カルロス・コレア、フレディ・フリーマンら、MLBロックアウト後のFA選手トップ35人…鈴木誠也もランクイン

Ryan Fagan

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ロックアウトがようやく終わり、野球が帰ってきた!

それでも試合を始める前に、まだ多くのことが未解決のままだ。そのなかでも最大の課題のひとつがフリーエージェント選手だ。何十人もの、実際には何百人もの、FA選手たちが所属するチームを早急に見つけなくてはいけない。先発レギュラーの座が確定された契約を望める大物選手たちにも悩みは多いが、それよりもロックアウトの影響が大きいのはベテラン選手だろう。例年なら新天地の首脳陣にアピールする絶好の場になるはずの春季キャンプが大幅に短縮されるからだ。彼らはシーズン開幕後まで待たなくてはいけないかもしれない。なぜなら球団側はまずはシーズン開幕戦に向けて先発レギュラー陣の確定を最優先すると思われるからだ。

しかし、それはまた別の話題に譲ろう。ここでは、これからの数週間で大きな動きがあるかもしれないトップ35人のフリーエージェント選手をリストアップしてみた。

1. カルロス・コレア, 遊撃手

開幕時の年齢:27
11月時点のランク:1

選出の理由:
コレアは稀有の野球選手である。もっとも大きな懸念は健康面であるが、昨シーズンはヒューストン・アストロズで148試合に出場し、26本の本塁打、92打点、7.2 bWAR(アメリカン・リーグの野手では最高数値)、そして131 OPS+の成績を残した。守備力も抜群だ。なにしろ全ポジションを通してアメリカン・リーグ最高の守備選手に贈られるプラチナ・ゴールド・グラブを受賞しているのだ。
さらにポストシーズンでの成績も飛び抜けている。キャリア通算でポストシーズン79試合に出場し、.849 OPSと18本の本塁打という成績である。サイン盗みスキャンダルでの悪印象を拭えないファンはいるかもしれない。
しかし、そのことがコレアを求めるチームの障害になるとは考えにくい。多くの人は元アストロズの監督だったA.J.ヒンチが率いるデトロイト・タイガースをコレアの有力な移籍先として予想していた。しかし、タイガースはハビアー・バエズと契約した。テキサス・レンジャースは2人の遊撃手(コーリー・シーガーとマーカス・セミエン)をフリーエージェント市場から獲得した。そうなると、コレアはどこに落ち着くだろうか。ニューヨーク・ヤンキースの可能性はまだ残っている。ヤンキースが金庫を開けるとすれば、ではあるが。ほかに考えられるのはアストロズとの再契約、あるいはフィラデルフィア・フィリーズやロサンゼルス・ドジャースくらいだろうか。

2. フレディ・フリーマン, 1塁手

開幕時の年齢:32
11月時点のランク:4

選出の理由:
我々は11月にこう書いた。「アトランタ・ブレーブスがフリーマンを手放すわけはない。その可能性はゼロだ。しかし、フリーマンはフリーエージェントなのだ。そして球界でも指折りの選手なのだから、このリストに入れないわけにはいかない。もしブレーブスがフリーマンに市場価値以下のオファーをして、その結果チームを離れるようなことになったら、ファンは一体どのような反応をするだろうか。想像することすら難しい。野球史上もっとも短かったワールドシリーズ優勝後の蜜月期間として記憶されることだろう」 
しかし、それは現実に起きてしまった。ブレーブスは適切な契約を申し入れなかった。そのことでフリーマンがチームを離れる可能性は数か月前よりはるかに大きくなってしまった。ヤンキースはどの選手にも興味を持つだろうから、殊更に取り上げたくはないが、それでも打線の中軸に右打者のアーロン・ジャッジとジャンカルロ・スタントンに左の強打者を加えるという案は魅力的だ。ヤンキー・スタジアムはライト側が狭い球場でもある。

3. クリス・ブライアント, 3塁手/外野手

開幕時の年齢:30
11月時点のランク:7

選出の理由:
忘れられがちな2020年シーズンの後、ブライアントは2021年シーズンにはシカゴ・カブスとサンフランシスコ・ジャイアンツで自身がオールスター級の選手であることをふたたび証明した。かつてのように天井知らずの高額契約が予想されるほどの選手ではなくなったが、ワールドシリーズを狙うチームならブライアントに必ず目をつけるだろう。打線の中軸を担える打力に加えて、5つの異なったポジションを守ることができるのだ。我々はジャイアンツと再契約する可能性が高いと見ている。バスター・ポージーが引退し、ジャイアンツが打線から強力な右打者を失った後では尚更である。

