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通常の野球シーズンにおいては、60試合と言う期間は個人タイトルを占うには小さすぎるサンプルだと考えられるだろう。6か月のシーズンのうちの2か月強に過ぎないからだ。残りの4か月でどのような変化でも起こる可能性がある。
例えば、2015年シーズンにナショナル・リーグのサイヤング賞を受賞したジェイク・アリエータのケースを見てみよう。アリエータの開幕後60試合時点での成績はけっして悪くはなかったが、サイヤング賞候補に名前が挙がるほど抜群のものではなかった(77回を投げて、71本の被安打、防御率は3.16)。だが、それから後に先発登板した20試合での成績は驚異的だった。147回を投げ、被安打はわずかに76本、防御率は0.86 をマークしたのだ。そのシーズンではザック・グレインキーとクレイトン・カーショウも驚異的な成績を残したのだが、彼ら2人の球界を代表するエースたちを抑え、アリエータが激戦のサイ・ヤング賞レースを制した。
だが2020年においては、60試合はサンプルではありえない。それはシーズン全体を意味し、全米野球記者協会(BBWAA)のメンバーたちは例年通りに個人タイトルの投票をしなくてはいけないのだ。両リーグの最優秀選手賞(MVP)、サイヤング賞、そして新人王の有力候補たちは以下の通りだ。
アメリカン・リーグ サイヤング賞
1.シェーン・ビーバー、クリーブランド・インディアンス
選ばれる理由:まずは予想の簡単なところから始めよう。このインディアンスの右腕は短縮された今シーズンの開幕からずっと圧倒的であり続けている。WARの数値(『FanGrapphs』, 『Baseball-Reference』のどちらの計算式においても)はMLB全体でトップだ。もっとも「最悪」だった試合においてすら、ビーバーは6回を投げ、8個の三振を奪い、4本の安打を浴び、2つの四球を出し、3点を失っただけなのだ。ビーバーは昨年初めてメジャーでフルシーズンに出場し、アメリカン・リーグのサイヤング賞投票で4位につけた。その2019年の成績と今年のそれを比較すると以下の通りになる。
2019: 防御率3.28, FIP 3.32, 1試合平均奪三振数10.9, 1試合平均被安打数7.8, WHIP 1.054
2020: 防御率1.74, FIP 2.13, 1試合平均奪三振数13.9, 1試合平均被安打数5.5, WHIP 0.857
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驚異的としか表現できない。ビーバーがアメリカン・リーグのサイヤング賞に相応しいことに疑問の余地はない。
2.前田健太、ミネソタ・ツインズ
選ばれる理由:過去何年かはロサンゼルス・ドジャースで先発と救援を行ったり来たりした前田だが、ツインズでは先発ローテーションで安定した役割を与えられ、その成果を見事に花咲かせた。インディアンスのエース、ビーバーに劣らず、1試合平均被安打数(5.3)とWHIP(0.758)ではむしろ前田が上回っている。60回2/3を投げ、わずかに36本の被安打と10個の与四死球に抑え、防御率は2.52、1試合平均奪三振数は10.5だ。素晴らしい成績だと言えよう。
3.ランス・リン、テキサス・レンジャーズ
選ばれる理由:リンは他の候補投手たちのように、1試合につき2桁の三振を奪っているわけではない。1試合平均奪三振数の数値では、ルーカス・ジオリト(11.7)、柳賢振(10.2)、カルロス・カラスコ(10.7)、ゲリット・コール(11.9)らの方がリンより上だ。だがリンは不振を極めるレンジャーズの中にありながら、シーズンを通して優れた成績を挙げ続けた。1回につき1個以上の三振を奪い(78 回1/3で84個)、シーズンでたったの52本しか安打を許していない。先発登板した12試合のうち9試合で失点を2点以下に抑えている。
アメリカン・リーグ最優秀選手賞(MVP)
1. ホセ・ラミレス, クリーブランド・インディアンス
選ばれる理由:インディアンスは8月31日のトレード期限日において先発投手のマイク・クレビンジャーをトレード放出し、その見返りになる攻撃戦力の補強は行わなかった。そのため、ラミレスのラインアップにおける役割はさらに大きくなることになった。9月に行われたこれまでの14試合で、ラミレスは本塁打8本、17打点、13得点、打率.407、OPSは1.374 の好成績を残している。直近の5試合に限れば(そのうちでインディアンスは4勝し、プレーオフ進出を決めた)、ラミレスの打率は.550、本塁打5本、2塁打3本、13打点である。その中には9月22日(日本時間23日)のシカゴ・ホワイトソックス戦で放ったサヨナラ3ラン本塁打も含まれる。これは小さなサンプルかもしれないが、今シーズンそのものが小さなサンプルなのだ。レミレスのfWAR(FanGraphs式)は3.2で、これはMLB全体でトップの数字である。本塁打数(17)と盗塁数(10)の両方で10を越えている4人の選手のうちの1人でもある。
