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MLBは去る3月11日(日本時間12日)、今シーズンにマイナーリーグで試されるルール変更案のリストを発表した。”悪い意味”で知られたものから、見慣れぬ新しい試みも含め紹介する。
MLBは3月11日(日本時間12日)に今シーズンにマイナーリーグで試されるルール変更案のリストを発表した。その中でファンが既に知っている(そして嫌っている)ものは守備シフトの禁止(2A)、ロボット審判(Low-A 南東リーグ、元フロリダ・ステート・リーグ)、そして投球間隔時間制限(すべてのLow-Aリーグ)だろう。
しかしそれだけではない。MLBは走塁に関する部分への変更をいくつか試し、その結果として盗塁を増やし、野球というスポーツをさらに動きの多いものにできるかを見極めようとしている。これらのルール変更は試合時間短縮のためのルールやレーザーによるボール・ストライク判定より重大な意味を持つ。
全リスト:
A variety of experimental playing rules, which have been approved by the Competition Committee and the Playing Rules Committee, will be tested at various levels of the Minor Leagues during the upcoming 2021 season. pic.twitter.com/1aQMbgWHqp
— MLB Communications (@MLB_PR) March 11, 2021
誰にも想像がつくように、すぐに「ロブ・マンフレッド(訳者注:MLBコミッショナー)をクビにしろ」というツイートが駆け巡り、多くのファンが怒りの声を上げた。しかし、そうした声の多くはそれ以上の追求をするには至らなかった。
この反応は水面下深くに潜ってしまったわけではないが、「とにかく全部気に食わない」というだけのものでもないだろう。以下はマイナーリーグ階層ごとに試行されるルール変更案を分析し、良い案か悪い案かを評価したものだ。
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3Aでの変更:良い案
1塁、2塁、3塁ベースのサイズが現在の15インチ(約38.1センチ)四方から18インチ(約45.7センチ)四方へと大きくなる。このアイデアは選手同士の衝突を減らし、安全性をたかめることが目的だ。さらにMLBではベースが大きくなることによって盗塁が増え、また成功率も高くなることを望んでいる。野球はわずか数センチの違いを争うゲームでもあることから、ベースの寸法を変えることは大きな意味をもつかもしれない。だが、下にある他の変更点ほどの大きな影響をゲームに与えることはないだろう。
2Aでの変更:悪い案
悪いなんてものではない。ひどいと言う単語がより相応しいだろう。2Aは「守備シフト禁止」を今シーズンを通して施行するリーグになると見られている。まず、守備側チームはグラウンドの内野部分(ダート)に常に4人の選手を立たせることを義務づけられる。よく見られるように、内野手がライト側外野浅くで守ることは禁じられるのだ。もしこの実験の結果が思わしくない場合(例:内野安打が想定より増えなかった)、シーズン後半戦では守備側チームは常に内野の左右両側に2人づつの内野手を立たせることを義務づけられるかもしれない。
内野片側に2人を立たせるというアイデアは過激に過ぎる。これは良いデータ分析(今では普通のルーティンとも言えるかもしれない)を行っているチームに不当なペナルティを課すことに他ならないからだ。MLBチームがスプレー・チャート(訳者注:打球方向の分布図)を生み出したことには理由がある。守備位置を最適化し、失点を防ぐ効率を高めるためだ。
そのような努力を禁止することは、内野守備を10年前の姿に戻してしまうだろう(ノスタルジックなファンには嬉しいのだろうか)。だが、なぜ確率に基づいた賢い野球を行うチームに厳しくするのだろう? そして、空白になった部分に打球を飛ばしてヒットにすることを求められない(あるいはそれをしたくない)打者たちを封じ込めるのはなぜだろう?
もう1点、MLBの声明が触れなかったことがある。4人の選手を内野ダート部分で守らせるということは、外野に4人の選手が守ることもできなくなる。現在のMLBチームは空白になったレフト側にシングルヒットを打たれる危険があっても、左の強打者に対してはライン際や選手の合間を狭めることを選ぶだろう。
要点:新たにMLBの相談役に就任したセオ・エプスタイン氏の言葉を借りるなら、「最高バージョンの野球」を求めるためには、MLBはこうした選択肢を奪うべきではない。最高バージョンの野球とはチームが組織的な戦略を活用して優位に立とうとすることだ。野球のルールとはそうした改善努力を必要最低限な制限の範囲内で許容するものでなくてはならない。
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1Aでの変更:良い案と悪い案
走塁に関しての実験が行われるのがここである。High-Aでは、投手たちはどの塁にであっても牽制球を投げる前に必ずプレートから足を外すことが求められる。Low-Aでは、投手たちはプレートから足を外すか牽制球を投げることを1人の打者に対して2回までに制限される。もし3回目にプレートから足を外すか牽制球を投げた場合、走者をアウトにしない限りはボークが宣告される。もし思わしい結果が出ない場合(例:盗塁数が増えない)、この制限は1回までに減らされる可能性もある。
投手が捕手とのサインが合わずにプレートから足を離したときに、このルールでの回数に含まれるかどうかは明白ではない。投手がサイン確認を装って、走者を牽制することは許されるのか?
プレートから足を外すことを義務づけるルールの効果として、ボークに適用されるある種の動きがなくなることが挙げられる。多くの右投手はプレートに足を置いたまま足を捩じり、一塁方向に体を反転させて牽制球を投げる動きを身に付けた。この動きは走者を騙すものとして、現在ではボークの対象となっている。左投手は1塁方向に向かってまっすぐに足を踏み出さないことや、ホームベースに向かって十分に足を踏み出さないことで、ボークを宣せられている。こうした灰色部分をなくすことは、走者たちにとってはより公正に働くだろう。これは長所だ。
だが、こうした変更(3Aのベースサイズ拡大も含めて)は将来的に盗塁の数を増やすことをMLB各チームに促進するだろうか? マイナーリーグでどれだけ盗塁成功率が高まるとMLBの分析チームを説得できるだろうか? 70パーセントから85パーセントぐらいか?
1Aで行われる実験は他にもある。
ロボット審判(正式名:自動ボール・ストライク判定システム)がLow-A 南東リーグ(元フロリダ・ステート・リーグ)で使われる。これはメジャーレベルでの導入に向けての次なるステップに他ならない。シーズンを通して精度を高めることが目的だ。ボールがかろうじてコーナーに入ったとき、上空からの視点でボールかストライクかの議論を楽しむことができるだろう。
投球間隔を示す時計がLow-A西リーグ(元カリフォルニア・リーグ)にやってくる。2Aと3Aでは既に時計が使われているが、MLBはLow-Aシステムはさらに広く展開できるとしている。何人かの投手たちが焦らされることに不満を述べるかもしれないが、この変更は他のものに比べるともっとも易しいものだ。
(翻訳:角谷剛)