ワンダー・フランコは連続試合出塁のMLB記録を破ることができるか? 立ちはだかるテッド・ウィリアムズの高い壁

Edward Sutelan

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タンパベイ・レイズがワンダー・フランコをメジャー昇格させて以来、そのフランコはトップ有望株選手の名に恥じない活躍を見せている。

この20歳の遊撃手は9月にハムストリングスの故障によって2週間近く欠場したが、それまで39試合連続で出塁を記録していた。復帰すると、その連続試合出塁記録も再開した。9月24日の復帰第1戦では2塁打と四球で出塁。続く9月26日には2塁打と3塁打を放ち、連続試合出塁を41試合に伸ばした。これは今シーズンのメジャー最長記録である。また、スポーツ記録専門ウェブサイト『Starhead』によると、21歳以下の選手としてはフランク・ロビンソンの46試合に次ぐ、史上2番目の記録でもある。

162試合制のシーズンにおいては、41試合連続とはシーズンの4分の1にあたる試合すべてで出塁するということだ。フランコはMLB歴代の数ある最長連続記録に並び称される存在なのだろうか? その頂点に到るには、まだまだ長い道のりが待っている。

ジョー・ディマジオが持つ56連続試合安打はもっとも有名な記録だが、テッド・ウィリアムズの連続試合出塁はさらに驚異的と言えるかもしれない。「Splendid Splinter」(華麗なるスプリンター)のニックネームで呼ばれたウィリアムズは1949年の7月1日から9月27日まで84試合連続で出塁した。参考までに、ディマジオの連続試合安打記録は74連続試合出塁の1部でもある。そしてウィリアムズは1941年から1942年にかけて、別の73連続試合出塁を記録している。

ウィリアムズの連続試合出塁記録は長い間誰にも脅かされることがなかった。だが、フランコは類まれなる才能に恵まれている。有望株選手としての評価もここ近年では最高ランクに近い。テッド・ウィリアムズのMLB記録に挑むことができるだろうか? 現在の野球はウィリアムズが活躍していた頃とは大きく様変わりしている。その違いについても考察する必要がある。

 

ウィリアムズの連続試合出塁記録

ウィリアムズの連続記録の内訳は驚異的な内容に満ちている。

84連続試合の期間中、ウィリアムズは30試合で複数安打を放ち、三振はたったの18試合でしか喫していない。1試合に2個の三振は1回あるだけだ。その間の記録は打率.371、出塁率.518、長打率.695で、24本塁打、112安打、そして92四死球である。半分以上の試合で少なくとも1本以上の長打を打った。

その間に連続試合安打は最長で9試合でしかないが、2試合連続で無安打だったことは1度もない。これらはすべて所属していたボストン・レッドソックスがニューヨーク・ヤンキースと激しい首位争いをしていた最中のことだった。

ウィリアムズの連続試合出塁記録は9月28日に途絶えた。その日、ワシントン・セネタースのレイ・スカボロー投手がレッドソックス打線を4安打1失点に抑え、セネタースが2-1で勝利した。試合最後のアウトが取られたとき、ウィリアムズは次打者サークルにいた。

レッドソックスはそのシーズン最終2試合でヤンキースに敗れ、1試合差でリーグ首位をヤンキースに譲り、ワールドシリーズ進出を逃した。ヤンキースはワールドシリーズでブルックリン(当時)・ドジャースを下している。

ウィリアムズはアメリカン・リーグ最優秀選手賞(MVP)に選ばれた。シーズン記録は打率.343、出塁率.490、長打率.650で、43本塁打、159打点、150得点、そして162四死球である。

 

ウィリアムズの記録に挑んだ者たち

ウィリアムズの記録に近づいたと言える選手は1人もいない。

ウィリアムズ以来、もっとも長い連続試合出塁記録(エラーを除く)は2006年にオーランド・カブレラが記録した63試合である。

今世紀に入ってから、何人かの選手がかなりの連続試合出塁記録を作った。しかし、そのどれも84試合には遠く及ばない。Statheadは以下の8つを紹介している。

選手 シーズン 連続試合数
オーランド・カブレラ 2006 63
ジム・トーミ 2002-03 60
バリー・ボンズ 2003 57
ライアン・クレスコ 2002 56
バリー・ボンズ 2001-02 56
アレックス・ロドリゲス 2004 53
ショーン・グリーン 2000 53
ケビン・ミラー 2007 52

2010年からは秋信守のみが50試合連続に到達した(2018年に52試合)。

データ解析による作戦が進歩した現在では、連続試合出塁は難しくなっている。それでもウィリアムズの記録に挑むには、フランコ(あるいはリーグのどの選手でも)はどうすればよいのだろうか?

 

フランコはウィリアムズの記録を破ることはできるか?

フランコはそれをできるだろうか? それができる選手はいるだろうか?

非常に難しいことは確かだ。連続試合出塁記録はひょっとしたら連続試合安打記録より破ることが難しいかもしれない。マイク・トラウトはこの10年間で最高の選手だが、連続試合出塁は40試合が最長である。ジョーイ・ボットは出塁率が最高の選手だが、連続試合出塁は48試合が最長である。アルバート・プホルスも48試合だ。フアン・ソトはメジャーデビュー以来ずっと出塁率がもっとも高い選手だが、連続試合出塁は21試合が最長(3回)である。

フランコの才能は誰もがエリートだと認めるものだ。ほとんどのスカウティング・レポートは、フランコが有望株選手だった頃から、打撃スキルで最高点(80点)をつけてきた。そのような選手はかつていなかった。

フランコはマイナーリーグのすべての階層でもっとも若い選手でありながら、常に3割以上の打率を維持した。マイナーリーグにおけるキャリア全体で97個の四死球を選び、三振数は75個のみで、出塁率は.399だ。

フランコが積み上げた41連続試合出塁は既に2000年以来42番目タイの記録である。わずか20歳であるフランコはこれからも成長を続けるだろう。

だが、連続試合出塁はこれからますます困難になる。スカウティング・レポートは進化し、投手の球速は増している。現在のメジャーリーグでは安定して出塁することはかつてないほど難しくなってきている。だからこそ、ウィリアムズの記録まで20試合以内に到達した選手がこの70年近く出ていないのだ。

フランコは三振の数が少なく、四死球が多い。ミートに長けているし、パワーもある。そして足も速い。プロフィールのみを見れば、偉業達成にもっとも近い選手であると言えるだろう。

フランコにそれはできるか? 可能であることは確かだ。それまでにはフランコが数多くの幸運に恵まれなくてはいけないだろうが。 

(翻訳:角谷剛)

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Edward Sutelan

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Edward Sutelan joined The Sporting News in 2021 after covering high school sports for PennLive. Edward graduated from The Ohio State University in 2019, where he gained experience covering the baseball, football and basketball teams. Edward also spent time working for The Columbus Dispatch and Cape Cod Times.