MLB2022年シーズン徹底予想:順位、プレーオフ組み合わせ、全チームのワールドシリーズ進出確率

Edward Sutelan

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2022年のMLBがついに始まる。開幕日を直前に控え、すべてのチームがワールドシリーズ優勝への大きな期待を胸に抱いている。あるいは、少なくともシーズン162試合を楽しみたいと思っているかもしれないが。

新シーズンが始まるたびに多くの予想が飛び交う。2021年シーズンが始まった時期にアトランタ・ブレーブスが4回目となるワールドシリーズ制覇を果たすことを予想した人は多くはなかった。オフシーズン中に戦力強化に成功したいくつかのチームがブレーブスの連覇を阻止しようと虎視眈々に新シーズンを見据えている。すべてが終わった後、コミッショナー・トロフィーを受け取るのはどのチームになるだろうか。

米スポーティングニュースでは2022年MLBシーズンを予測するために、結果をベースとしたモデルを構築した。その予測モデルとは選手の過去成績から2022年のパフォーマンスを予想するものだ。選手たちの個人成績は現在所属するチームごとに集計され、2022年シーズンの打線、先発ローテーション、そして救援投手陣の戦力が評価される。

その後で、20,000回ものシミュレーションが個々のチームごとに、球場ごとの要因と対戦相手との組み合わせを含めて行われた。その結果を基にレギュラーシーズンの予想戦績が導かれ、ポストシーズンとワールドシリーズ勝者のシミュレーションが行われた。そして、それぞれのシミュレーション結果が集計され、地区、プレーオフ、そしてワールドシリーズの予想結果が決定された。予想順位は各チームの20,000回のシミュレーション上における平均勝敗数に基づく。

米スポーティングニュースが構築した予測モデルによる2022年MLBシーズンの全予想は以下の通りである。

MLB 2022シーズン予想

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アメリカン・リーグ東地区 

  1. トロント・ブルージェイズ(91-71)
  2. タンパベイ・レイズ (87-75)
  3. ボストン・レッドソックス(86-76)
  4. ニューヨーク・ヤンキース (86-76)
  5. ボルティモア・オリオールズ (70-92)

アメリカン・リーグ東地区は野球界で最高の地区だ。それは予測モデルでもすぐに判明した。昨年、この地区はプレーオフに3チームを送り出した。どの地区よりも多い数字だ。それは今年も続くと見られている。

米スポーティングニュースの予測モデルはブル―ジェイズが僅差でヤンキース、レイズ、そしてレッドソックスを上回り、この地区を制すると予想している。そして、これら4チームすべてはプレーオフに進出すると見ている。ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア、ボー・ビシェット、そしてテオスカー・ヘルナンデスを擁するブルージェイズ打線はア・リーグ随一であり、リーグ最高記録に近いシーズン成績を挙げるだろう。マーカス・セミエンはフリーエージェントでチームを去ったかもしれないが、ブルージェイズはマット・チャップマンを3塁手に獲得し、ビシェットとのスター三遊間コンビを結成した。ロビー・メイとスティーブン・マッツを失ったことは先発ローテーションにとっては痛手であったが、その代わりにケビン・ゴーズマンと菊池雄星を加えているし、そのうえホセ・ベリオスとアレク・マノアがフルシーズン活躍できれば、投手陣は安泰だろう。

レイズは予想での評価が常に低く、後にそれを上回る結果を出し続けてきたチームだ。予測モデルではア・リーグ東地区で2位とされている。だが、もしこのチームが地区優勝を果たしたとしても、それは驚くべきことではない。ワンダー・フランコ、シェーン・バズ、そしてシェーン・マクラナハンはいずれもチーム2年目のシーズンであるが、中心的な役割を担うことになるだろう。そしてランディ・アロサレナとブランドン・ロウは再び脅威となる打撃を見せるだろう。

レッドソックスが2021年のア・リーグ・チャンピオンシップ・シリーズに進出したことは人々を驚かせた。2022年もプレーオフに登場すると思われている。ビシェットとゲレーロ・ジュニアに負けず劣らず、ザンダー・ボガーツとラファエル・デバースの三遊間コンビは打力が強力だ。レッドソックスはトレバー・ストーリーもチームに加えた。グリーンモンスターを軽々と飛び越す打球を多く見ることができるだろう。ネイサン・イオバルディ、クリス・セール、タナー・ハウクらのスター投手がひしめく先発ローテーションはア・リーグでも指折りである。

