【前編】地区優勝でもクビ… MLB監督の厳しい現実

Andrew Lawrence

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10月はメジャーリーグにとって忙しい時期だ。それはフィールドの上だけの話ではない。

大変盛り上がった直近のワールドシリーズを含め、ファンが熱いポストシーズンに夢中になる一方で、いくつかの球団はメディアにニュースを提供した。過去5週間で、プレーオフに進出した3つのチームの監督が仕事を失った。多くのコーチングスタッフも同様だ。

 

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プロスポーツ界における仕事の安泰などないに等しいとはいえ、ジョン・ファレル、ダスティ・ベイカー、ジョー・ジラルディという3人の監督の解任は、多くのファンに疑問を抱かせたことだろう。

振り返ってみると、ファレルはレッドソックスでの5年間で3度地区優勝し、2013年にはワールドシリーズを制した。ベイカーはナショナルズでの2シーズンで95勝、97勝を上げ、いずれも地区優勝を果たした。そして3人のうちもっとも長く監督を務めたジラルディは、ヤンキースでの10年間で一度も負け越すことなく、6度ポストシーズンに進出し、2009年にワールドシリーズを制した。

一体どういうことだ? この3人の成功した監督たちはなぜ、急に仕事を探さねばならなくなったのだ?

少なくともナショナルズ、レッドソックス、ヤンキースといったビッグマーケットのチームにとっては、単に良い監督であるだけではダメなのだ。

「レギュラーシーズンでたくさん勝って地区優勝するだけでは十分でない。私たちのゴールはワールドチャンピオンだ」ナショナルズのマイク・リゾGMは、ベイカー監督の解雇を発表する際に言った。

曖昧な表現が飛び交うインタビューが多い中、リゾの率直さはこのスポーツにおける変化の早さを物語っているが、全ての組織がこうしたスタイルを好んでいるわけではない。

10月にフェンウェイ・パークでファレル監督の解任を発表した際、レッドソックスの編成最高責任者、デーブ・ドンブロウスキーは、より曖昧な説明をした。

「『オーケー、我々はポストシーズンで負けた」と言うような、安易な決断ではなかった。それは今回のことに関係ない」彼は言った。「この組織にとって、変化は良いことだと思ったんだ。2018年のレッドソックスにおける監督のポジションも…… 色んな要因があるんだ」

ある者は近年ワールドシリーズに勝てないことをファレル解任の理由と考える一方で(たった4年前に勝っているのだが)、ある者はレッドソックスのロッカールームに解任の理由があると考える。しかし、レッドソックスとナショナルズは過去2年、お互いをコピーしたようなシーズンを送っているという事実がある。彼らは2年続けて地区優勝し、2年続けてプレーオフ最初のラウンドで敗退した。才能豊かで高額なロースターを踏まえて、リゾとドンブロウスキーは方法こそ違えど、同じメッセージを送ったのだ。「ワールドシリーズに勝て、さもなくばクビだ」

後編につづく)

原文:For big-market MLB managers, being good just isn’t good enough

翻訳:Muneharu Uchino

Andrew Lawrence