マイク・トラウトと大谷翔平だけではない、ファンが今季のロサンゼルス・エンゼルスを信じられる理由とは

Jason Foster

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MLBの2022年シーズンが開幕してから5週間しかたっていないが、我々がこの10年間ほどの間にずっと願っていたことが起きる気配がしてきたようだ。そう、ロサンゼルス・エンゼルスが好調なのだ。

エンゼルスがアメリカで最も愛される敗者という名誉を守っているというわけではない。その反対である。このチームは常に期待を裏切り続けてきただけではなく、地区4位くらいの低迷を長く続け、マイク・トラウトと大谷翔平という野球の歴史において稀有な才能を持った2人の全盛期を無駄にしているという悪評がついて回ってきた。

しかし、少なくとも現在のところ、2022年はいつもとは違う。エンゼルスは今シーズンここまでの大部分でアメリカン・リーグ西地区の首位に立ってきた。5月13日(日本時間14日)の試合前、僅か0.5 ゲーム差の2位である。そして、勝率ではア・リーグ3位だ。まだシーズンは序盤であるが、それでもエンゼルスが喜ぶべき、そして驚くべきチーム状況であるとみなすには十分な試合数である。

現時点で、エンゼルスはチーム全体の得点数、本塁打数、長打率、そしてOPSでMLBトップである。安打数と盗塁数は3位、出塁率は4位だ。強打を示すバレルでもエンゼルス(86)はニューヨーク・ヤンキース(95)に次いでMLB中2位なのだ。

好調なのは打撃陣だけではない。エンゼルスの投手陣は完封数(6)でトップタイ、被安打率(.211)で3位、そしてWHIP (1.09)で4位なのだ。

投打が上手く嚙み合っていることで、エンゼルスの得失点差(+45)はMLB全体で3位である。本拠地で12勝7敗、遠征で9勝5敗、とバランス良く勝ち続けている。

つまりどういうことだろう。まだ5月であることは承知の上だが、それでもエンゼルスを信じてよい時期にきているのではないだろうか。このチームに相応しい言葉で表現するなら、ひょっとしたら行けるかもしれない。

今までと何が違うのだろうか。要するに、このチームはようやく選手全員が試合に貢献し始めたということだ。もはや「大谷とトラウトが‘いるから、あとは完封してくれることを祈るだけ」のチームではない。

大谷とケガのないトラウトは今年も驚異的な活躍を続けているが、テイラー・ウォードの貢献度はさらに大きい。現時点で、ウォードは打率(.367)、出塁率(.490)、そして(1.199)でリーグトップであるうえに、7本の本塁打を打っている。そして、ジャレッド・ウォルシュはチームトップの打点(23)を上げ、2年連続となるオールスター選出も視野に入っている。

ウォードとウォルシュが大谷とトラウトに加わり、さらにブランドン・マーシュやマックス・スタッシのようにチャンスに強い打者がいる。アンソニー・レンドンはやや不調であるが(左打席での本塁打は見事であったが)、それを補って余りあるだけの強力な打線である。

投手陣の働きも見逃してはならない。まず先発投手たちは安定して、失点を少なく抑えている。大谷の防御率2.78は立派な成績であるが、その数字はチーム内3位でしかないのだ。パトリック・サンドバル(2.03)とノア・シンダーガード(2.45)がもっと良い成績を挙げているし、新人のリード・デトマーズ(3.77)も悪くない。デトマーズは今週ノーヒットノーランを達成した投手だ。

先発投手で防御率が最も悪いのはマイケル・ローレンゼン(4.13)であるが、この数字の多くはある1回の登板によるものだ。5月7日のワシントン・ナショナルズ戦で4回2/3を投げ、5点を失った。要するに、投手陣は今シーズンここまで全体的に安定しているということだ。

エンゼルスはここまで投打のバランスが取れた完璧なチームである。10月のプレーオフ進出を狙うには十分なチームであるとも言える。今シーズンからポストシーズンが拡張されたことも追い風になる。野球ファンは10年近くもマイク・トラウトがプレーオフの舞台で活躍する姿を見たいと願ってきた。それに加えて、2022年は大谷翔平が野球界最高の舞台で世界を驚かせるところを見たいという願いもかつてないほど大きくなっている。

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もちろん安心するにはまだ早い。何と言っても、今はまだ5月なのだ。残りシーズンはまだまだ長い。開幕ダッシュに成功したチームが失速して、ポストシーズン進出を逃す羽目になった例は、野球の歴史に数多い。

しかし、シーズン序盤の勢いを最後まで失わなかったチームの例も数多くある。夏が終わる頃には、エンゼルスの最終的な運命はもっと明瞭になっていることだろう。そしてそれは心躍るものとなるに違いない。

少なくとも現時点では、それを信じてもよいはずである。

(翻訳:角谷剛)

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Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.