2020年MLBスポーティング・ニュース賞:ホセ・アブレイユが最優秀選手、カイル・ルイスとジェイク・クロネンワースが新人王

Jason Foster

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2020年のMLBレギュラーシーズンは60試合で争われた。選手たちのパフォーマンスを評価するための時間と機会は例年に比べると少ないのは否めない。だが、その短い期間でありながらも、他の選手に大きな印象を残すだけの活躍を見せた者もいる。

1936年以来、スポーティング・ニュースが選手、監督、そして球団経営者らを対象に、それぞれの分野で年間の優秀者を選ぶ投票を行ってきた意味はそこにある。投票は9月に集められ、MLB全体でただ一人の最優秀選手、各リーグの新人王、カムバック選手、最優秀監督が選ばれる。

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同時に球団経営者らも自らの分野で年間最優秀者を選び、また各リーグのオールスター選手の投票も行う。すべての分野において、投票者は自分のチームに所属する人物には投票できないルールだ。

2020年度スポーティング・ニュースMLB各賞の受賞者は以下の通り。

MLB年間最優秀選手: ホセ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)

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33本の本塁打を放ち、リーグトップの123打点を挙げ、そしてオールスターに選出される活躍をした翌年に、さらに成績を伸ばすことはけっして容易なことではない。だがホセ・アブレイユは2020年の短いシーズンながらも、その難事を見事にやり遂げた。

2020年の60試合において、ホワイトソックスの1塁を守ったアブレイユは安打数(76)、打点(60)、長打率(.617)、そして総塁数(148)でアメリカン・リーグのトップに立ち、本塁打数(19)では2位につけた。積み重ねたbWARは 2.8に達し、2020年のMLB最優秀選手に文句なしに選出された理由は誰の目にも明らかだ。

180人のMLB選手による投票で、アブレイユは47票を獲得して、圧倒的多数で受賞者となった。2位はシェーン・ビーバー投手(クリーブランド・インディアンス)で25票、3位はフレディ・フリーマン1塁手(アトランタ・ブレーブス)で20票だった。全体で15人の選手にこの分野で得票があった。

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アブレイユの活躍はホワイトソックスが2012年以来のレギュラーシーズン勝ち越しと2008年以来のポストシーズン進出を果たした原動力となった。ホワイトソックスからこの賞を受賞するのは、アーリー・ウィン(1959年)、フランク・トーマス(1993年)に続いて、アブレイユが3人目である。

ナショナル・リーグ新人王:ジェイク・クロネンワース(サンディエゴ・パドレス)

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パドレスはベテラン選手と若い選手らが上手くかみ合ったことで、2020年プレーオフへの進出を果たした。若い選手たちのグループでもっとも際立った成功を収めた選手の1人が新人内野手のジェイク・クロネンワースだ。打撃面(出塁率.354、128 OPS+)に加えて、守備面(チームトップの守備防御点3と76捕殺)でも、パドレスが2006年以来となるポストシーズンへ進むことに貢献した。

仲間の選手たちはそのことがよく分かっていた。だからこそ、クロネンワースはナショナル・リーグ新人王の競争で勝利することになった。この分野の84票中、クロネンワースは48票を獲得した。次に得票が多かったのはデビン・ウイリアムズ投手(ミルウォーキー・ブリュワーズ)の25票だった。ウイリアムズの成績は4勝1敗、防御率0.33、53奪三振である。

ナショナル・リーグ カムバック賞:ダニエル・バード(コロラド・ロッキーズ)

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ある投手が満足にストライクゾーンへ投げられなくなり、メジャーリーグの舞台から6年遠ざかり、その後でマウンドに戻ってきて、35歳にして成功する。これ以上「カムバック」という言葉を完璧に表現することはできないだろう。それがつまり2020年のダニエル・バードなのだ。

