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MLBでしばしば議論になり変更が加えられている延長戦のルール。今季もコロナ禍における野球の試合時間を短くしつつ、決着をつけやすくする方向性にある。しかし、米スポーティングニュースの名物記者は、性急な決着方法よりも、引き分け制度を提案する。
延長戦について馬鹿馬鹿しい試みはもう終わらせるべきだ。
野球の延長戦はときどき15回以上まで長引くこともある。しかし、そのことは野球というスポーツの試合時間を長引かせている主な原因ではない。本当に問題にするべきは通常の9回で終わる試合に4時間かかってしまうことなのだ。そのことに異論はないだろう。
だが、MLB機構はどうやら延長戦をスケープゴートにすると決めたようだ。多分、この部分だけは簡単に操作できるからだろう。昨年に引き続き、今シーズンも延長戦イニングは自動的にランナーが2塁に現れてから始まっている。なるべく早く得点が入るようにして、なるべく早く試合を終わらせようというわけだ。その目的は果たせるかもしれない。しかし、そこでは野球の本質が失われている。
そして、MLBのパートナーでもある独立リーグ『パイオニア・リーグ』が新たに延長戦をする代わりにホームラン・ダービーで試合の決着をつけるという新ルールを導入することになった。4月27日(日本時間28日)に同リーグが公式に発表した。その説明によると、ホームラン・ダービーは以下のように行われる。
投手たちに過度な負担がかかることを避けるため、パイオニア・リーグでは延長イニングは行われない。その代わり、初めての試みとなる「ノックアウト」ルールを採用する。それは同点となった試合が長時間にもつれ込む問題を解決し、「サドンデス」のホームラン・ダービーによって試合の決着をつけるルールである。そのルールでは、それぞれのチームが代表として1人の打者を指名し、与えられた5球のうち多くのホームランを打った方が勝者になる。もしホームラン数が同数だった場合は、次ラウンドで別の打者が選ばれ、同じ形式で勝負がつくまで続ける。
面白いと言えば、たしかに面白い。私自身もパイオニア・リーグの試合を見てみたいとは思う。
だがこれをメジャーリーグの試合を終わらせる形式にして本当によいのか? パートナーである独立リーグがこのようなルールを試すのは、MLBが要求しているからなのだということを忘れてはならない。試合の勝敗を5球のホームラン・ダービーによって決めるなんてことを本気でやろうとしているのか?
正気の沙汰とは思えないだろう。
想像してみてほしい。たとえばあるチームが7-1で負けていた試合で9回に猛反撃して同点に追いついたとしよう。だがそのチームを代表した打者が5球のうちホームランを2本打って、相手チームの打者が5球のうち3本打ったとしたら、その試合に負けてしまうのだ。もしそれがプレーオフ進出をかけた大事な一戦だったとしたら、それですべてが決まってしまうのだ。
9回の猛反撃がすべてなかったも同然になってしまう。
それは野球ではなく、見世物だ。そんなことをするくらいなら、センターフィールドにプールを設置して、その上に監督を座らせて、ボールをぶつけたら監督がプールに落ちるゲームでもやったらいいだろう。そちらの方がよほど面白そうだ。
同じようなものだが、ホームラン・ダービーは現行のマジック・ランナーよりさらに馬鹿げている。いつでもメジャーリーグの魅力とは基本的には投手と打者の真剣勝負にあった。同じ試合のなかで1対1の対決が何回も繰り返される。投手たちは何時間も練習をして、ビデオやデータを研究する。そうしたすべての努力は打者の出塁を防ぐためにある。打者たちにしても同じだ。長時間の練習、ビデオやデータの研究、それらはすべて出塁するための努力だ。
だが、延長10回になると、MLBは突然そうした努力を無視して、2塁ランナーという状況を無条件で与えてしまっている。本来であれば、それは激しい攻防の結果によって生じるものであったはずだ。そのことによってお手軽なドラマが生まれることもある。それは認めよう。だが、それは人工的なものだ。野球ではない。
新型コロナウイルス感染拡大という状況下で短縮された2020年シーズンをなんとか遂行するために考え出されたルールは認められるべきだ。しかし、2021年シーズンでは従来通りの162試合が行われる。そしてこれから数十年に渡る将来においても続くと期待されている。
本音を言おう。MLBは2022年からは引き分け制度を導入するべきだと私は考えている。現行の「マジック・ランナー」やホームラン・ダービーを導入して勝敗を決めるより、そちらの方がずっと良い。
私の個人的な好みで言えば、最良の方法は1世紀以上もの歴史があるやり方を復活させることだ。つまり勝者が決まるまで普通の野球をするのだ。だがもし、MLBが15回以上まで長引くような延長戦を本気でなくしたいのであれば、引き分けの方がまだしも野球的な選択肢だ。
もし9回終了時点で同点の場合、2回(もしくは3回)だけ延長イニングをすればどうだろう。11回(もしくは12回)が終了してもまだ同点で会った場合は、試合を引き分けとすればよいのだ。単純だ。何の仕掛けもない。そして、2回(もしくは3回)の延長イニングはきっとドラマ性に満ちたものになるだろう。考えただけでワクワクする。
ほとんどの野球ファンが引き分けは野球というスポーツに相応しくないと考えるだろうことは理解できる。まるでサッカーのようだ。もしくはNFLのようだ。慣れるまでには時間がかかるだろう。私もこれが最高だと考えているわけではない。だがMLBは他に良案を出していない。
あなたがファンであれ選手であれ、こう考えてみてはくれないだろうか。あなたのチームが95勝52敗5分けでシーズンを終えるか、あるいは95勝57敗で、そのうちの5敗は延長イニングの仕掛け(マジック・ランナーかホームラン・ダービー?)によるものだとしたら、引き分けがある前者がより好ましくはないだろうか? 少なくとも、引き分けは野球というスポーツそのものを本来の形で行った結果によるものだ。一方は伝統的な延長イニングを戦った結果による敗北であり、もう一方は試合を早く終わらせるために作られたルールによる敗北である。
もう1つ重要な要素がある。延長イニングとは偶然起きるものではない。もしある試合が9回終了時点で同点であったとしたら、それは両チームがそこまで同等に戦ったことを意味している。たとえそこに到る経緯はそれぞれの場合で異なったとしても。引き分けにはポイントが与えられるべきだ。
NHLはここ数年で延長戦に関して多くのことを試している。シュート合戦を新たに追加し、延長戦を4対4から3対3に減らした。だが、規定終了時点で試合が同点であった場合、双方のチームにはポイントが与えられる。そこまでの努力が無駄になるわけではない。
そうしたポイント制がMLBに適用されることを望んでいるわけではない。そこまでする必要はない。89勝70敗4分けのチームは89勝71敗3分けのチームより、ワイルドカード枠争いで上位に立つべきだと言っているのだ。引き分けの試合は無意味ではない。
変な仕掛けより引き分けの方がずっといい。そうなることを望んでいる。
(翻訳:角谷剛)