MLBストーブリーグ:不確実性に彩られたオフシーズンが到来。予想される5つのシナリオ

Ryan Fagan

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ワールドシリーズが終了した。これからの数週間、ドジャースのファンにとってはお祝いの日々になるだろうが、レイズのファンは何がいけなかったのかと悩み続けることになるだろう(例えば、「あの6回さえなければ」)。

それ以外の人にとっては、もはやオフシーズンの楽しい話題を語り始めてもよい時期になった。これから皆が話し始めるであろう5つのシナリオを挙げてみた。もし、ジャスティン・ターナー事件の余波がしばらくは続くだろうことを含めると6つになる。

オーナーたちは「金がない」と嘆くだろう

この話はもちろん既に始まっている。

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そしてMLB球団オーナーたちの収益 - 全体的に安定した収益のグループ -は今年の野球から生まれた配当からは充足されていないことは否定できない。つねにオーナーたちの利益に寄り添った立場を取るMLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は今週スポーツビジネス・サイト『Sportico』のインタビューに応じ、今シーズンにMLBオーナーたちが負った巨額の負債について語っている。

以下は『Sportico』記事の抜粋:

今シーズンにおいて、MLB全30球団がさまざまな形態で負った負債は前例のない83億ドル(約8,683億円)に及び、28億ドル(約2,929億円)から30億ドル(約3,139億円)の営業損失を計上することになると、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは10月26日に行われた独占インタビューでSporticoに語った。

新型コロナウイルスの影響により、無観客でシーズンを開催したため、球場からの収入が無かったことが球団の負債が積み上がる結果につながった。

「私たちの負債額は歴史的に大きなレベルになるでしょう」とマンフレッド氏は言った。「そして、もし来年も球場に観客を入れることができないか、あるいは試合数などに制限がかかるようなことがあれば、私たちの事業を継続することはとても困難になります」

我々はいくつかの球団がそうした損失を削減するために低給料の従業員たちを何百人単位で解雇したところを目の当たりにしてきた。好ましいことでないが、それが現実だ。

選手たちはオーナーたちの言うことを信じないだろう

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この話ももちろん既に始まっている。最初の例は フランシスコ・リンドーアだ。

スポーツ専門誌『The Athletic』Zack Meisel記者のツイートから:

リンドーアが言及している契約とは、TBSとMLBの間で合意された32億ドル(約3,453億円)の7年契約のことだ。この契約は2022年に始まり、年間価値が40%増加すると見られている。TBSはレギュラー・シーズンとポスト・シーズンの両方でより多くの試合放映権を手に入れ、そしてその巨額な金はMLB球団オーナーに流れることになる。

2つ目の例はムーキー・ベッツの契約だ。ロサンゼルス・ドジャースとベッツが7年総額3億6500万ドル(約391億円)の契約延長に合意したのは6月末だ。2020年シーズンの開幕が長期延期され、再開されるシーズンが継続できるかどうかさえも誰も予想できなかった時期のことである。1年目の結果は非常に上手くいった。

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そしてこのオフシーズンにはフリーエージェントとなる選手たちへの残留申請が行われるだろう。その額は1780万ドル(約18億6千万円)から1890万ドル(約19億8千万円)へと増加した。この数字は2020年シーズンのトップ125人の年俸(フルシーズン年俸。新型コロナウイルスによってシーズンが短縮された分のものではない)を平均したものだ。球団側はワールドシリーズが終了してから5日以内に自チーム内のフリーエージェント資格がある選手たちへ残留申請を出すかどうかの判断をし、申請を受けた選手には1週間の返答期間が与えられる。つまり、球団が選手たちにどれだけの価値を見出しているのか、そしてドラフトにどれだけ費用を用意するかが明らかになるのは、それほど先のことではない。

大胆な球団が有利になる

少なくともいくつかのチームは収益を確保することより勝つことを目指すべきだ。そうしたチームは選手たちの獲得に巨費を投じることを躊躇しないチームと争うことを避け、早い段階で選手たちと契約する機会がある。

そこには素早く大胆な行動が求められ、それが報われるだろう。多くのスター選手たちが1月か2月までフリーエージェント市場に残ることを選ぶだろうから、それほどたくさんのチャンスがあるわけではない。だが、いかに早い段階で契約をまとめることができるかが2021年シーズンを占うカギとなるかもしれない。

単年契約が主流になるかもしれない

トレバー・バウアーはずっと以前からフリーエージェントに対してユニークなアプローチを取ることを明言していた。長期契約を狙わず、毎年のオフシーズンに次の単年契約先を探すと言うのだ。長期契約による身分の保証を諦める代わりに、もしバウアーが健康で好成績を挙げ続けることができれば、もっと多くの金を稼ぐことができる。球団からしても、4年で9千万ドル(約94億2千万円)を払うより、1年で2千500万ドル(約26億2千万円)を払うことを望むだろう(この金額は仮のものである。バウアーの年俸を予想したものではない)。リスクは球団側に少なく、選手側のそれがより大きくなる。

だが、この異例なオフシーズンは多くの不確実性が支配している。バウアーのようなアプローチを取る選手が他にも現れる可能性は大いにある。通常であれば、単年契約は故障明けの選手や復活を期す選手によく用いられる。2019年シーズンのジョシュ・ドナルドソン(アトランタ・ブレーブス)がその一例だ。今オフシーズンは他のフリーエージェント選手たち - 例えばジョージ・スプリンガー、マーカス・ストローマンらのように -が単年契約を選ぶことは理にかなっている。2020年には大幅な減収を余儀なくされたMLBの経営状態が来年以降には持ち直し、来年のオフシーズンにはもっと条件の良い長期契約が可能になるという望みがあるからだ。

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さまざまな理由から、球団側もこの単年契約を好むことは容易に予想できる。

誰がトレードされるだろうか?

2021年シーズン以降にフリーエージェントとなる選手はまことに多士済々だ。そのうちの何人かはこのオフシーズンに動きがあるかもしれない。リンドーアはそのリストのトップに来るだろう。インディアンスがリンドーアに好条件の長期契約を持ちかけるとは思えないからだ。同じような状況にある選手たちとして、トレバー・ストーリー、マイケル・コンフォルト、クリス・デービス、サルバドール・ペレス、そしてシカゴ・カブスの4人組であるクリス・ブライアント、ハビアー・バエズ、カイル・シュワーバー、アンソニー・リゾらの名前を挙げることができる。

(翻訳:角谷剛)

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.