バードはナショナル・リーグのカムバック賞に圧倒的多数で選出された。85票中、バードの得票は37票で、それは2位の候補者よりも2倍以上多い得票数だった。

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2013年にボストン・レッドソックスで2試合に登板したのち、バードはその後の6年間でいくつかのマイナー球団を渡り歩き、ときにはプロ野球の世界から姿を消したこともある。いわゆる「イップス」と呼ばれる、コントロール不能の問題に苦しんでいたからだ。だが、バードは2020年シーズンにロッキーズの救援投手陣に名を連ね、4勝2敗、防御率3.65、24回2/3を投げて、27奪三振の成績を残した。

これほどの復活劇は非常に稀であり、どのような角度から見ても印象的ですらある。トレバー・バウアー投手(シンシナティ・レッズ)が次点で、得票は14票だった。

ナショナル・リーグ 最優秀監督:ドン・マッティングリー(マイアミ・マーリンズ)

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シーズン初期に新型コロナウイルスの集団感染によって多くの戦力を失ったにもかかわらず、ドン・マッティングリーは残った戦力を有効に活用し、マーリンズの戦績を31勝29敗にまで導いた。マーリンズがレギュラーシーズンで勝ち越したのは2009年以来のことであり、さらに驚くべきことは2003年以来のポストシーズン進出も果たした。

マーリンズの快進撃はそれだけに留まらず、ワイルドカード・シリーズではシカゴ・カブスを連勝で下した。マーリンズの監督として5年目となるマッティングリーはナショナル・リーグ最優秀監督賞の投票で50%の得票を集め、ロサンゼルス・ドジャーズのデーブ・ロバーツ監督を僅差で制した。マーリンズの監督としてこの賞を受賞するのは、ジョー・ジラルディ(2006年)、フレディ・ゴンザレス(2008年)に続いて、マッティングリーが3人目である。

アメリカン・リーグ新人王: カイル・ルイス(シアトル・マリナーズ)

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ナショナル・リーグ新人王の投票とは異なり、アメリカン・リーグのそれは接戦ではなかった。同リーグ選手たち92人の投票でシアトル・マリナーズのカイル・ルイス外野手が圧倒的な支持を得たのだ。

今シーズンのマリナーズは3年連続で負け越し、さらに19年連続でポストシーズン進出を逃した。その中においてルイスの活躍は数少ない光明のひとつだった。ルイスが挙げた安打数 (54)、 本塁打数 (11)、 四死球 (34)、 出塁率 (.364)、総塁数 (90)はいずれもチームトップである。新人王投票では全体の約60%にあたる55票を得た。この得票は他の誰よりも2倍以上多い。

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マリナーズの選手として、過去にこの賞を受賞したのは2003年のラファエル・ソリアーノしかいない。その頃は各リーグの新人投手と新人野手が別々にこの賞に選出されていた。

アメリカン・リーグ カムバック賞: カルロス・カラスコ(クリーブランド・インディアンス)

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選手たちの目には何よりも明らかに映るものがあるようだ。少なくとも、アメリカン・リーグのカムバック賞を選ぶ投票はそれにあたる。クリーブランド・インディアンスのカルロス・カラスコは2020年の同賞に圧倒的多数で選出された。81票中、カラスコの得票は31票(得票率38%)だった。

カラスコは2019年6月に白血病と診断され、2か月間フィールドから離れた。そこからのカムバック劇は未だに多くの選手たちの記憶に残るところだ。カラスコは同年9月に救援投手としてメジャーのマウンドに戻ってきた。MLB公式の2019年カムバック賞にも選出されている。

選手たちは2020年シーズンにおけるカラスコの活躍にも畏敬の念を抱き続けている。カラスコはインディアンスの先発投手として12試合に登板し、3勝4敗、防御率2.91、68回を投げて、奪三振82個の成績を残している。カラスコの今シーズンbWARは1.6である。