ヤンキースはフリーエージェントで大物選手を獲得できなかった。そのことに失望しているファンも多い。しかしそれでも予測モデルはブロンクス・ボンバーズ(訳者注:ヤンキースの愛称のひとつ)がプレーオフに進出するチャンスは大きいとしている。守備シフトがなくなったことで、ジョーイ・ギャロの成績は伸びるはずだ。そしてアーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントン、ジョシュ・ドナルドソンの右打者トリオは、彼らが健康でさえあれば野球界で最高のパワーを誇る。しかし、予測モデルはヤンキースの投手力を何よりも高く評価する。ゲリット・コール、ジェイムソン・タイヨン、ジョーダン・モンゴメリー、そして健康なルイス・セベリーノは2022年のチームを引っ張っていくだろう。

オリオールズが意外性を発揮し、プレーオフに進出して野球界を揺るがすことは予想しづらい。しかし、その時は少なくとも近づいているようにはみえる。アドリー・ラッチマンとグレイソン・ロドリゲスはメジャー昇格からさほど遠くない。セドリック・マリンズ、トレイ・マンシーニ、そしてライアン・マウントキャッスルらの打者たちはすでにメジャーで活躍できることを証明している。ガナー・ヘンダーソンやDL・ホールのような投手があと何人か出てくれば、数年後にはこのチームは楽しみな存在になる。

チーム 地区優勝 ワイルドカード プレーオフ不進出 第1ラウンド不戦勝
ブルージェイズ 42.9% 41.1% 16.0% 31.2%
レイズ 22.2% 47.6% 30.2% 16.3%
レッドソックス 18.2% 45.7% 36.1% 13.4%
ヤンキース 16.5% 43.3% 40.2% 12.2%
オリオールズ 0.1% 1.8% 98.1% 0.1%

 

Luis Robert
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アメリカン・リーグ中地区 

  1. シカゴ・ホワイトソックス (94-68)
  2. デトロイト・タイガース (81-81)
  3. カンザスシティ・ロイヤルズ (81-81)
  4. ミネソタ・ツインズ (77-85)
  5. クリーブランド・ガーディアンズ (67-95)

予測モデルが展望するア・リーグ中地区は一般認識から最もかけ離れたものだ。ホワイトソックスを地区優勝チームとすることはほぼ間違いがない。しかし、他のチームの順位は最近の戦績から見ると奇異に感じるかもしれない。だが、そうなるにはそうなるだけの理由があるのだ。

優勝チームから始めよう。ホワイトソックスをその最有力候補とすることに疑問の声を上げる人はさほど多くはないだろう。ルイス・ロベルト、ティム・アンダーソン、ヨアン・モンカダ、ホセ・アブレイユらで打線は固められている。カルロス・ロドンを失ったあとでも、ルーカス・ジオリト、ランス・リン、ディラン・シーズらの先発ローテーションは球界最高のひとつだ。そしてマイケル・コペックとリアム・ヘンドリックスが救援に控え、プレーオフで試合を締めくくる強力な武器になる。

タイガースはメジャーリーグのトップレベルに戦力を整える時期に差し掛かっているようだ。ケイシー・マイズ、マット・マニング、そしてタリック・スクーバルといった選手たちは昨シーズンにメジャーでのプレイを経験し、それぞれに将来を予見させる姿を見せた。2022年はさらなる飛躍を期待されている。新人のスペンサー・トーケルソンとライリー・グリーンもメジャー昇格が期待されている。そうなると、2021年にチームが欠いていた打撃力も大きく向上するだろう。フリーエージェントからはハビアー・バエズとエドゥアルド・ロドリゲスの両スター選手を獲得した。彼らの実力は証明済みだ。もし新人選手たちが期待通りの活躍をして、チームの即戦力になれば、このチームは2022年には侮れない存在になる。

タイガースと同様、ロイヤルズもまたメジャー昇格に近い有望株選手で溢れている。ボビー・ウィット・ジュニア、MJメレンデス、そしてニック・プラットは今シーズンのどこかでメジャーリーグに昇格するだろう。すでにサルバドール・ペレス、ニッキー・ロペス、そしてウィット・メリフィールドを擁する打線はさらに厚みを増す。アンドリュー・ベニンテンディは2021年に復調の兆しを見せた。そしてアダルベルト・モンデシーは健康であれば、まだパワーがある。先発ローテーションには疑問符が付く。しかし、ザック・グレインキーを獲得したことで、ブレイディ・シンガー、ブラッド・ケラー、そしてカルロス・ヘルナンデスらと合わせた投手力の質は高くなるはずだ。

