【前編】野球とはロマンチックなスポーツである

Joe Rivera

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少し野球のロマンチックな側面について語りたい。

全国放送でカルロス・コレアがガールフレンドのダニエラ・ロドリゲスにプロポーズするほどのロマンチックさではないが、それに似た感じだ。

 

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もし今シーズン、私の記事を読み続けていたのであれば、私が野球に関して特定のことに熱くなる傾向があることをすでにお分かりいただいていると思う。

例えばブライス・ハーパーのアンチに対してだったり、審判の知能不足だったり、ヤンキースのフロントが馬鹿げた行動にでたりすることだ。

でもこのコラムでは、ポジティブな面を出そうと思う。野球の素晴らしさを紹介したい。

野球はよく批判の対象になる。それは仰々しい意見を述べることを仕事としている話題作りのメディア関係者に傾倒していないのが理由かもしれない。もしくは、最近のスポーツ界で愛されているスピード感のある、一瞬で満足できるスタイルに、野球の試合の長さやプレイスタイルがマッチしていないせいかもしれない。

もしくは、野球が4大スポーツの長老的な存在であり、野球固有の戦略や深いコンセプトを理解するのが難しいからかもしれない。

しかし真実はこれだ。ツイッター上にいる「私のスポーツを好きになってください」っていう人たちや、「野球はつまらない」と主張する人たちも理解できていない。これは決して新しいことではないのだ。殿堂入りを果たしている監督の、レオ・ドローチャーは何年も前にこう語っている。

「野球は教会のようだ。多くの者が行くが、理解している者は少ない」。

これは決して人に野球を好きになってもらおうとしているわけではない。他のスポーツを熱心に追いかけている人たちに、地元のスポーツショップに駆け込み好きな選手のユニフォーム、椅子、ベッドシーツを買わせたいわけでもない。理解する手助けをしたいのだ。

野球にとって重要なのは、ハイライト、ろくな調査もしていないまま急いで発信される情報ではない。ハートなのだ。

このスポーツには「人間的要素」が実際に存在する。1年のうち250日間、25人の馬鹿な男たちが、時には深夜まで続く試合で3時間以上もフィールドに立ち、飛行機で全国を飛び回り、翌日また同じことをするのだ。

多くのファンは、その人間味あふれる野球の側面に惹かれている。アドバンスドスタッツやセイバーメトリクスがスポーツを支配し始めるこの時代において(パフォーマンス的に考えれば当然なことだ)、選手たちの苦悩、汚名返上への道、勝利の高揚感は数字で表すことができない。

そういった側面は、ワールドシリーズを勝つだけでも現れない。1年を通してプレイされる野球という姿で表現されるのだ。

ALCS第5戦で田中将大が素晴らしいパフォーマンスを披露したあと、ヤンキースのクラブハウスではトッド・フレイジャーが田中に歩み寄り、大きなハグを交わした。そしてふたりは腹の底から笑いあった。シリーズの流れを変えることとなったあの試合は、フィールド上の勝利で終わったのではなく、クラブハウスの抱擁で終わったのだ。

別のALCS戦の前には、マット・ホリデーがふたりの息子相手にノックをしていた。考えてみてほしい。ふたりの子供がヤンキース・スタジアムで守備の練習をしているのだ。そして野球選手である父親は、プレイオフという多忙な時期に、子供たちと一緒にいられる時間を作るために尽力していたのだ。

後編につづく)

原文:The human side of baseball is the greatest thing in baseball this year

翻訳:大西玲央

Joe Rivera