昨年のオフシーズンは、リリーフ投手が注目を浴びた。
絶対的守護神であるケンリー・ジャンセンとアロルディス・チャップマン、そしてそのふたりには少し劣るもののマーク・メランソンが市場に出たからだ。3人の守護神は合わせてロサンゼルス・ドジャース、ニューヨーク・ヤンキース、サンフランシスコ・ジャイアンツから総額2億2800万ドルの契約を勝ち取った。
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今年のフリーエージェント市場にいるリリーフ投手は同じほど騒がれることはないが、それでも3人のクローザーを含む多くの有能な選手が揃っている。スター選手が揃っていた昨年に比べて、今年の方が層が厚いとも言えるだろう。
それを踏まえて、今年のオフシーズン注目のリリーフ投手トップ10を紹介する。
1. 右腕 ウェイド・デイビス(32歳)
2012年に先発ローテーションからブルペンへ転向して以来、デイビスほど成功しているリリーフ投手は少ないだろう。以来、彼は447イニングで防御率2.78、1.195 WHIP、10.3 K/9を記録。ここ2年半はクローザーとして活躍しており、2015年から数えて76セーブ、防御率1.65を記録している。それに加えて、先発経験があることで必要に応じてロングリリーフも可能だ。デイビスは能力的にはジャンセンやチャップマンに劣らないが、彼らのような大型契約を結ぶには年齢がネックになるだろう。それでも、メランソンの4年6200万ドルあたりの契約は十分に獲得できるだろう。
2. 右腕 グレッグ・ホランド(32歳)
トミージョン手術で2016年全休となったホランドは、実力を証明するためにコロラド・ロッキーズと単年契約。41セーブ、防御率3.61を記録し、コロラドは予想外のプレイオフ進出を果たし、両者にとって良い結果となった。2013年から15年までカンザスシティ・ロイヤルズでしっかりとクローザーを務めていたこともあり(彼がいたからデイビスがなかなかクローザーになれなかった)、健康を維持さえすれば決して驚くような数字ではなかった。元ブルペン仲間とともにいい契約を勝ち取る準備は整った。
3. 右腕 ブランドン・キンツラー(33歳)
2016年にミネソタ・ツインズで17セーブをあげ、昨シーズンはクローザーとしてオールスターに選ばれたキンツラー。28セーブ、防御率2.78を記録していた段階で、ミネソタはリリーフ投手を必要としていたワシントン・ナショナルズに彼をトレードした。それ以降、キンツラーは4試合しか試合の最後を任されていないが、最終回を任せられる投手であることはすでに証明済みだ。
4. 右腕 ブランドン・モロー(33歳)
モローはこのオフシーズンに高額契約を勝ち取るための活躍を十分にした。腕がまだ残っていればの話だが。ドジャースのリリーフとして、プレイオフ中はほぼ毎日投げ続け、デイブ・ロバーツHCはワールドシリーズで敗退するまで彼を14度登板させた。他チームは投げすぎであることを懸念するかもしれないが、モローはプレッシャーがかかっている状況であろうと、複数イニングを連続試合こなせることを証明した。多くの怪我を経験していたモローにとって昨シーズンはリリーフ投手として初めて1年通して投げたシーズンとなり、43 2/3イニングで0被本塁打、防御率2.06、0.916 WHIP、10.3 K/9という圧倒的な数字を残した。
5. 右腕 スティーブ・シシェック(31歳)
キャリアを通してクローザーと中継ぎのどちらもこなしているシシェックは、キャリア防御率2.73、9.6 K/9を誇る。サイドスローのシンカーで、右打者と左打者のどちらをも相手にできるのが強みだ。2017年はシアトル・マリナーズとタンパベイ・レイズで防御率2.01を記録し、今年のFA市場では注目されることとなるだろう。
6. 左腕 トニー・ワトソン(32歳)
ピッツバーグ・パイレーツでキャリアを始めたワトソンは、ここ7年間で最も安定したリリーフ投手のひとりだ。夏のトレード期限に彼をトレードで獲得したドジャースもその恩恵を受けた。ワトソンは24試合で防御率2.70を記録。ここ4シーズンではすべて70試合以上登板しており、安定感は抜群だ。ここ5シーズンではすべて66イニング以上投げている。
7. 右腕 パット・ネシェック(37歳)
こちらもオーバースローではない投手。ネシェックは高齢ながらも、まだ実力は健在だ。2017年はフィラデルフィア・フィリーズとロッキーズで投げ、キャリア最高のシーズンを送った。71度の登板で、ネシェックは防御率1.59、0.866 WHIP、0.4 HR/9、0.9 BB/9、10.0 K/9、2.8 WARを記録。当リストの他選手に比べてキャリアが長いだけに、次の契約で複数年数は難しいかもしれないが、高額の契約は十分獲得可能。獲得したチームのブルペンは確実にアップグレードされるだろう。
8. 右腕 アディソン・リード(28歳)
リードはここ2年間で157試合に出場し、防御率2.40を記録する素晴らしい活躍を見せた。ボストン・レッドソックスにトレードされる前は、ニューヨーク・メッツでクローザーも務めた。2012年から14年にかけて、シカゴ・ホワイトソックスとアリゾナ・ダイヤモンドバックスではクローザーを務めていたが、それ以降は中継ぎとしての活躍が目立つ。レッドソックスは昨シーズン、ブルペンを補強するために彼を獲得したが、今オフは他のチームも同じ理由で彼に注目するだろう。
9. 左腕 ジェイク・マギー(31歳)
レイズで数シーズン結果を残したのち、マギーは2016年にロッキーズで結果を出すことに苦戦した。しかし昨シーズンはコアーズ・フィールドでの投球に慣れたのか、防御率3.61、4被本塁打を記録した。キャリアの数字は特段凄いものはないが、安定した結果を8年間出し続けている。ただのスペシャリストにはとどまらず、それは左腕投手として好材料だ。
10. 右腕 マット・アルバーズ(34歳)
散々だった2016年と、怪我にまみれた2014年を除けば、アルバーズはとても効果的な中継ぎとして長年活躍している。2012年以来、1年を除いてすべて防御率3.14以下を記録しており、2015年と2017年には2.00以下を記録している。彼を春季キャンプに招待し、解雇したのちに再び契約したナショナルズはラッキーだった。今年はより注目されることだろう。
その他注目選手
左腕 ブライアン・ダンシング(34歳):元先発投手で、昨シーズンはシカゴ・カブスで防御率2.74を記録し、リリーフとしてはキャリア最高のシーズンを送った。
右腕 ヒューストン・ストリート(34歳):キャリアを通してクローザーを務めているストリートは、怪我の影響でここ2シーズンを通して30試合しか登板していない。
右腕 ジョー・スミス(33歳):主に試合終盤に登板するサイドスロー投手。キャリア防御率は2.97。
右腕 ドルー・ストーレン(30歳):元ナショナルズのクローザーが良いシーズンを送ってからしばらく経つが、まだ若く、2017年はシンシナティ・レッズで健康なシーズンを過ごした。
右腕 オ・スンファン(35歳):2シーズン前に韓国からやってきたオ・スンファンは、セントルイス・カージナルズで2年目にしてクローザーを勤めるようになった。クローザーとして24度の登板20セーブをあげた。
原文:MLB free agents 2017-18: Ranking the 10 best relievers on the market
翻訳:大西玲央