ツインズの2021年シーズンはショッキングだった。直近2年間で連続して堂々の地区優勝を果たしたチームが最下位へ転落したのだ。2022年も予測モデルはこのチームの躍進を予想しない。カルロス・コレアと契約し、ソニー・グレイをトレードで獲得したことは好材料であるが、それ以外は多くの疑問符が付く。ホセ・ベリオスを昨シーズン途中でトレード放出し、オフシーズンにはジョシュ・ドナルドソンもトレード放出した後では尚更だ。もしバイロン・バクストンが健康ならば、このチーム最大のスター選手のひとりだ。しかし、それには依然として大きな「もし」が付く。

ガーディアンズはこの地区最大のサプライスのようだ。昨年はプレーオフ進出を逃したものの、2012年以来一度も地区内で3位より下になったことがないのだ。予測モデルが2022年はこのチームを低評価する理由は、攻撃力が弱すぎることにつきる。チームの顔であるホセ・ラミレス3塁手の後に続く打線が貧弱すぎるのだ。フランミル・レイエスはパワーがあるが、それでも不十分である。ガブリエル・アリアスをメジャー昇格させると、その部分は改善されるかもしれない。先発ローテーションにはまだ明るい材料がある。シェーン・ビーバーがリーダー格で、カル・クアントリルはブレイクし、トリストン・マッケンジー、ザック・プリーサック、そしてアーロン・シバーレは安定している。ガーディアンズは他チームと比べて間違った方向に進んでいるのかもしれない。それでも最下位とは意外な予想だ。

チーム 地区優勝 ワイルドカード プレーオフ不進出 第1ラウンド不戦勝
ホワイトソックス 84.3% 10.1% 5.7% 64.7%
タイガース 7.0% 24.7% 68.3% 3.7%
ロイヤルズ 6.0% 22.2% 71.8% 2.8%
ツインズ 2.7% 12.0% 85.3% 1.1%
ガーディアンズ 0.0% 0.5% 99.5% 0%

 

Jose Altuve (left) and Alex Bregman (right)
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アメリカン・リーグ西地区

  1. ヒューストン・アストロズ (91-71)
  2. ロサンゼルス・エンゼルス (80-82)
  3. テキサス・レンジャーズ (80-82)
  4. シアトル・マリナーズ (72-90)
  5. オークランド・アスレチックス (64-98)

2021年シーズンが終わって以来、ア・リーグ西地区では多くの出来事があった。予測モデルは大方が予想する通りであろう順位と同じ予想をしている。

誰からも好かれず、予測モデルさえ好意的でないアストロズを、王座から引きずり下ろすチームはないだろうか。ここ数年、アストロズは何人もの主力選手を失ってきた。ジョージ・スプリンガーに始まり、ジャスティン・バーランダー(故障によるシーズン全休)、そして直近ではコレアだ。それでも、まだこのチームの戦力は層が厚い。ホセ・アルトゥーベの打力は健在であるし、周りを固める打者たちは若返っている。カイル・タッカーとヨルダン・アルバレスは打撃陣のリーダー格へと成長したように見える。もしアレックス・ブレグマンが本来の力量を取り戻したら、未だにリーグ屈指の高得点打線である。先発ローテーションでは、フランバー・バルデスとルイス・ガルシアが若い希望の星だ。トミージョン手術からの復活を期するバーランダーはかつてのサイ・ヤング賞投手に相応しい姿に戻ってきそうである。

誰もがエンゼルスが今年こそ潜在的なチーム力に相応しい躍進を遂げることを心待ちにしている。現代最高の打者であるマイク・トラウトと史上最高の才能を持つ大谷翔平を同じチーム内に抱えながら、勝率5割を下回り続けているのだ。健康面がしばしば問題になってきたが、予測モデルがエンゼルスに対して抱く懸念もそれである。トラウトと大谷が2人ともフルシーズン出場することを予想していないのだ。この2人がチームメイトになってからの4シーズン、2人とも120試合以上に出場したシーズンは一度もない。もし今年がその初めてのシーズンになれば、エンゼルスは浮上するだろう。ジョー・アデル、リード・デトマーズ、そしてブランドン・マーシュといった若い有望株選手が2022年はレギュラーに定着しそうであることも好材料だ。

レンジャーズがア・リーグ西地区の王座を狙うチームになる日はそう遠くはないだろう。ロックアウトが始まる前に2つの超大型契約を結び、ある意味オフシーズンの主役ですらあった。コーリー・シーガーとマーカス・セミエンという、あるいは野球界最高の二遊間コンビを手に入れたのだ。ジョン・グレイとも契約した。クアーズ・フィールドで投げる必要がなくなったグレイにはブレイクの予感がある。予測モデルはまだそれでもレンジャーズを優勝候補とは評価しない。しかし、このチームが正しい方向に足を踏み出したことは認めている。

