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異様にして短かったMLBのレギュラーシーズンが終了した。そして次は同じように異様になるだろうプレーオフの時間だ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でポストシーズンの形式は大きな変更を余儀なくされた。16チームが1列に並び、全チームが3試合制の第1ラウンドを戦って、ディビジョン・シリーズへ進出するチームが決定される。それ以降のラウンドはバブル式の中立地で行われるということも含めて、例年とは異なることばかりだ。
予測がつきづらい野球というスポーツの性質上、プレーオフの勝敗を予想するのは馬鹿げたゲームだ。しかしそれは楽しいゲームでもある。米スポーティング・ニュースが予想する2020年MLBプレーオフは以下の通りだ。
2020年MLBポストシーズン予想
予想者:Ryan Fagan
ナショナル・リーグ:ロサンゼルス・ドジャース(優勝)、シンシナティ・レッズ
アメリカン・リーグ:タンパベイ・レイズ(優勝)、ミ ネソタ・ツインズ
ワールドシリーズ:ドジャース(優勝)、レイズ
ブレークするスター:ウィル・スミス(ドジャース)
考察:
2020年プレーオフで5試合制のディビジョン・シリーズと7試合制のリーグ・チャンピオン・シリーズにオフ日がなくなったことで、投手陣の層が厚いチームがより一層有利になる。もちろんレギュラーシーズンでも同じことが言えるのであるが、先発ローテーションに穴があるチームにとって、この長いシリーズはとても厳しいものになる。その間、エースが1回か2回しか投げられないからだ。一方で、3試合制の第1ラウンドは強豪チームにとってはもっとも危険な短期決戦となる。要するにこう言うことだ。最大の優勝候補であるドジャースがミルウォーキー・ブリュワーズに不覚を取るようなことさえなければ、その後に続くシリーズは勝ち続けるだろう。
アメリカン・リーグは本命がおらず、その分見るのは楽しくなる。8チームのうち、ヒューストン・アストロズとトロント・ブルージェイズ以外の6チームにワールドシリーズ進出の可能性があると見ていいだろう。
予想者:Jason Foster
ナショナル・リーグ:ロサンゼルス・ドジャース(優勝)、シカゴ・カブス
アメリカン・リーグ:シカゴ・ホワイトソックス(優勝)、タンパベイ・レイズ
ワールドシリーズ:ドジャース(優勝)、ホワイトソックス
ブレークするスター:ルイス・ロバート(ホワイトソックス)
考察:
テレビ受けするリーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズの組み合わせは何通りもある。いくつかのディビジョン・シリーズもとても面白いものになる。スタンドにファンがいないプレーオフというものがどのような感じになるかも興味深い。8月中の試合のようになるのだろうか? 人工で作られた歓声は大きくなるのだろうか? 選手達にはあまり関係ないかもしれないが、ポストシーズンを観戦する人々を盛り上げる効果はあるだろう。特定のチームを応援するファンにとっては楽しさよりもハラハラする要素の方が大きくなるだろう。そうしたチームを持たない野球ファンにとっては、ひたすらにエキサイティングな数週間となるに違いない。
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ついにアトランタ・ブレーブスは19年振りにポストシーズンのシリーズで勝利を挙げることはできるだろうか? 新しい形式のワイルドカード・シリーズで勝つこともポストシーズンのシリーズにおける勝利とみなすことはできるが、ブレーブスの2001年以来の宿願はナショナル・リーグのディビジョン・シリーズを制することだ。ジョージ・W・ブッシュ大統領が政権の座についた最初の年から、ブレーブスはこのシリーズで良いところなく負け続けているのだ。そして昨年の同シリーズでもセントルイス・カージナルスに敗れたブレーブスは今年こそは雪辱を果たしたいはずだ。記録の上でも、現実的にも、ブレーブスは第1ラウンドの相手であるシンシナティ・レッズよりは上である。だがブレーブスが打ち砕かないといけないのはトレバー・バウアー、ソニー・グレイ、そしてルイス・カスティーヨの3人の若い先発投手陣だ。もちろん、ブレーブスの打撃陣にはそれができるだけの力はある。ただし、ブレーブスは実力的には劣るはずの相手に負けたことが過去に何度もある。さらに言えば、ブレーブスの先発ローテーションには大きな疑問符がつく。仮にマックス・フリードの体調が万全だとしても、イアン・アンダーソンとカイル・ライトの2人に才能があることは間違いないが、やや安定さには欠ける。ポストシーズンでは何が起こるかわからないが、正直に言って、ブレーブスがプレーオフのシリーズを勝つことを予想するのは難しい。
今年はドジャースの年と言ってもよいはずだ。2020年シーズンが例年通りの長さであれば116勝のペースであったし、過去8年間悔しい思いをし続けたポストシーズンへの思いはどのチームよりも強い。ワールドシリーズ・チャンピオンへの道は平坦ではない。だが1発勝負のワイルドカード戦よりはわずかに確実性があるだけのワイルドカード・シリーズを通過することができれば、ドジャースこそが最有力候補だと考えるべきだ。打撃陣は充実しているし、投手陣の層はさらに厚い。得失点差136はMLBトップだ。私はドジャースが32年振りにワールドシリーズを制覇することを予想する。
予想者:Joe Rivera
