MLBの黒歴史:キング牧師の暗殺と、史上最悪の経営陣【第3回】

Sean Deveney

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選手たちの意思表示

ほとんどのオーナーたちは入場料損失のリスクに着目し、試合決行を望んだ。が、予定している開幕日に試合をすれば、キング牧師に対する不敬というメッセージになるということが分かると、どのチームも月曜日の開幕戦の試合開始を遅らせることを決定した。リーグ本部からの命令によってではなく、彼ら自身でそうしたのだ。

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当初オーナー陣は、キング牧師の葬儀が終わった後なら火曜日に試合をしても不敬ではないだろうと考えていた。しかし、選手たちはより強硬な構えをとった。ロースターに最多の黒人選手がいるピッツバーグ・パイレーツ(25人中11人)では、選手の代表モーリー・ウィルスがチームの話し合いの場を設け、黒人選手たちはヒューストンでの開幕戦への参加に反対だとチームメートたちに語った。ヒューストンでは、アストロズが4月9日、キング牧師の葬儀後に試合を決行しようとしていた。

ウィルスはすぐにチームのラテンアメリカ系および白人の選手たちからの支持を獲得した。経営陣から出場資格を剥奪されたり罰金を課せられたりするとしても、25人のパイレーツ選手は全員、キング牧師の葬儀の同日に試合をすることを拒否するつもりだった。結束を示すため、選手たちは共同声明を出したが、それはウィルスではなく、プエルトリコ出身のロベルト・クレメンテと白人の投手デーブ・ウィッカーシャムから出された。

「我々がこうするのは、我々白人、黒人の選手たちは、キング牧師が人類のために行ったことを尊敬しているからだ」と彼らは声明で語った。「キング牧師は黒人や白人のことだけでなく、貧しい人々のことも考えていた。彼の思い出と理想に報いるため、我々はこの意思表示をする」。

各チームがそれぞれの決定を表明し、4月7日の日曜日までに、9試合の開幕戦が水曜日に変更された。しかし1チームは続行しようとした。皮肉にも、ジャッキー・ロビンソンのいたドジャースだった。オーナーのウォルター・オマリーは、キング牧師の葬儀であろうと、火曜日の夜にロサンゼルスでドジャースのシーズンを開幕したいと思っていた。

ナショナル・リーグの会長ウォーレン・ジャイルズは、収入面というエッカートの視点を支持し、ロサンゼルス・タイムズに「ドジャースが葬儀の何時間も後で試合をすることについて、不敬な点は何も見られない。葬儀中には中断し、葬儀が終わってから再開するというのは、ビジネスでは一般的に受け入れられる慣例である。決定はドジャースに委ねる」と語った。

しかし、ドジャースの対戦相手になるはずだったフィリーズは、パイレーツと同様、試合を辞退すると言った。一塁手のビル・ホワイトが先導し、土曜日にチームの黒人選手5人が辞退し始めた。彼らはキング牧師の葬儀の同日の試合には参加しないと言った。選手たちはすぐさまチームのオーナー、ボブ・カーペンターの支持を得た。彼は、ドジャースが譲らない場合、チームは出場資格剥奪を受け入れると言った。

最終回へ続く)

Sean Deveney

Sean Deveney is the national NBA writer for Sporting News and author of four books, including Facing Michael Jordan. He has been with Sporting News since his internship in 1997.