マリナーズは2021年に良いストーリーを生み出した。まったくの予想外の位置から、シーズン90勝を挙げ、ポストシーズン進出にあと1歩まで迫ったのだ。今年はマリナーズを侮る者はもういない。チームの中核を担う若い選手としてジャレッド・ケレニックとフリオ・ロドリゲスがいる。それをさらに、ジェシー・ウィンカーとエウヘニオ・スアレスをシンシナティ・レッズからトレードで獲得し、前年度サイヤング賞投手のロビー・レイと契約したことで、大きな補強を実現した。予測モデルはレイとマルコ・ゴンザレス以外の投手陣が不安定であること、内野の守備力に難があることを懸念材料に挙げている。しかし、マリナーズのチームとしての将来が明るいことは間違いない。

アスレチックスのファンは今年のオフシーズンで多くの失望を味わった。主力選手のマット・チャップマンをトロント・ブルージェイズに、そしてマット・オルソンをアトランタ・ブレーブスに、いずれもトレードで失った。さらに投手陣では、ショーン・マネイアをサンディエゴ・パドレスに、クリス・バシットをニューヨーク・メッツに、やはりトレードで失った。チームにはまだ期待できる選手はいる。フランキー・モンタスが先発ローテーションの中心になり、トップ有望株選手のクリスチャン・パチェはすぐにラモン・ラウレアーノとともに外野を任されるだろう。しかし、ファンにとっては、今年は若い選手たちが経験を積み、来年以降への期待を膨らませるシーズンになるだろう。

チーム 地区優勝 ワイルドカード プレーオフ不進出 第1ラウンド不戦勝
アストロズ 77.6% 10.7% 11.7% 43.8%
エンゼルス 10.7% 18.6% 70.7% 3.7%
レンジャーズ 10.5% 18.5% 71.0% 3.7%
マリナーズ 1.1% 3.0% 95.9% 0.2%
アスレチックス 0.0% 0.1% 99.9% 0.0%

 

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ナショナル・リーグ東地区

  1. アトランタ・ブレーブス (92-70)
  2. ニューヨーク・メッツ (87-75)
  3. フィラデルフィア・フィリーズ (86-76)
  4. マイアミ・マーリンズ (80-82)
  5. ワシントン・ナショナルズ (73-89)

前年度ワールドシリーズの覇者であるブレーブスがこの地区での優勝候補だ。メッツとフィリーズがそのあとを追い、ワイルドカード争いに加わるだろう。ジェイコブ・デグロムの故障によって、メッツは地区優勝の望みがかなり薄くなった。しかしデグロムが肩の故障から健康な状態で復帰すれば、メッツはナショナル・リーグ全体でも指折りのチームになるだろう。

ブレーブスに関する予想は完全なものとは言えない。ナ・リーグ東地区を制する確率は高いが、他地区の優勝チームとの比較では3位に落ちる。しかし、このチームにはその予想を覆す力が備わっている。ロナルド・アクーニャ・ジュニアはそう遠くないうちに復帰するだろう。オジー・アルビーズ、オースティン・ライリー、ダンズビー・スワンソン、そしてエディ・ロザリオを擁するブレーブス打線はさらに強力になる。長い間チームの顔だった、元MVP選手のフレディー・フリーマンを失ったが、その代わりにマット・オルソンをアスレチックスから獲得した。オルソンはフリーマン以上の長打力を期待できる選手だ。先発ローテーションは前年よりよくなったかもしれない。マックス・フリード、イアン・アンダーソン、チャーリー・モートン、そしてワスカル・イノアに、マイク・ソロカが加わったからだ。昨年のウィル・スミス、タイラー・マツェック、AJミンターらで構成された救援投手陣は球界でも指折りだったが、ケンリー・ジャンセンと契約したことで、さらに厚みを増すだろう。

2021年シーズンのある時期まで、メッツがこの地区を独走するのではないかと思われていた。しかし、メッツは大失速し、77勝85敗の不本意な戦績でシーズンを終えた。そのことはメッツを侮る理由にはならない。マックス・シャーザーと契約し、バシットを獲得したことで、メッツの先発ローテーション1,2,3番手は、健康なデグロム、シャーザー、バシットという強力無比な布陣となった。さらにその後、タイフアン・ウォーカーとカルロス・カラスコが続くのだ。打撃陣にはスターリング・マルテとマーク・カナが加わった。内野にはフランシスコ・リンドー、ジェフ・マクニール、ピート・アロンソがいて、外野にはブランドン・ニモがいる。豪華なラインアップだ。ナショナル・リーグでも指名打者制(DH)が導入されることで、ドミニク・スミスとロビンソン・カノの成績が上がることも期待できる。エドウィン・ディアスは2021年に圧倒的なクローザーだった。2022年も球界屈指の救援投手と見られている。