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2.ホセ・アブレイユ、シカゴ・ホワイトソックス
選ばれる理由:シーズン前からホワイトソックスの若く才能ある選手たちの前評判は高く、チームの再生が期待されていた。だが、アブレイユが今年にこれほどの活躍を見せることを予想した人は少ないのではないだろうか。アブレイユは打点(55)、長打率(.641)、安打数(73)、そして塁打数(141)でアメリカン・リーグの1位であり、打率.333、OPS+は176、本塁打18本、2塁打14本、そして40得点を挙げている。bWAR (Baseball-Reference 式) の数値ではアメリカン・リーグ全野手の中で1位である。
3.シェーン・ビーバー、クリーブランド・インディアンス
選ばれる理由:投手がMVPに選ばれるべきだろうか? 私は2014年のナショナル・リーグMVPに投票権を有した30人のうちの1人だ。その年、クレイトン・カーショウがジャンカルロ・スタントン、アンドリュー・マカッチェンらを抑えて、MVPを獲得した。簡単な決断ではなかったが、私は1位カーショウ、2位スタントン、3位マカッチェンの順で投票した。つまり、私は投手もMVPに選ばれるべきだと考えている。そしてビーバーはにわかには信じがたいほどの好成績を残してきている。問題はビーバーの先発登板数がここまでたったの11試合で、あと1試合しか足されないだろうことだ。比率は同様であることは分かっているが、シーズンに12試合しか出場していない選手がMVPに相応しいかどうかは、正直なところ確信が持てない(私は今年の投票権を持っていないが、もし持っていたら、の話だ)。
アメリカン・リーグ 新人王
1.カイル・ルイス、シアトル・マリナーズ
選ばれる理由:ルイスはマリナーズにとって貴重な新戦力になった。2020年シーズン開幕後2試合で本塁打を放つ活躍で始まり、ここまで打率.272、本塁打11本、OPSは.837、そしてfWARの数値は1.9の成績を残している。
2.ルイス・ロベルト、シカゴ・ホワイトソックス
選ばれる理由:ロベルトが将来のスターになる才能に恵まれていることは誰の目にも明らかだ。今シーズンは好不調の波が激しかった(8月末に.298/.960だった打率とOPSが、現在では.225/.741にまで落ちている)ことが、新人王レースには不利な材料になるだろうが、それでもロベルトが素晴らしい選手になることは間違いない。
3.クリスティアン・ハビエル、ヒューストン・アストロズ
選ばれる理由:チームのベテラン投手陣が故障や不調で大崩れになったなか、ハビエルは安定した成績で先発ローテーションの一角を守り続けた。9試合に先発登板し、防御率3.33とWHIPは0.99の成績を残している。
ナショナル・リーグ サイヤング賞
私には今年の投票権はないが、それはこの極めて難しい選択に頭をかきむしるであろう30人の全米野球記者協会(BBWAA)の1人にならなくてすむことを意味する。それほどまでにこの投票は難しい。なぜなら下の数字を見てほしい。
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- 10人のナショナル・リーグの投手が1.9~2.6のfWARを持ち、
- その10人のうちの6人が防御率を2.22以下に抑え、
- その6人のうち4人がFIPを2.50以下に抑え、
- その4人が4人とも1試合平均奪三振数が11.48以上。
サイヤング賞はその4人から選ばれるべきだと誰もが思うだろう。その4人の先発投手とは以下の彼らである。
- ダルビッシュ有、シカゴ・カブス:fWAR 2.6、防御率2.22, FIP 2.22, 1試合平均奪三振数11.48
- ジェイコブ・デグロム、ニューヨーク・メッツ:fWAR 2.6、防御率2.14, FIP 1.99, 1試合平均奪三振数13.43
- コービン・バーンズ、ミルウォーキー・ブリュワーズ:fWAR 2.6、防御率1.77, FIP 1.78, 1試合平均奪三振数13.34
- ディネルソン・ラメット、サンディエゴ・パドレス:fWAR 2.3、防御率2.07, FIP 2.50, 1試合平均奪三振数12.26
しかし、この4人以外にもまだこれだけの投手が残っているのだ!
