレメンスは言った。「僕が昇格した翌週、母と父はダニーデンにいた。球場のそばに車を停めて、父は僕を降ろした。そこで父は、その球場で僕が3歳の頃に写真を撮ったことを思い出したんだ。それがバックフィールドだったことを、僕は忘れていた」
「僕は『時間があるから、着替えてあの写真を再現しようよ。きっと素敵な写真になるよ』と言ったんだ」
20 years ago... had to recreate one of my favorite childhood pics! Time flies! Back at the place where it all started... pic.twitter.com/SzKVDuGbYZ
— Kacy Clemens (@KClemens21) 2018年5月12日
あれから20年…… 幼少期の最もお気に入りの写真を再現してみた! 時が流れるのは早い! この場所から全てが始まった……。
ノスタルジックな旅はまだ終わらなかった。次の週末、クレメンス家にとっていくつかの特別な瞬間があった。ケイシーは母の日に、新しいリーグで最初のホームランを放った。スタンドには母、デビーの姿があった。父、ロジャーはラジオブースにいて、コメントを求められた。
「相手投手は彼に対してチェンジアップを投げていたが、最終的に彼は速球をとらえた。センター方向に打球を飛ばそうと彼は心がけていた。まるで打撃コーチかのように僕は話しているね」
ケイシーは、父がブルージェイズでプレーしていた頃のことを思い出していた。ケイシーは幼い頃、試合が早く終わることを心から望んでいた。それはつまり、父がその日の仕事を終えることを意味したからだ。
「試合が終わるのが待てなかったよ。試合後、父は僕らをセンターに連れて行ってくれて、プラスチックのボールを打って遊んだんだ。僕らはスカイドーム(ブルージェイズのかつての本拠地)でホームランを打ったような気分になっていた。あれは最高にクールだったよ」
今日に至るまで、周囲の人々が父を見て興奮する姿を、ケイシーは少し不思議に思っている。ケイシーにとって父は「お父さん」であり、それ以外の人にとって父は「ロケット(ロジャー・クレメンスの現役時代の愛称)」なのだ。ケイシーはたまに、親しい友人やチームメイトから父のサインを求められる。しかし彼は、自分の父が他の全ての父親と変わらないことを理解している。
「父を見たときにチームメイトたちが興奮するのは、不思議なんだ。僕からすれば『みんな、彼はデカいテディベアで、面白い男なんだよ。彼がすごい野球選手たったことを君たちが知っているのはわかってる。でも彼のことをよく知れば、彼が歴代最も巨大で最も優しいテディベアだとわかるだろう』」
ロジャーは現役時代、異次元のキャリアを送り、奪三振数は歴代3位だ。ケイシーは、自身が父を超える可能性を持つものがひとつあると言う。
「打者として、できればメジャーリーグに到達してホームランを打ちたい。そうしたら、僕は父よりも得意なことがあると言えるからね」
(完)
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原文:Kacy Clemens, son of Roger, is blazing his own trail en route to MLB
翻訳:Muneharu Uchino