フィリーズは昨シーズン終盤ぎりぎりまでワイルドカード争いをしたチームのひとつだ。セントルイス・カージナルスの信じられないような連勝劇によって、フィリーズは惜しくもプレーオフ進出を逃した。このオフシーズンにはワイルドカード枠を再び逃さないための十分な補強を行った。打線には既に前年度MVPのブライス・ハーパーがおり、そこにニック・カステヤノスとカイル・シュワーバーの左右強打者が加わった。彼らがJTリアルミュート、リース・ホスキンス、ジーン・セグラに加わることで、破壊力抜群の強力なラインアップが構成される。先発ローテーションの中心であるザック・ウィーラーとアーロン・ノラは圧倒的だ。そして最大の弱点であった救援投手陣は強化された。ブラッド・ハンド、ジェウリス・ファミリア、そしてコーリー・クネイブルと契約したのだ。

マーリンズのオフシーズンはメッツやフィリーズのような派手な動きには見えないかもしれないが、けっして見劣りするものでもない。アビサイル・ガルシアとホルヘ・ソレアを加えたことで、ここ数年の課題だった外野の安定性が増した。昨年ブレイクしたジャズ・チザムも楽しみな存在だ。だが、予測モデルが本当に評価するのは先発ローテーションである。トレバー・ロジャースはあと少しで新人王に選出されるところだった。サンディ・アルカンタラとパブロ・ロペスはどちらも防御率3.20以下の成績を残した。昨シーズン途中からマーリンズに加わったヘスス・ルサルドの成績は振るわなかったが、春のオープン戦では高い技術と潜在能力を見せ、ブレイクの予感を抱かせた。

今年のナショナルズには不確定要素が多い。チームにはまだフアン・ソトがいて、テッド・ウィリアムズと比較されるほどの活躍を続けている。しかし、それ以外の戦力は未知数だ。ソト以外の打者は実力を証明できていない。カーター・キーブームはしばしば期待を裏切ってきたが、フルで出場機会を得るのは上腕部の故障から復帰した後になる。ビクター・ロブレスは高い潜在能力を感じさせるが、まだ実績が伴っていない。トレイ・ターナーとシャーザーのトレードで引き換えに加わった2人の有望株選手は楽しみだ。ジョサイア・グレイは先発ローテーション入りするだろうし、キーバート・ルイーズは正捕手の座を狙える。今シーズンの成果は来シーズンのナショナルズが上位争いするチームに成長することを助けるだろう。

チーム 地区優勝 ワイルドカード プレーオフ不進出 第1ラウンド不戦勝
ブレーブス 53.7% 31.1% 15.1% 40.9%
メッツ 22.4% 38.5% 39.2% 15.7%
フィリーズ 18.5% 38.5% 43.0% 12.3%
マーリンズ 4.8% 18.5% 76.7% 2.8%
ナショナルズ 0.6% 2.7% 96.7% 0.2%

 

Yadier Molina
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ナショナル・リーグ中地区

  1. セントルイス・カージナルス (90-72)
  2. ミルウォーキー・ブルワーズ (83-79)
  3. シカゴ・カブス (75-87)
  4. シンシナティ・レッズ (72-90)
  5. ピッツバーグ・パイレーツ (66-96)

2016年と2017年にカブスがナ・リーグ中地区を連続優勝して以来、この地区は毎年優勝チームが入れ替わってきた。予測モデルも2022年にブルワーズが連続優勝を果たすことを予想していない。

その代わり、予測モデルはナ・リーグ中地区の優勝チームをカージナルスと予想する。昨シーズン終盤の17連勝によって、レッズ、フィリーズ、そしてサンディエゴ・パドレスを振り切り、2番目のワイルドカード枠を勝ち取って、プレーオフに進出したチームだ。タイラー・オニール、ハリソン・ベイダー、そしてディラン・カールソンの外野手トリオはスピードに富み、野球界で最高の守備力を誇る。彼らの打撃力も向上すると見られている。ポール・ゴールドシュミットとノーラン・アレナドの1・3塁コンビは強力な打線中軸を構成する。トミー・エドマンは1番打者として期待される。予測モデルはまた先発ローテーションを高く評価する。スティーブン・マッツがアダム・ウェインライトとジャック・フラハーティに加わるからだ。もっとも、フラハーティは肩の故障で離脱する期間があるかもしれない。