トレバー・バウアー、シンシナティ・レッズ:fWAR 2.0、防御率1.80, FIP 3.15, 1試合平均奪三振数12.18
マックス・フリード、アトランタ・ブレーブス:fWAR 1.9、防御率1.96, FIP 2.61, 1試合平均奪三振数8.18 ― 今シーズンの被本塁打数ゼロ!
クレイトン・カーショウ、ロサンゼルス・ドジャース:fWAR 1.6、防御率2.15, FIP 2.94, 1試合平均奪三振数9.77
ルイス・カスティーヨ、シンシナティ・レッズ:fWAR 2.2、防御率2.86, FIP 2.72, 1試合平均奪三振数11.59
この中から1人だけを選ぶことは本当に難しい。投票権を持つ人々に同情する。
ナショナル・リーグ 最優秀選手賞(MVP)
1.フレディ・フリーマン、アトランタ・ブレーブス
選ばれる理由:フリーマンはこれまでにナショナル・リーグMVP投票トップ8に4回選ばれている。その中での最高位は2018年の4位だ。まだまだ予断は許されないが、今年はついにこの賞を獲得するかもしれない。フリーマンは主要な打撃成績カテゴリーのほとんどで3位以上の成績を残している。OPS(1.106)、打率(.347)、打点(50)、fWAR (3.1) 、そして長打率(.463)がそれに含まれる。
2.フェルナンド・タティス・ジュニアとマニー・マチャド、サンディエゴ・パドレス
選ばれる理由:もちろん2人が同時にMVPを受賞することはありえないが、これはコラムであって、正式な投票ではないので、同じパドレスに所属する2人の素晴らしい選手を同列に語ってみたい。タティスは爆発的なスタートを切り、その後やや失速した。マチャドはその逆ではあったが、2人が挙げた成績は非常に似通っている。
(タティス、マチャド)の順:本塁打(15,16)、打点(41,47)、fWAR (2.9, 2.7) 、OPS (.930, .983) 、 得点(47, 42), 出塁率 (.369, .378), 盗塁 (11, 6)
この通り、2人ともMVP投票トップ3に相応しいことが分かるだろう。
3.ムーキー・ベッツ、ロサンゼルス・ドジャース
選ばれる理由:鳴り物入りでドジャースにトレード入団し、大幅な契約拡張を勝ち取ったベッツにとって、期待された通りの活躍を見せるのは不可能に近いとさえ思われた。だが、ベッツはドジャースがこれ以上望めないほどの成績を残した。bWARの数値は3.2で、ナショナル・リーグのトップであるし、OPSは.960、本塁打16本、39打点、そして盗塁9個である。
ナショナル・リーグ 新人王
1.デビン・ウィリアムズ、ミルウォーキー・ブルワーズ
選ばれる理由:今シーズンの投球イニング数はわずかに25回ながら、ウィリアムズの成績は素晴らしい。被安打は6本、与四死球は9個、そして奪三振数は52個だ。
この数字は誤記ではない。52個の三振を奪う間に、6本の安打しか打たれていないのだ。防御率は0.36、FIPは 0.74、そしてたった25イニングで1.4 のfWARを挙げている。他の素晴らしい新人選手たちには悪いが、ウィリアムズは私のイチ押しだ。
2.ジェイク・クロネンワース、サンディエゴ・パドレス
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選ばれる理由:9月に入ってからはやや調子を落としたが、クロネンワースはパドレスの今シーズンにおける大躍進の重要な役割を担ってきた。シーズンのほとんどの期間で打率は3割を越えていたし、出塁率とOPSも申し分ない。
3.アレク・ボーム、フィラデルフィア・フィリーズ
選ばれる理由:ボームは8月にメジャー昇格を果たし、9月に入ってから目覚ましい活躍を見せた。9月に入ってからの打率は.367、出塁率は.431、そしてOPSは.965の成績を残している。
(翻訳:角谷剛)