MLBオールスターをNBAのように最高に楽しくエキサイティングなイベントにするには

Ryan Fagan

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NBAオールスターの新フォーマットは大きな成功を収めました。今までとは違い、ファンは試合が終了する直前までテレビの前に釘付けにされ、選手も含めて全員が勝負の行方に最後まで関心を持ち続けました。

実際にとてもスリリングな展開でした(フリースローで決着がついたことだけは興ざめでしたが、これは来年から簡単に改善できるでしょう)。そして、そのスポーツ界の最高選手たちを集めたイベントのエンターテイメント性を高めるための斬新なアプローチが何であるかを示してくれました。

だからこそMLBにも耳を傾けてほしい。私たちは3日間に渡るオールスター・イベントを盛り上げ、そして9イニングを通してファンに試合への興味を持ち続けさせるための多くの案を持っています。

準備はよろしいですか?

 

オールスター戦の新形式

オールスター戦は展示会のようなものです。それでも試合の勝敗にこだわるべきという古い考えは捨てる時期に来ています。だから、もっと楽しい試合形式を考えようではないですか。NHLは既にオールスター戦がレギュラーシーズンのアイスホッケーの試合と同じでなければいけないという考えを完全に捨てています。それは3人対3人のトーナメントで、NBAがやっていることも明らかに同じです。

そこで、MLBの真夏の祭典についての提案です。9イニングを3イニングごとの3つに分割しましょう。そして1部ごとに地区を配置するのです。例えば最初の3イニングをアメリカン・リーグ東地区オールスター対ナショナル・リーグ東地区オールスターの対戦とし、続く4-5-6イニングは中地区同士の対戦、そして最後の3イニングを西地区同士の対戦とします。

そうするとどうなるでしょうか? 3イニングごとの得点は次に引き継がれます。だから、試合の勝敗そのものは現在と同じくアメリカン・リーグ対ナショナル・リーグの構図で決まります。ですが、例えばアメリカン・リーグ東地区と中地区がナショナル・リーグに対して5-2でリードしたとして、最後にアメリカン・リーグ西地区がリードを守り切れず、ナショナル・リーグが試合をひっくり返す、なんてことが起こりえます。それは地区の恥にもなりますし、リーグの名誉にもなります。

ファンはこれを喜ぶはずです。この形式はスーパースターたちが試合全体に散らばることにもなるからです。現在のやり方だと、ファンの人気投票で選ばれたスター選手たちのほとんどが最初の6イニングでいなくなってしまい、試合終盤の重要な場面に出てくるのは控えの選手たちなのですから。

こんな場面を想像してください。アメリカン・リーグ西地区がホセ・アルトゥーベ、マット・チャップマン、マイク・トラウトを7回に試合へ送り出すのです。実際の2019年オールスターでアメリカン・リーグが7回に出場させた打者はウィット・メリフィールド、カルロス・サンタナ、そしてダニエル・ボーゲルバックの3人だったことと比べてみてください。この3人には失礼な言い方になってしまいますが、すべてのイニングにスター選手たちが現れることで、ファンの関心を高いままに保つことができるでしょう。

もし9回を終えて同点だった場合は? 一旦、すべてをリセットします。両チームの監督は延長戦にどの選手をどの打順やポジションで使ってもよいこととします。そうなると投手だけは延長戦用に温存しておく必要はあります。一度試合で投げ終えた投手に10回にもう一度マウンドに登ってくれとは言えないからです。その点は現在と同じです。

オールスター出場する選手たちの選考方式は現在と同じでよいでしょう。ファンはポジションごとにお気に入りの選手に投票することができます。ただ、ファン投票1位の選手が最初のイニングに出場しないかもしれないのですが、それでも試合のどこかでの出場機会は保証されます。各チームは最低1人の代表選手を送り出し、控え選手や投手たちは現在と同じ方法で選出します。地区ごとの人数が足りない場合はロースター枠を広げても何の問題もありません。

また、地区が登場する順番を決める方法はいくつか考えられます。毎年規則的に順番を変えるか、前年度のワールドシリーズ優勝チームの監督に決定権を与えてもいいでしょう。例えば、2020年はワシントン・ナショナルズのデーブ・マルティネス監督がクリーブランド・インディアンズのトレバー・バウアー投手を先発投手にしたいと思えば、中地区から試合を始めるということです。

 

スキル・コンテスト

私は先週NHLのスキル・コンテストの会場にいました。いくつか運用に不備があったものの(これは別の話ですが)、全体的にとても楽しいアイデアだと思いました。

MLBには既にホームラン・ダービーがあります。これは無くすべきではありません。時間制限を設ける新形式は成功だったと思いますので、それをもう少し短縮することによって、あと1つか2つ別のコンテストを足すことができるでしょう。MLBはNHLが行っているコンテストを参考にできます。正確性を競うコンテストと今年から始まったシュートアウトです。

パワーの持ち主だけではなく、殿堂入り選手ウィリー・キーラー氏の言葉を借りるなら「誰もいないところに打つ」テクニックを持った選手も賞賛しようではないですか。

外野に4つ、内野に2つ、合計6つのターゲット(大きなネット)をフィールド内に散らばるように設置します。1人の選手はターゲットごとに3回スイングを許され、合計18スイングでもっとも多くのボールをターゲット内に打ち分けた選手が勝利を得ます。

そして、このコンテストを本当に楽しみたいのなら、あのイチローを登場させましょう。そうです。この数十年間でもっともバット・コントロールが優れていたと思われるイチローのことです。本人が出場を望めば、ではありますが

実を言えば、このアイデアは韓国プロ野球で行われているバント・コンテストの完全な真似です。

そして、NHLから別のアイデアを借りましょう。俊足ランナーの競走をするのです。ベースを1巡するタイムを競います。もっとも速いランナーが勝者です。

バッターにバントをさせて、ボールをバットに当てた瞬間に時計をスタートしてもいいでしょう。あるいは単にホームベース上で陸上競技のようにスタートしてもよいかもしれません。

どちらにしても、このスピード・コンテストには時間はかからず、楽しいイベントになるでしょう。出場する選手はオールスターに選ばれた選手に限定します(ビリー・ハミルトンには悪いですが)。

 

(翻訳:角谷剛)

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.