昨シーズン、ブルワーズの先発ローテーション1,2,3番手トリオは球界随一だった。コービン・バーンズは防御率2.43という堂々な成績でサイヤング賞に選出された。ブランドン・ウッドラフは防御率2.56、フレディ・ペラルタは防御率2.81で、このチームには防御率3.00以下の先発投手が3人いたのだ。エリック・ラウアーとエイドリアン・ハウザーも安定していて、メジャーリーグ最高の先発ローテーションを構成した。救援投手陣にもジョシュ・ヘイダーとデビン・ウィリアムズといったスター投手がいた。それでも予測モデルがカージナルスをブルワーズより上に評価するのは、ブルワーズの打線が信頼性に欠けることが理由である。だが、もしウィリー・アダメスが昨年と同様の活躍をし、クリスチャン・イエリッチが2019年のレベルにまで復活できれば、ブルワーズの抜群の投手力を助けるには十分だ。

カブスは現在チームを再建しつつ、尚且つ競争力を保とうとしている。将来の中核に期待される若手選手の育成にも熱心だ。直近6シーズンで日本最高の強打者のひとりだった鈴木誠也と契約したことは大きな補強だった、鈴木には打線の中軸を担うことが期待されている。ニック・マドリガルとニコ・ホーナーの若い2遊間コンビは将来チームの中心的存在になるだろう。パトリック・ウィズダムとフランク・シュウィンデルは2021年にデビューを果たし、イアン・ハップとウィルソン・コントレラスとともに先発メンバーに戻ってくる。マーカス・ストローマン、カイル・ヘンドリックス、そしてウェイド・マイリーと経験豊富な投手3人を擁する先発ローテーションはバランスが良い。

関連記事:鈴木誠也はすでにカブスのクラブハウスで人気者に。次は打撃力でも好印象を残せるのか

レッズのオフシーズンは不可解だった。ウェイド・マイリーと再契約せず、チームの中心だったジェシー・ウィンカーとエウヘニオ・スアレスをトレード放出した。年俸抑制が目的だったと見られている。そのあとでトミー・ファム、ドノバン・ソラーノ、コリン・モランらと契約し、マイク・マイナーをトレードで獲得した。このチームには予測を上回るだけの潜在能力はある。ジョナサン・インディアとタイラー・スティーブンソンは新人シーズンで活躍した。今年はそれ以上の成績が期待されている。ニック・センゼルは健康であれば、トップ有望株選手に相応しい活躍を見せるだろう。グレイをトレード放出した後でも、先発ローテーションは悪くはない。ルイス・カスティーヨとタイラー・マーリーの若手投手2人に加えて、剛腕で知られるハンター・グリーンと制球力が高いニック・ロドロが加わる。ジョーイ・ボットはスター選手の名に相応しい成績を続けているが、すでに

38歳である。予測モデルはいくらかの成績下降を予想している。

パイレーツは依然として再建モードである。しかし、傘下マイナー組織から若い有望株選手がメジャー昇格を果たしそうだ。ブライアン・レイノルズは2021年にチームで最も輝いた選手になり、オールスターにも選出された。ケブライアン・ヘイズは将来チームの顔になるだけの潜在能力を見せた。それほど遠くない将来、ヘイズは3塁を守り、オニール・クルーズと強力な3遊間コンビになるだろう。ミッチ・ケラーがブレイクすることも期待されている。春のオープン戦はそれを予感させるものだった。現在の先発ローテーションはブライス・ウィルソンやローンシー・コントレラスといった投手たちで若返りを図っている。

 

チーム 地区優勝 ワイルドカード ワイルドカード 第1ラウンド不戦勝
カージナルス 72.0% 11.7% 16.3% 30.6%
ブルワーズ 23.5% 20.7% 55.7% 6.5%
カブス 3.1% 4.1% 92.7% 0.3%
レッズ 1.2% 1.7% 97.1% 0.0%
パイレーツ 0.1% 0.1% 99.8% 0.0%

 

Freddie Freeman
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ナショナル・リーグ西地区

  1. ロサンゼルス・ドジャース (98-64)
  2. サンフランシスコ・ジャイアンツ (90-72)
  3. サンディエゴ・パドレス (85-77)
  4. コロラド・ロッキーズ (75-87)
  5. アリゾナ・ダイヤモンドバックス (71-91)

2021年のナ・リーグ西地区は信じがたいほどの激戦区だった。ジャイアンツがリーグ最高勝率で優勝し、ドジャースの勝率もリーグ第2位だったのだ。2022年シーズンもこの地区はスリリングになるだろう。パドレスも脅威するべき存在であり続けているからだ。