4. ニック・カステヤノス, 右翼手

開幕時の年齢:30
11月時点のランク:8

選出の理由:
カステヤノスの守備は合格点ではあるが、やや安定性に欠ける。両リーグに指名打者(DH)制が導入されるニュースはプラスに働くだろう。これは他の多くのフリーエージェント選手(例えばネルソン・クルーズ)についても同様である。カステヤノスは全方向に打球を飛ばすことができる。それは攻撃面での貢献度が非常に高いことを意味する。打撃力のある外野手(あるいはDH)を探しているチームにとっては、カステヤノスは最高の選択肢になる。

5. トレバー・ストーリー, 遊撃手

開幕時の年齢:29
11月時点のランク:12

選出の理由:
ストーリーは2021年に打撃が不振だった。それ以外には言いようがない。その前の3年間平均では、打率.292/出塁率.355/長打率.554で、.909 OPSと123 OPS+だった。それが2021年シーズンには、打率.251/出塁率.329/長打率.471で、.801 OPSと103 OPS+になってしまったのだ。コロラド・ロッキーズのほとんどの打者がそうであるように、ストーリーの成績は本拠地クアーズ・フィールドより遠征時のものが悪くなる。それでも、2021年の打率.203と得点圏打率.292は驚きだった。ただし、本塁打数は遠征時(13本)の方が本拠地(11本)より多かった。ストーリーが望めば、複数年契約を手に入れることができるだろう。しかし、ロッキーズ以外のチームと単年契約を結び、そこでオールスター級、あるいはMVP級の活躍をして、30歳になる来シーズンにフリーエージェント価値の最大化を狙うのも、悪くはない選択肢だ。

6. カイル・シュワーバー, DH/外野手

開幕時の年齢:29
11月時点のランク:14

選出の理由:
上でカステヤノスについて述べたことが、シュワーバーにも当てはまる。2022年以降、ナショナル・リーグでもDH制が導入されることで、リーグでトップ級の打力をもつ左打者は行く先には困らなくなった。主にDHでプレイする外野手にとってはそうでもないが、短いイニングなら外野の守備も悪くないDH打者にとっては朗報である。

7. 鈴木誠也, 右翼手

開幕時の年齢:27
11月時点のランク:なし (その時点ではフリーエージェントではなかったため)

選出の理由:
鈴木は18歳の時に広島カープでデビューを果たした。21歳になる頃には日本で押しも押されぬスター選手になっていた。自身「最悪」のシーズンだった2020年でさえ、118試合に出場して、打率.300、953 OPS、25本の本塁打、75打点を挙げている。そのときの鈴木は25歳でしかなかった。続く2021年には大きく飛躍した。134試合で38本の本塁打を打ち、打率.317、1.069 OPSの成績を残したのだ。野球データサイト『FanGraphs』ではこれから数シーズンに鈴木が打つであろう本塁打数を21~23本と予想している。プレーオフ進出を狙い、強打の右利き外野手を補強したいと考えるチームにとっては十分な数字だ。鈴木の移籍先はどのチームになるだろうか。これまでにシカゴ・カブス、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ボストン・レッドソックス、シアトル・マリナーズ、サンディエゴ・パドレスなど、多数のチームと接触した。そのほとんどのチームが獲得に興味を持っている模様である。

8. カルロス・ロドン, 先発投手 

開幕時の年齢:29
11月時点のランク:16

選出の理由: 
ロドンは昨シーズンに見事な復活を遂げた。肩に不安があるため、複数年契約をためらうチームはあるかもしれない。しかし、1年か2年の短期間に限ってなら、高額での契約をもちかけるチームは少なくないはずだ。シャーザーやバーランダーほどではなくても、かなりの金額が予想される。それはロドン本人にとっても悪い話ではないはずだ。1年か2年を故障なく活躍すれば、30歳か31歳でふたたびフリーエージェント市場に戻ってこれるのだから。

訳者注:3月11日、カルロス・ロドンはサンフランシスコ・ジャイアンツと2年総額4400万ドル(約51億6219万円)で契約に合意したと各メディアで報じられた。

9. クレイトン・カーショウ, 先発投手 

開幕時の年齢:34
11月時点のランク:18

選出の理由: 
カーショウもまた、長年プレイしてきたチームから離れて別のチームに移籍することを想像し難い選手のひとりだ。健康でありさえすれば、カーショウの成績は今でも群を抜いている。3.00 FIPは2016年以来の自己ベストだった。しかし、2015年以降、先発登板試合数が28回を越えたことが一度もない(2021年は22回)。どのような契約を結ぶべきか、その判断は難しい。私は今でもカーショウはロサンゼルス・ドジャースに戻ると考えている。しかし、テキサス・レンジャーズ入りの可能性を噂するものもいる。レンジャーズはシーガーとセミエンと契約した。そしてさらにジョン・グレイが先発ローテーションに加わった。それでもまだ先発投手の補強を望むかもしれない。カーショウはレンジャーズの本拠地であるダラスの出身であることも、説得材料のひとつになることも考えられる。もしカーショウの移籍が実現すれば、レンジャーズのチーム再建はさらに現実味を帯びてくる。

