ある分野の中で最高のものは何かについて議論することは、愚かなことかもしれない。しょせんは主観的な意見だからだ。好みは人それぞれで、正しい答えなど存在しない。
それを念頭に置いた上で、好きなように議論してみよう。2017年のワールドシリーズは、間違いなく史上最高のシリーズになる。まだ2試合を残しているものの、これまでの戦いぶりを見る限り、単調なシリーズになることはなさそうだ。
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史上最高の素晴らしい材料は全てそろった。このレシピを完成させるのは、ドジャースとアストロズだ。
小気味のいい投手戦(第1戦)、白熱した打撃戦(第2戦)、激しい点の取り合いの大乱戦(第5戦)。大事な場面でのタイムリーヒットやピンチを救う投球。大量のホームランに延長戦、そしてサヨナラゲームもあった。
ひいきのチームがないファンや、10月のこの時期だけ野球を見るような人たちの関心も集めるシリーズとなっている。史上最高のワールドシリーズになれるかどうかは、こういうファンがカギを握っているのだ。
今年のワールドシリーズを迎える前に、「史上最高」と称されたシリーズは3つある。1975年、1991年と2001年だ。
1975年ワールドシリーズ:レッズがレッドソックスに勝利
レッズとレッドソックスのシリーズは最終戦までもつれこんだ。5試合が1点差ゲームで、その内2試合が延長戦の末のサヨナラゲームとなった。延長戦の中でも最高の戦いは第6戦だ。点の取り合いの末、延長12回にカールトン・フィクスのサヨナラホームランで幕を閉じた。第6戦のおかげで影が薄くなってしまった第7戦だが、これも白熱した試合となった。フェンウェイ・パークで1点差のゲームを制したレッズがワールドシリーズのタイトルを手にした。加えて、このシリーズには後の殿堂入り選手5名とピート・ローズが出場していた。
1991年:ツインズがブレーブスに勝利
1991年のツインズ対ブレーブスも第7戦までもつれた。それぞれがホームで勝利を挙げる展開となった。1点差のゲームが5試合、その内4試合がサヨナラゲーム(ブレーブス2勝、ツインズ2勝)だった。中でも最も印象深いサヨナラゲームは第6戦。カービー・パケットがホームランを放ち、第7戦へと望みをつないだのだ。そして第7戦もまた、ものすごい試合となった。後の殿堂入り選手ジョン・スモルツとジャック・モリスの緊迫した投手戦となった。モリスが10回を投げ切り、1対0でツインズが完封勝利を収めた。
2001年:ダイヤモンドバックスがヤンキースに勝利
2001年のワールドシリーズもまた、ホームのチームが勝利を挙げる展開となった。9.11の影が色濃く残る中、ヤンキースとダイヤモンドバックスが懸命に戦った。1975年と1991年と同様、まれに見る接戦となった。1点差ゲームが4試合、延長戦は2試合、サヨナラゲームは3試合だった。9.11の後の強い感情が、このシリーズを史上最高のステータスに押し上げた。ヤンキースタジアムで行われた試合は特別だった。ブッシュ大統領の始球式には「テロリストを許さない」というメッセージが込められ、ジーターは「ミスター・ノベンバー」と呼ばれるきっかけとなるサヨナラホームランを放ち、スコット・ブロシアスが第5戦の9回にホームランを打ち勝敗を5分にした。大きなドラマにあふれていた。
その後、舞台を再びアリゾナに戻し、ランディ・ジョンソンとカート・シリングが活躍した。ヤンキースのマリアノ・リベラは、キャリアで初めてと言っていいほどの荒れた投球でリードを守り切れず、第7戦をダイヤモンドバックスがサヨナラで勝ち、ワールドシリーズを制した。
2017年:ドジャースとアストロズ?
ドジャースとアストロズが、この3つのシリーズに勝つことはできるか?そもそも匹敵するのか?5戦しか終えていない時点で、こんな質問をするのは愚かなことかもしれない。しかしそれほど、これまでの5戦が特別な試合だったのだ。2試合が残っているので、どんな方向に進むのかまだ分からない。もし、第6戦でシリーズが終了したら、その試合が史上最高のものでなければ、第7戦までもつれた試合よりも素晴らしいとは言うことは難しいだろう。特に、先述の3つのシリーズには及ばない。
しかし、これまでの5試合を見る限り、第7戦までもつれて、誰もが認める史上最高のシリーズとなったとしても、驚く人はいないはずだ。
原文:World Series 2017: Dodgers, Astros making case for best Fall Classic ever
翻訳者:Atsuko Sawada