MLBの「乱闘文化」が変化?ヤンキース対レッドソックスの宿敵対決から分析する

Joe Rivera

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4月11日のニューヨーク・ニックス(ヤンキース)とボストン・レッドソックスの試合で最も興味深いのは、乱闘の間に起きたことではなく、その前に起きたことだ。

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1回表にアーロン・ジャッジがレッドソックスのクリスチャン・バスケス捕手と冗談をかわしたとき、彼らは笑っていた。

アレックス・ロドリゲスとジェイソン・バリテックが大乱闘をし、ペドロ・マルティネスがベンチコーチをグラウンドに叩きつけたのは過去のことだ。私はそう思った。ヤンキースとレッドソックスのライバル関係はなくなった。決してぶり返すことはない…。

そうしていたところに、あのタイラー・オースティンの疑問符のつくスライディング、そして続くジョー・ケリーのオースティンの脇に向けた速球だ。

野球にはたくさんのくだらない争いがある。だが、11日のヤンキースとレッドソックス、そしてコロラド・ロッキーズとサンディエゴ・パドレスの間には、新鮮な空気があった。競争心の強い空気だ。

確かに、我々は野球から有害な男性性を取り除こうとしている。野球文化が大きな変化を迎えているのは、私も十分に承知している。過剰な男っぽさなどが目立つと、概して野球文化の見え方は悪くなる。特に今の社会ならなおさらだ。

野蛮かといえば、もちろんだ。暴力への訴えかといえば、当然だ。だが、時速98マイルの速球を脇にぶつけられ、相手に向かって自分を守ろうとするのは、何も間違えていないと思う。選手たちが傷つくのは見たくない。それが副作用ということも時にある。

すべての試合がマンガのラストシーンのバトルみたいであるべきと言っているのではない。もちろん、それは野球にとって悪いことだ。だが、選手がチームメイトのために立ち上がり、身を顧みずに仲間とその名誉を守ろうとするのは、野球にとって素晴らしいことだ。フィールドに友人がいるのは良い。だが、試合前にライバル同士が冗談をかわすのは、時に少し不愉快だ。

エージェントが同じという選手も多く、オフシーズンに同じジムでトレーニングしてはいるものの、野球におけるバトルは、真の競争意識につながる。SNSでのファンのリアクションを見ても分かるだろう。現役時代にヤンキースとレッドソックスの関係の悪さを見てきたポール・オニールも認めている。

「ファンは喜ぶんじゃないかな。興奮するし、これから両チームの対戦ごとにドラマが加わることになるしね」。

すべての試合で興奮し、そこにドラマがある。それこそ、ファンが望むものではないだろうか。地区のライバル同士ならなおさらだ。『子供への影響』なんて議論は耳にしたくない。乱闘が野球に本来備わっているべきものとまでは言わないが、時にはそこまでになることもある。彼らは大人だ。どうして自分たちで自分たちの態度を明確にしてはいけない?

結局のところ、スポーツとは何にもましてエンターテイメントなのだ。ジャッジやジャンカルロ・スタントン、CC・サバシアがアメフトの選手たちみたいに大勢のレッドソックス選手たちを動かしたり、ジョー・ケリーが「ジョー・クール」に変身し、落ち着いてからオースティンに「行こうぜ」と言って、スクラムの中でガムをふくらませるのを見るほどのエンターテイメントはないだろう?

ジャッジ、スタントン、アンドリュー・ベニンテンディ、ブロック・ホルト…どちらのチームのどの選手も、ケガをするのは誰も見たくない。だが、彼らは十分な大人だ。

こういうことは、自然と解決する。メディアでつくり上げられるのとは対照的に、ファンは筋の通ったライバル関係と楽しむだけでしかないかもしれない。

野球に選手たちの乱闘は必要だろうか?もちろん、不要だ。

だが、アイスクリームはトッピングがあるほうがずっとおいしい。

原文:Hatred toward baseball fights is the dumbest thing in baseball this week(抄訳)

Joe Rivera