マルティネスとダルビッシュ有のような選手に関してはどうだろうか?彼らに投げる場所を切望させて年俸を抑えることはビジネスとして成功である。最近の記憶では、今オフは最も動きの鈍いスタートだ。これがチームの節約によるものだとしたら、なぜ過去にも同じことをしなかったのか?ウェイド・デービス、カルロス・サンタナ、ジェイ・ブルースとザック・コザートも値下げできたはずである。
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FA以外の市場が活発だったという言い訳もある。大谷翔平、ジャンカルロ・スタントン、マーセル・オズナ、ゲリット・コールがどの球団と契約するのか、タンパベイ・レイズがエバン・ロンゴリアに続いて、クリス・アーチャーを放出するのか、そちらの動向を見守るのに忙しかった。それらがFA市場を遅滞させているのだ。しかし、全ての競合しているチームがFA選手獲得の代償に放出するべきプロスペクトを抱えているわけではない。
私は内部関係者ではない。球団のフロントで働いている人間の電話番号も知らないし、例え知っていたとしても、FA市場を停滞させている理由が球団同士の共謀によるものだとは教えてくれないだろう。
スポーツサイト「SBネーション」に記事が載っていたが、野球界での結託は前例がなかったわけではない。前例はあるのだから、今も起こっているかもしれない。球団が経費削減を考えている背景には、労使協定によりペナルティーが厳しくなった新しいぜいたく税の存在がある。そのことが経費削減を考える理由となったのだ。ハーパーとマチャドが2018年シーズン後にFAとなることも影響している。
選手組合は、ここ数年で弱体化している。そのため、サラリーキャップに似たものが施行され、このことが現状に少なからず影響を与えている。多くの名だたる選手たちが所属球団のないまま、スプリングトレーニングを迎える可能性も大いにある。ベテラン選手は言うまでもなく冷遇されるだろう。MLBPA(選手会)は彼らを失望させているのだ。
野球界は、金銭的に困っているわけではない。テレビのMLB有料放送は加入者を増やしており、30名の球団オーナーにより設立されたMLB Advanced Media(MLBAM)にディズニー社が投資したことで、全球団はかなりの金額を一括で受け取っている。まだ市場に残っているFA選手で構成したロスターは、メジャー屈指のチームと互角に戦えるだろう。なぜ、球団はこんなに質の高い選手を獲得しようと思わないのか?
大きな利益を生むために年俸を下げようとチーム間で結託しているとは、絶対的な確信を持っては言えない。ただ単に、最大限の見返りと最小限のリスクのために、価格が下がるのを待った方がいいと冷静に判断しているだけかもしれない。この判断が結果的に、結託を助長する対話につながったのだ。
真実がどうであれ、この結果は選手にとっても野球界にとっても非常に悪影響である。節約という名目で、球団は意図的に悪い方向へ進んでいる。トップ選手たちは最終的に、実際の価値よりもはるかに低い年俸で雇われてしまうかもしれない。効率性ばかりを追求する経営陣が市場を占拠し、選手たちからそれを奪ってしまったのだ。
野球が資本主義的な構造の中で存在し、経営陣が野球ファンよりも自分たちの経済ゲームを重視しているのは理不尽なことだ。しかし、全てのスポーツが同じような状況に陥ってからだいぶ月日が経つのだ。
人を小バカにしたやり方で、利益を増やし支出を減らすために、チーム同士が結託する必要はない。より簡潔で効果的な方法があるはずだ。FA市場の現状がチーム間の結託によるものでないのならば、本物の結託がどんなものか、考えるだけでゾッとする。
原文:MLB owners seem to want more money in their pockets, not those of players
翻訳:Atsuko Sawada