ジャイアンツの快進撃が絶対王者と見られていたドジャースを王座から引きずり落とした。しかし、予測モデルは2022年に再びドジャースが王座に返り咲くと見ている。野球界最強の打線はさらに強化された。コーリー・シーガーは失ったものの、フレディー・フリーマンと契約したことで十分なお釣りが来る。シーガーが去った後、トレイ・ターナーが2塁からショートストップに移り、ギャビン・ラックスとクリス・テイラーが2塁を守る。器用なマックス・マンシーはどの方向にもヒットが打てるし、36歳になるジャスティン・ターナーはまったく衰えを見せていない。ムーキー・ベッツは2021年にはさほど目立たなかったが、依然として野球界を代表する打者のひとりである。ドジャースにとって最大の疑問符は先発ローテーションにあることは疑いの余地がない。シャーザーが去った後、ウォーカー・ビューラーは誰もが認めるエースになる。クレイトン・カーショウは健康でありさえすれば、マウンド上で圧倒的な存在だ。救援投手陣はジャンセンを失ったが、その代わりにクレイグ・キンブレルをブレイク・トレイネンとブルスダー・グラテロルらに加えた。

ジャイアンツが2021年に大成功を収めた理由は抜群の先発ローテーションにあった。2022年もそれは健在だ。ケビン・ゴーズマンをフリーエージェントで失ったものの、ポストシーズンで大活躍したローガン・ウェブはチームに戻ってくる。アンソニー・デスクラファニーとアレックス・ウッドも同様だ。さらにカルロス・ロドン、アレックス・コブ、そしてマシュー・ボイドと契約したことで、先発ローテーションはさらに強力になった。バスター・ポージーは引退することで、ジョーイ・バートがチームの正捕手になる時代を招き寄せた。打線の中軸を担うブランドン・クロフォード、ブランドン・ベルト、マイク・ヤストレムスキーの3人は30歳以上だが、2021年を見る限り、まったく力は衰えていない。予測モデルは少々の後退を予想するが、それでも投手力は依然として球界屈指である。

パドレスが短縮された2020年シーズンにプレーオフ進出を果たしたとき、多くの人が2021年にはさらに先へ進み、ワールドシリーズ進出も狙えるチームになることを予想した。しかし、パドレスはプレーオフ進出すら逃してしまった。それでも今シーズンはこのチームへの期待値は再び高い数字を示す。フェルナンド・タティス・ジュニアは健康でありさえすれば球界屈指の若いスターであるうえ、マニー・マチャドが打線の中で強力な保護者役を務める。マイク・クレビンジャーがチームに戻り、ショーン・マネイアをトレードで獲得したことで、ジョー・マスグローブ、ダルビッシュ有、ブレイク・スネルを擁する先発ローテーションは厚みを増した。予測モデルの厳しい見方はタティスがシーズンを通して出場できるかどうかに懸念を持っているからだ。もしそれが実現すれば、多くの人が待ち望んでいた魔法のような年になるだろう。

誰もがロッキーズは再建モードに入ったと考えていたが、このチームはクリス・ブライアントと契約したことで大きな衝撃を与えた。誰もがブライアントの類まれなパワーがクアーズ・フィールドの薄い空気でどのように発揮されるかを楽しみにしている。C.J.クロンがチーム1年目で見せたようにである。ブレンダン・ロジャーズとライアン・マクマホンは将来はチームの中心コンビになれることを見せた。ジョン・グレイを失ったことは投手陣にとって痛手ではあるが、ヘルマン・マルケスとアントニオ・センザテラの実力は昨シーズンも証明済みだ。ロッキーズがプレーオフ枠争いに加わることはないだろうが、そのラインアップは見ていて楽しいものになる。

ダイヤモンドバックスは2021年にオリオールズと並んでリーグ最悪の勝率を残した。しかし、オリオールズと同様、このチームも将来に向けて明るい兆しが見え始めた。アレク・トーマスは2022年のどこかのタイミングでメジャー昇格を果たし、ケーテル・マルテ、ドールトン・バーショ、カーソン・ケリーといった若い打者たちに加わるだろう。ナ・リーグにDH制が導入されることで、若い強打者のセス・ビアーも出場機会を増やすことができる。ザック・ガレンとルーク・ウィーバーがいつかは先発ローテーションの中心になれると見られているが、現在のところは、その役はもっと経験豊富なメリル・ケリーとマディソン・バンガーナーが務めている。

チーム 地区優勝 ワイルドカード プレーオフ不進出 第1ラウンド不戦勝
ドジャース 74.7%% 22.9% 2.5% 69.2%
ジャイアンツ 20.2% 59.9% 19.9% 17.1%
パドレス 4.9% 42.3% 52.3% 4.2%
ロッキーズ 0.2% 4.8% 95.0% 0.1%
ダイヤモンドバックス 0.1% 1.6% 98.3% 0.1%

