原文公開日:2018年4月6日
指名打者さん、お誕生日おめでとう!45歳を迎えてもお元気そうで。
キミが初めてその姿を現したのは1973年の4月6日だった。キミはニューヨーク・ヤンキースのロン・ブロンバーグに姿を変えて、ボストン・レッドソックス戦で3打数1安打の活躍をした。多くの人が否定するけれど、指名打者制の登場によって野球の試合はより良く変化した。
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「本物の野球じゃない」、彼らはそんなことを口にする。
つまりは、「チームが1点ビハインドの満塁の攻撃場面で、犠牲バントや投手が凡退するのを好む」ということだ。
指名打者制の野球は「本物の」野球ではないかもしれないが、より良い野球だ。
誕生から45年がたった今でも、キミはファンの間で熱い議論を引き起こす存在だ。指名打者制が野球をダメにしたと主張する人もいる。なんとまあ愚かな人たちだろうか。
キミのことを悪く言う人たちは、指名打者制が野球の戦略を廃れゆくものにしてしまったと言う。どういうわけか、キミの存在が試合をだらけさせると言うのだ。私にはその意見が理解できない。私は観戦中に投手交代やダブルスイッチで興奮したことは一度もないからだ。
私はオフェンスが大好きだ。攻撃機会が多ければ多いほど愉快になる。時には投手戦も良いだろうが、10対9のような打撃戦をいつでも望んでいる。理由は実に単純だ。打線に選手枠が9つあるのなら、私はすべての選手枠を真のヒッターで埋めたい。アウトを1つ差し出すようなマネはしたくはないのだ。指名打者さんには感謝を述べよう。おかげでそんなマネをする必要がなくなった。
ア・リーグは明らかにキミからの利益を得ており、正当に活用している。ナ・リーグも見習うべきだ。もし球界が試合をより面白くしたいのであれば、ナ・リーグへの指名打者制の導入が必要だ。その分増えるホームランを想像してみてくれ。もちろん、これと対戦することになる人も多くいるわけだが。
指名打者制によってキャリアを確立させるか、晩年の選手生活を延長させた選手を見てみよう。エドガー・マルティネス、フランク・トーマス、デビッド・オルティーズ、ポール・モリター、そしてジム・トーミ、これでもほんの一部だ。これらの選手の多くはクーパーズタウンの野球殿堂博物館に名前が刻まれており、まだの選手も近いうちに殿堂入りを果たすだろう。
チリ・デービスやハル・マクレーのように、キミからの恩恵を受けたからこそ活躍できた選手もいる。ハロルド・ベインズやドン・ベイラーのようなオールスター出場選手も、過去数十年間「DH」の肩書きを背負って活躍している。また、現役最強の指名打者であるネルソン・クルーズも、キミのおかげでいまだに対戦相手から恐れられる生産性の高い打者でいられている。そして。大谷翔平がこれまでに成し遂げたことは見ただろう? キミと彼は親友になるだろうね。
キミは選手の現役生活を延ばし、疲労の蓄積を抑え、バッターのラインナップを柔軟なものにする。また、こんなことを言っても価値があるかどうか分からないが、1973年以降のワールドシリーズはア・リーグが勝ち越している(24勝20敗)。
指名打者さん。キミは実に素晴らしい。なぜ人々がキミを嫌うのか、私にはとうてい理解できない。彼らももっとキミを活用するべきだ。バントではなく得点を、戦略ではなく勝利を求めるべきだ。
ともかく、よい一日を。
45歳おめでとう。キミはすばらしい。これからも長寿と繁栄を(そしてナ・リーグをより良くしてほしい)。
キミの友達、ジェイソンより
原文:A birthday love letter to the designated hitter
翻訳:日本映像翻訳アカデミ