R・クレメンスの息子、父とは別の方法でメジャーを目指す【前編】

Ian Hunter

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近代野球史において、ロジャー・クレメンスは最も支配的、最も驚異的、そして最も話題になる選手のひとりだった。しかし、2度のワールドシリーズ制覇、7度のサイヤング賞獲得など凄まじい経歴を持つ彼の息子、ケイシー・クレメンスは、MLBで自分自身の道を歩もうとしている。

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最近23歳になったばかりのクレメンスは、ダニーデン・ブルージェイズ(トロント・ブルージェイズ傘下のマイナーリーグ球団)でファーストを守っている。しかし彼は、過去四半世紀で最も優れた先発投手のひとりである父によって育てられたのだ。クレメンスの大学入学前、彼には父のような投手になるポテンシャルがあるだろうとスカウトたちは考えた。

「高校を卒業する際、投手として高く評価してもらった。でも、同時に左打者としてポテンシャルを持った二刀流選手としても評価してもらった。誰もが僕のマウンドでの動きを見て、期待した。なぜなら、父の動きにそっくりだったからね」

テキサス大学時代、彼は投手として高く評価され、父の名に恥じない活躍をしていた。2年生の頃まで彼は投手だったが、そのシーズン終盤に故障、手術を要した。そのとき、クレメンスの投手としてのキャリアは終わった。

投手としてのキャリアは絶たれたが、それは彼に新たなチャンスを与えた。2014年初め、彼は野手に転向した。マウンドにはもう、上がらなかった。その代わり、守備の優れた一塁手を目指したのだった。

「最初の秋は打てなかったし投げられなかった。だから、1日に150本ノックを受けた。それが僕にできる全てだった。一塁の守備は本当に上手くなった。その結果、ラインナップに自分の居場所を得たんだ」

クレメンスが最も得意としていることは、ふたつある。出塁すること、そして守備だ。野球のあらゆる要素の中でも、クレメンスは自身の守備にプライドを持っていると言う。それは彼が野手に専念してから、育んできた技術だ。特にグラブ裁きはお見事で、2017年のプロ入り以来、3つの異なるレベルのマイナーリーグで守備率.997を誇り、エラーは僅か3つしか喫していない。

ファーストはプレーするのが簡単そうなポジションに見えるが、そんなことは全くない、とクレメンスは言う。映画『マネーボール』には有名なシーンがある。ビリー・ビーンがスコット・ハッテバーグに一塁転向を勧める場面だ。「ファーストは大して難しくないよ、スコット」。隣にいたロン・ワシントンが、ビーンに言う。「めちゃくちゃ難しいよ」。

クレメンスは間違いなく、ワシントンの肩を持つだろう。簡単そうに見えるからといって、ファーストが最も簡単なポジションのひとつだと思われていることを、クレメンスは正したいと思っている。

「よく『あの選手は運動神経は良くないけど打力があるから、とりあえずファーストを守らせよう』と言う人がいるが、僕はそれが嫌いなんだ」とクレメンスは言う。「良い一塁手がいれば、下手な内野手も上手に見える。悪い一塁手がいれば、優れた内野手が悲惨に見えるんだ」

「内野手が悪送球をしたらそれを上手く捕球し、投手のためになるべく広いフィールドをカバーする、そうやってチームメイトを助けることにプライドを持っている」

守備に加えてクレメンスは、打席においても絶えず努力している。打席に入る際にプランを持つこと、相手投手について研究をして、試合の状況を把握すること。打者はこうした準備をすれば、打席でより生産的になれる。

 

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クレメンスの考え方は、シンプルだ。ヒットだろうと四球だろうと、この世において出塁は全て同じである、という考えだ。

「ただボールをフェアゾーンに打ち返そうとする、それだけなんだ。どんな打席でもこれは譲らない」クレメンスは言った。「それが僕のゴールだ。もし四球を得られたら、それでも良い。四球にはシングルヒットと同じ価値がある」。

クレメンスはマイナーリーグでのキャリアにおいて、既に多くの旅をしている。2017年にブルージェイズにドラフト指名されてから、3つのレベルのマイナーリーグでプレーしているが、彼はリーグ間の違いに気が付いた。

ハイAクラスとシングルAクラスでは投手のレベルが大きく違うと、クレメンスはすぐに気が付いた。低いレベルのリーグでは投手の配球を簡単に読めるのに対して、ハイAではそれが遥かに難しい。シングルAでは単調な投手が多いのに対して、上のレベルではそうした投手は滅多にいない。さらに、ハイA以上のレベルでは、決め球以外のボールも正確なコマンドで投げ、ストライクを取れる投手が多いとクレメンスは感じていいる。

「気候以外の大きな違いは、投手の安定感だと思う。多くの投手が速球を狙ったところに投げ、遅い変化球でストライクも取れる」クレメンスは言った。「彼らは通常、どんどん攻めてくる。ひとつ特筆すべきは、このリーグの投手たちの多くが時速95マイルくらいの速球を投げることだ」

「どんなカウントでもスライダーを狙ったところに投げられる投手は、打者のバランスを崩す。低いレベルのリーグでは、変化球を狙ったところに投げられない投手を相手に、もし打者有利なカウントになったら、速球の失投を狙うだけだ。しかしこのリーグでは、どんなカウントでも投げたいボールを投げられる投手がたくさんいるので、打者は上手く反応しなければならない」

打撃には好不調の波があるが、守備にはそれがないことをクレメンスは理解している。野球は失敗を前提にしたスポーツだが、守備は唯一失敗が許されないものだ。

「コントロールできないものがあることが、野球の魅力だと思う。でも、守備はコントロールできるんだ。時間通りに準備し、良い第一歩を踏み出し、良いジャンプをして、チームメイトを助ける。僕はそれが大好きなんだ。難しい送球を拾ってアウトにしたとき、最高の気分なんだ」

「僕が好プレーをすればチームメイトは喜ぶし、僕も嬉しい」

後編へ続く)

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