アメリカン・リーグ・プレーオフ予想

  • • 第1ラウンド不戦勝: ホワイトソックス, アストロズ
  • • 他のプレーオフ進出チーム:ブルージェイズ, レイズ, レッドソックス, ヤンキース

ア・リーグのプレーオフには意外性はないだろう。ホワイトソックスとアストロズがア・リーグのトップ2に挙げられているが、ア・リーグ東地区のトップ4チームがプレーオフに進出することがシミュレーションで予想されている。ホワイトソックスは地区に所属しているため、ア・リーグで一番の座を射止めると見られている。

ペナントを制するオッズは2022年プレーオフの展開を予想する。ワールドシリーズ進出の可能性が5%とされたのは6チームだけだが、その4チームはア・リーグ東地区にあり、残りはホワイトソックスとアストロズだ。ブルージェイズはペナント制覇のオッズが16.9%と最高であり、ホワイトソックスとアストロズがそれぞれ15.2%と13.9%の僅差で追っている。

チーム ペナント制覇
ブルージェイズ 16.9%
ホワイトソックス 15.2%
アストロズ 13.9%
レイズ 13.0%
レッドソックス 12.3%
ヤンキース 10.8%
タイガース 4.5%
レンジャーズ 3.8%
ロイヤルズ 3.7%
エンゼルス 3.2%
ツインズ 2.1%
マリナーズ 0.3%
オリオールズ 0.2%
ガーディアンズ 0.0%
アスレチックス 0.0%

ナショナル・リーグ・プレーオフ予想

  • •第1ラウンド不戦勝:ドジャース, ブレーブス
  • • 他のプレーオフ進出チーム:カージナルス, ジャイアンツ, メッツ, フィリーズ

ア・リーグ同様、ナ・リーグも東地区が激戦区になりそうだ。予測モデルではナ・リーグ東地区から3チームはプレーオフに進出すると見ている。もしパドレスが地区優勝を果たせば、メッツとフィリーズがワイルドカード枠を得るだろう。

しかし、ナ・リーグのトップ2と予想されているのは昨年と同じドジャースとジャイアンツである。予測モデルはドジャースがリーグ最高勝率でペナントを制すると予想している。ジャイアンツはペナント制覇の2番手予想だが、ブレーブスとの差は無いに等しい。ブレーブスは地区優勝を2番目の勝率で果たすことで、不戦勝を勝ち取る2番手になると見られている。

チーム ペナント制覇
ドジャース 17.4%
ジャイアンツ 14.2%
ブレーブス 14.1%
メッツ 12.9%
カージナルス 11.9%
フィリーズ 10.7%
パドレス 7.4%
ブルワーズ/td> 6.1%
マーリンズ 3.2%
ロッキーズ 0.7%
カブス 0.7%
ナショナルズ 0.3%
レッズ 0.2%
ダイヤモンドバックス 0.2%
パイレーツ 0.0%

ワールドシリーズ予想

誰もがワールドシリーズを制覇するチームはどれかを知りたいはずだ。予測モデルが出した答えでは、ドジャースがチャンピオンになり、コミッショナー・トロフィーを受け取る確率が最も高い。ブルージェイズが僅差の2番手だ。

予測モデルはジャイアンツも高く評価する。例えワイルドカード枠からのポストシーズン進出になったとしても、である。

アストロズの方がペナント制覇の確率が高いにもかかわらず、レイズの方がワールドシリーズ制覇の確率が高い。予測モデルはワールドシリーズでは投手力に優るナ・リーグに対してはレイズの方が対抗できるであろうことも示唆している。

チーム ワールドシリーズ制覇
ドジャース 9.3%
ブルージェイズ 8.7%
ジャイアンツ 8.4%
ホワイトソックス 7.7%
レイズ 7.1%
アストロズ 7.0%
ブレーブス 6.8%
メッツ 6.4%
カージナルス 6.0%
レッドソックス 5.7%
ヤンキース 5.2%
フィリーズ 4.6%
パドレス 3.5%
ブルワーズ 3.5%
タイガース 1.9%
マーリンズ 1.6%
エンゼルス 1.6%
レンジャーズ 1.4%
ロイヤルズ 1.4%
ツインズ 0.8%
ロッキーズ 0.3%
カブス 0.2%
マリナーズ 0.2%
ナショナルズ 0.2%
レッズ 0.1%
ダイヤモンドバックス 0.1%
ガーディアンズ 0.0%
オリオールズ 0.0%
アスレチックス 0.0%
パイレーツ 0.0%

(翻訳:角谷剛)

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Edward Sutelan

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Edward Sutelan joined The Sporting News in 2021 after covering high school sports for PennLive. Edward graduated from The Ohio State University in 2019, where he gained experience covering the baseball, football and basketball teams. Edward also spent time working for The Columbus Dispatch and Cape Cod Times.