スプリングトレーニングの成績は全く当てにならない。そんなことは百も承知だが、我々はどうしても結論を急ぎたがるものだ。
多くの野球関係者は、フロリダとアリゾナでの退屈な6週間で見た結果を信用すべきでないと言うはずだ。ある選手がどんなに良さそうでも、きっとそこまでは良くないはずだし、どんなに悪そうでも、きっとそこまでは悪くないはずだ。だからこそ野球界には古くから、3月や9月に見たものは絶対に信じるな、という格言があるのだ。
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チームとファンは、見たものを絶対に信じたいと思うこともあるし、全てが不愉快な妄想だったと祈りたくなることもある。3月はその両方の例が、球界で最も有望な2人の若手において見られた。
フロリダのブレーブスのキャンプでは、球界一の天才と絶賛されている20歳のロナルド・アクーニャが話題を集めた選手にふさわしい活躍を見せている。アリゾナのエンゼルスのキャンプでは、野球の常識を変える可能性を持つ二刀流のスーパースター、“日本のベーブ・ルース”こと大谷翔平がほとんど期待に応えていない。
最も有望な2人の選手が、全く対照的なスプリングトレーニングを過ごしているのだ。しかし、それで何が判断できると言うのか? 簡単に答えると、例によって「まだ分からない」となる。熱狂も嫌気もほどほどに抑えるのが賢明だ。
3月19日のオープン戦を前に、アクーニャは44打数で、打率.432、出塁率.512、OPS(出塁率+長打率)1.247をマーク。確かに優れた成績だ。19日を前に、打率、出塁率、OPSが全て球界全体で2位となるほど優れている。つまり、彼はまさしくブレーブスが望んでいる選手だ。あるスカウト曰く、殿堂入り級の数字を残せるような、フランチャイズを代表する顔になる可能性を持つ選手なのだ。
「彼は本物です。彼についての記事や話は全て本物です」とブレーブスのブライアン・スニッカー監督は、USAトゥデイに語った。「彼が才能に恵まれた野球選手であることは疑いありません。彼がもっと上手くなるかって? もちろんです」。
更にスニッカーはMLB.comにこう語った。「彼はマイナーリーグの経験は多くありません。今はいきなり頭角を現す選手なんてめったに出てこない、若手にとって厳しい時代なんですけどね」。
以上を解釈すると、希望的だが現実的な目で3月を判断してくれ、ということだ。
(後編へ続く)