無風状態。閑散期。信じられないほどの退屈に混乱した耐えがたい時期。今オフの現状は、どのような言葉や言い回しも当てはまる。コロラド・ロッキーズが積極的にブルペンを補強している以外は、今期のストーブリーグは氷河期に陥っている。
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これは偶然ではない。球団は金額が下がるまでFA契約を凍結しようとしている。チームは選手にあまり資金を投入せず、節約したいのだ。多くのチームが同じ戦略を取っているのは、偶然ではないだろう。
米メディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者は、最近の記事で、代理人スコット・ボラスのクライアントの多くがまだ市場に残っていることについて、こう述べている。「多くのチームが、市場の動きを鈍くする新戦略を採用し、選手たちを金額の抑えた契約に追い込もうとしている」そのことに薄々気付いてはいたが、それを書面で目にするのは興味深い。多くのチームが同時に同じ動きを取っている理由はいくつかある。
チーム間に暗黙もしくは明白な合意があるということだ。金額を抑えるという名目でFA契約を競わないよう同意しているのだ。
疑わしきは罰せずの原則で、結託はないと言いたい。なぜフロントは、提示額が下がるまでFA選手と契約を締結しないことが最善策だと決め込んでいるのか?そこには、新たに厳格化されたぜいたく税の問題がある。ロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・ヤンキースなどの巨大球団は是が非でも年俸を抑えたい。しかし、全ての球団がぜいたく税の基準額に達するというわけではない。サラリーキャップの代替であるぜいたく税は、多くのチームにとっては問題にはならない。
2018年シーズン後にFAとなるブライス・ハーパーとマニー・マチャドのぜいたく税に対処するために、ドジャースとヤンキースは節約しているのだ。しかし、中堅の球団が突然トップ選手の獲得に躍起になる可能性もある。
正直に言って、今、市場に出ている大半の選手は、大金を支払う価値のない選手だ。エリック・ホズマーとマイク・ムスタカスは過大評価をされており、チームはより進化した指標の出現が必要だということを自覚している。しかし、彼らは何年も同じ指標を使用してきた。失敗した契約は、その場限りではなくずっと続くのだ。1年前、ロッキーズが一塁手のイアン・デズモンドと締結した7000万ドルの契約や、マーク・トランボの3750万ドルの契約などは成功とは言えない。
球団はオーナーが所有する資産である。オーナーは資産を活用して大きな利益を生み出したいのだ。その中で、選手は最も大きな経費である。より大きな利益をもたらすものは何か?12月初旬にJD・マルティネスと1億2000万ドルの契約を結ぶのか、それとも、2月に8500万ドルで獲得するのか?1300万ドルでトッド・フレイジャーもしくはアディソン・リード(1月11日時点)と契約するのか、それとも、同じ金額を必要に応じてトリプルAに簡単に動かすことのできる最低年俸の選手たちに与えるのか?
ロスターの25人枠と現代野球の柔軟性を考えると、チームにとって大切なことは、TTO率の高い選手や速球のリリーフ投手を育てることだ。科学的トレーニングや飛ぶボールのおかげで、野手は以前よりパワーのある打球を飛ばすし、投手はより球威のあるボールを投げる。効率を重視する分析文化においては、ベテランFA選手よりも実績のないコストを抑えた選手を高く評価する方が容易である。
(後編へ続く)