筆者注:3月11日、クレイトン・カーショウはロサンゼルス・ドジャースと1年1700万ドル(約19億9448万円)で再契約に合意したと各メディアで報じられた。

10. ホルヘ・ソレア, 外野手

開幕時の年齢:30
11月時点のランク:21

選出の理由:
ソレアほどポストシーズンでの価値が高い選手が他にいるだろうか。この選手がどのように評価されるかは興味深いところだ。カンザスシティ・ロイヤルズに在籍していた2020-21年は不振にあえいだ。しかし、アトランタ・ブレーブスに移籍してからは大活躍した。そして、両リーグでDH制が導入されたことは、ソレアにとって有利に働くことは間違いない。

11. エディ・ロザリオ, 外野手 

開幕時の年齢:30
11月時点のランク:22

選出の理由:
ソレア同様かそれ以上に、この選手の価値は激しく上下した。各チームがどのように評価するかについても、同じ質問が浮かぶ。どちらかと問われれば、我々はロザリオの方を高く評価するかもしれない。プレーオフでの打撃成績が素晴らしいのは同じだが、ロザリオは長打だけではなく、四球も多く選んでいる。複数年契約をもちかけるチームはいくつかあるだろう。

12. アンソニー・リゾ, 一塁手

開幕時の年齢:32
11月時点のランク:27

選出の理由:
事実を述べるなら、リゾの人気は現在の価値より高くなっている。2014-19年の間、リゾは平均して出塁率.388と139 OPS+の成績を挙げた。しかし、直近の2シーズンでは、その数値は.343 と 109に下降してしまっている。2021年7月下旬にニューヨーク・ヤンキースへトレードされた直後では大活躍したが(最初の6試合で3本の本塁打、6打点、打率.400)、その後は173打席で打率.229、.685 OPSという成績だった。それでもリゾは複数年契約のオファーを受けるかもしれないが、その金額はさほどの高額にはならないだろう(あくまで比較の話ではあるが)。

13. ケンリー・ジャンセン, 救援投手 

開幕時の年齢:34
11月時点のランク:28

選出の理由:
ジャンセンはすでに最盛期を過ぎてしまったかもしれない。それでも、あと数年は安定したトップクラスのクローザーを務めるだけの実力は見込める。

14. ネルソン・クルーズ, 指名打者  

開幕時の年齢:41
11月時点のランク:30

選出の理由:
クルーズはタンパベイ・レイズに移籍後の55試合で13本の本塁打を打った。しかし、他の打撃成績は軒並み下降し、.725 OPSという結果になってしまった。ミネソタ・ツインズ時代のOPS(.907)からすると、その落ち込みは激しい。この事実はクルーズの契約金額を下げる要因になるだろう。しかし、41歳という年齢からすると、そもそもクルーズは複数年契約を狙ってはいないはずだ。両リーグにDH制が導入されたことで、移籍先の可能性は広がった。

15. マイケル・コンフォルト, 外野手 

開幕時の年齢:29
11月時点のランク:31

選出の理由:
コンフォルトはストーリーと似たような立場にいる。数シーズンで好成績を残し、選手としての名声を確立したが、2021年には(自身の標準からすると)不振にあえいだ。そして、ストーリーと同様、コンフォルトは2022年シーズンをわずか29歳で迎える。ロックアウトの影響で春季キャンプが短縮された今、1年契約だけを結んで、次のオフシーズンでさらなる大型契約を狙うべきではないだろうか。交渉期間が限られていることを考えると、それが理にかなっているようにも見える。ロックアウトに入る前からどこかのチームと長期契約の交渉を始めていたとしたら、話は別になるわけだが。

16. ジョク・ピーダーソン, 外野手 (29)
17. アンドリュー・マカッチェン, 外野手 (35)
18. ジョシュ・ハリソン, ユーティリティー (34)
19. ジェウリス・ファミリア, 救援投手 (32)
20. 菊池雄星, 先発投手 (30)

21. ザック・デイビーズ, 先発投手 (29)
22. アンドリュー・チェイフィン, 救援投手 (31)
23. マイケル・ピネダ, 先発投手 (33)
24. ザック・グレインキー, 先発投手 (38)
25. ジョナサン・ビヤー, 内野手 (30)

26. アーチー・ブラッドリー, 救援投手 (29)
27. ライアン・テペラ, 救援投手 (34)
28. タイラー・アンダーソン, 先発投手 (32)
27. ダニー・ダフィー, 先発投手 (33)
30. ジョニー・クエト, 先発投手 (36)

31. ジョー・ケリー, 救援投手 (33)
32. コリン・マクヒュー, 救援投手 (34)
33. ブラッド・ミラー, 内野手 (32)
34. トミー・ファム, 外野手 (33)
35. 金廣鉉, 先発投手 (33)

(翻訳:角谷剛)

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Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.