ナショナル・リーグ:ロサンゼルス・ドジャース(優勝)、シカゴ・カブス
アメリカン・リーグ:タンパベイ・レイズ(優勝)、ミネソタ・ツインズ
ワールドシリーズ:レイズ(優勝)、ドジャース
ブレークするスター:タイラー・グラスノー(レイズ)
考察:
私は今年のプレーオフ形式がまったく好きではない。2020年シーズンそのものが通常ではないが、それでもこのプレーオフ形式は来年以降のニュー・ノーマルになるべきではない。162試合のシーズンでは自然と強いチームが判明する。1試合のみのワイルドカード戦は単にプレーオフのドラマ性と不確実性を高めるためのものだ。リーグの半数をポストシーズンに進出させることは、レギュラーシーズンの価値をなくし、プレーオフをNBAのそれのように長く退屈なものにするだけだ。来年からはやめてほしい。
それはともかくとして、ポストシーズンでは投手力が重要な要素になる。従って、ドジャースとレイズがワールドシリーズに進出することを予想するのは驚くべきことではない。3試合制のシリーズでは何が起こるかわからないが、両チームともそれを乗り切るには十分すぎるほどの選手層を持っているし、トーナメントのどの段階でも有利な立場にある。
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バブル式のプレーオフが選手のパフォーマンスにどれだけ影響するのか、あるいはまったく影響しないのかは興味深い。遠征移動がないことは良い条件になるかもしれないが、シリーズ期間中のオフ日がないことで救援投手陣の疲労度は増すはずだ。ニューヨーク・ヤンキースのように救援投手陣への依存度が高いチームのゲーム戦略にも影響がありそうだ。
予想者:Dan Bernstein
ナショナル・リーグ:シカゴ・カブス(優勝)、ロサンゼルス・ドジャース
アメリカン・リーグ:シカゴ・ホワイトソックス(優勝)、タンパベイ・レイズ
ワールドシリーズ:カブス(優勝)、ホワイトソックス
ブレークするスター:エロイ・ヒメネス(ホワイトソックス)
考察:
上位シードのチームが3試合制の第1ラウンドで姿を消す可能性については多く語られているが、それでもドジャースとレイズはその運命から逃れるだろう。それほどまでに両チームの投手力は群を抜いている。救援投手陣はとくに素晴らしいので、必要とあれば、早いイニングから投入することもできる。
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カブスにはOPS+の数字がリーグ平均を上回る5人の選手がいる。ハビアー・バエズ、クリス・ブライアント、そしてカイル・シュワーバーはその中には含まれていない。こうした選手たちを調子づけることができれば、10月の戦いは面白いものになる。ロースターも大胆に変更するかもしれない。ダルビッシュ有とカイル・ヘンドリックスの先発2枚看板は圧倒的で、試合終盤における継投の危険を最小限に減らすことにもなるだろう。それでもワールドシリーズを制するほどかと問えば、私の答えはノーだ。しかし、2020年の異様さにはマッチする。
楽しさについて語るなら、2008年以来初のプレーオフ進出を果たしたホワイトソックスはどうだろう? 若い選手たちはパワーに溢れているし、第1ラウンドの相手が調子を落としているオークランド・アスレチックスであることも好材料だ。
予想者:Tom Gatto
ナショナル・リーグ:ロサンゼルス・ドジャース(優勝)、シンシナティ・レッズ
アメリカン・リーグ:タンパベイ・レイズ(優勝)、シカゴ・ホワイトソックス
ワールドシリーズ:ドジャース(優勝)、レイズ
ブレークするスター:ギャレット・クロシェ(ホワイトソックス)
考察:
シーズン開幕前、私はニューヨーク・ヤンキース対ドジャースのワールドシリーズを予想した。だが、ヤンキースは第1ラウンドでクリーブランド・インディアンスの強力無比な先発ローテーションと相対することになった。シェーン・ビーバー、カルロス・カラスコ、そしてザック・プリーサックの3人を合わせたレギュラーシーズンの防御率は2.24である。ヤンキースは2017年のアメリカン・リーグ・ディビジョン・シリーズの再現を目論むだろうが、このシリーズは5試合制ではなく、3試合制だ。インディアンスの投手力は優位に立っている。
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ドジャースは今年も打撃陣と投手陣の両方で充実している。今年の不安材料は何だろうか? またクレイトン・カーショウが不調に陥ることだろうか? またケンリー・ジャンセンが乱れることだろうか? コーディー・ベリンジャーがまたもやポストシーズンに入ると急に打たなくなるのだろうか? ナショナル・リーグの好敵手であるサンディエゴ・パドレスはやっかいな相手だが、ドジャースにとって幸運なのはマイク・クレビンジャーとディネルソン・ラメットの2人の先発投手が故障で欠場するらしいことだ。
ミルウォーキー・ブリュワーズとヒューストン・アストロズは勝率5割を下回りながらプレーオフ進出をはたした歴史上初めてのチームになった。2020年がこのように異様なシーズンであったことが、そのやむを得ない理由であったとは言える。もしこれが162試合、154試合、あるいは140試合のシーズンで起きたとしたら、それは野球と言うスポーツにとってよくない。しかしながら、もし16チームによるプレーオフが収益を増やせば、オーナーたちはそのことを気にはかけないだろう。だから行き先はわからないと考えるべきだ。
(翻訳:角谷剛)