他の得票者上位3位は、サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)が18票、ディラン・バンディ(ロサンゼルス・エンゼルス)が6票、ランス・マッカラーズ・ジュニア(ヒューストン・アストロズ)が6票である。

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アメリカン・リーグ 最優秀監督: ケビン・キャッシュ(タンパベイ・レイズ)

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ケビン・キャッシュが2年連続でアメリカン・リーグの最優秀監督賞に選出された。その理由は明らかだ。キャッシュはまず2019年にレイズの成功基盤を作り上げ、6年振りのプレーオフ進出を果たした。そして2020年は大差をつけての地区優勝、そしてアメリカン・リーグでトップの戦績(40勝20敗)へとチームを導いた。

キャッシュが積極的に起用した若い選手たちの勢いはポストシーズンに入っても衰えることがない。アメリカン・リーグ・チャンピオン・シリーズに駒を進め、現時点はシリーズ3勝1敗でヒューストン・アストロズをリードしている。キャッシュがこの賞に誰よりも相応しいのは明らかであり、67%の得票を得て選出された。

2年以上連続でこの賞を受賞するのはキャッシュが史上6人目である。ビリー・サウスワース(セントルイス・カージナルス、1941-1942)、ボビー・コックス(アトランタ・ブレーブス、2002-2005)、テリー・フランコーナ(クリーブランド・インディアンス、2016-2017)、クレイグ・カウンセル(ミルウォーキー・ブリュワーズ、2017-2018)、ブライアン・スニッカー(アトランタ・ブレーブス、2018-2019)らがその栄誉あるクラブのメンバーだ。

レイズの監督としては、この賞をキャッシュ以前に受賞したのはジョー・マドン(2008、2011)しかいない。

最優秀経営者: リック・ハーン(シカゴ・ホワイトソックス)

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野球チームを再建してポジティブな結果を得るためには、様々な結果をバランスよく進めることが求められる。そこには有望株選手の育成、大物選手の獲得、そして現有戦力のパフォーマンスを最大限レベルかそれ近くまで引き上げることが含まれる。2020年のホワイトソックスはそれらのすべてが上手く運び、チームは長年の不振から脱して、12年振りにプレーオフへ進出を果たした。その成功の多くはリック・ハーン氏の手腕によるところだ。ハーン氏はMLBで球団経営に携わるリーダーたちが票を投じた最優秀経営者賞に選出された。

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2020年シーズンで35勝25敗の好成績をもたらしたハーン氏の業績は数多い。左腕のダラス・カイケルと契約すると、カイケルは11試合に先発し、防御率1.99 の成績を残した。強打者のホセ・アブレイユと再契約すると、アブレイユはアメリカン・リーグのいくつかの打撃成績分野でトップの座を独占した。フリーエージェントのヤズマニ・グランダル捕手と契約すると、グランダルは打撃面(本塁打8本、出塁率.351)と守備面(守備防御点5)の両方で安定した成績を残し、チームに貢献した。7月末にトップ有望株選手のニック・マドリガルをメジャー昇格させると、マドリガルはチームの攻撃面で新たな脅威となった(109打席で出塁率.376)。

その結果、ホワイトソックスは8年振りにレギュラーシーズンを勝ち越した。18票中、ハーン氏は6票をMLB経営者グループから獲得し、得票率33%でこの賞に選出された。サンディエゴ・パドレスのゼネラルマネージャーであるA.J. プレラー氏が4票で2位に入った。ロサンゼルス・ドジャースの社長であるアンドリューフリードマン氏とタンパベイ・レイズのゼネラルマネージャーであるエリック・ニアンダー氏が3票ずつで3位タイに並んだ。マイアミ・マーリンズの社長であるマイケル・ヒル氏とオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーであるデビッド・フォースト氏にもそれぞれ得票があった。

10月16日(日本時間17日): MLB経営者グループが選出する2020年スポーティング・ニュースMLBオールスターが発表される。

(翻訳:角谷剛)

Jason Foster

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Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.