2020年MLBシーズンが終了。劇的な最終日に起きたもっとも奇妙な4つの出来事

Ryan Fagan

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2020年の野球シーズンは終了した。その最後の日は、と言うより最後の数時間は、野球だけではなく、すべての人にとって異例尽くしだったこの年に相応しく、極めて異例な形での幕切れとなった。

10月27日(日本時間28日)、テキサス・レンジャーズの本拠地であるグローブライフ・フィールドで行われたワールドシリーズ第6戦でロサンゼルス・ドジャースが勝利した。ドジャースはタンパベイ・レイズを3-1で破り、1988年以来となるワールドシリーズ制覇を果たした。それは野球史に残る他の記録には及ばないかもしれないが、ドジャース・ファンにとっては歴史的に長い年月だった。なにしろドジャースは前年まで7年連続でポストシーズンに進出しながらも、「ある金属のかけら」(訳者注:かつてロブ・マンフレッドMLBコミッショナーがワールドシリーズ優勝トロフィーをそう呼んで物議を醸した)を持ち帰ることができなかったからだ。

私たちはこの2020年シーズンが平穏に終了することはないだろうと知っていた。このシーズン最終日に起きた4つのもっとも奇妙な出来事は以下の通りだ。その奇妙さの度合いによってランク付けしてある。

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2020シーズン最終日に起こった奇妙な出来事第4位:ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーがブーイングを浴びた 

コミッショナーがブーイングを浴びることはある。NHLコミッショナーのギャリー・ベットマン氏は長年に渡りアイスホッケーのファンからブーイングの標的になってきた。だが、この日MLBコミッショナーが優勝トロフィー贈呈式に現れたときにスタジアムのファンから放たれたブーイングはある特別な怒りを感じさせるものだった。

この日スタジアムの大部分を占めていたのはドジャースのファンだったことは長く記憶に残るだろう。ドジャースはサイン盗みスキャンダルでもっとも大きな被害を受けたチームだ。2017年はヒューストン・アストロズに、そして2018年にはボストン・レッドソックスに、ドジャースは2年連続でワールドシリーズで敗れている。ファンにとってはコミッショナーがこのスキャンダルにどう対処するべきだったかを直接伝える最初の機会だったのだ。マンフレッド氏はこの反応に対して明らかに動揺していた。

それ以外にも、マイクを通したマンフレッド氏の声がおかしく聞こえたことが2回あった。ワールドシリーズ最優秀選手賞(MVP)トロフィーをコーリー・シーガーに授与する際とFoxのトム・バードゥッチ氏からインタビューを受けた際、マンフレッド氏は言葉をつまらせた。なぜだろうと想像せざるを得なかった。さまざまな可能性があるだろうが、マンフレッド氏が心から動揺していたからだと考えたい。

 

2020シーズン最終日に起こった奇妙な出来事第3位:ジャスティン・ターナー事件の余波

後に続く1位の事件のネタばらしになってしまうが、こればかりは仕方がない。試合中にジャスティン・ターナー選手が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したことが発覚し、7回途中で急遽退場した。そして以下のツイートを投稿した。このこと自体が衝撃度において1番目だったわけではない。

ターナーのツイート:

心配してくれた皆、どうもありがとう! ぼくは大丈夫。何の症状もないよ。今どんな気持ちでいるかは想像できると思う。フィールドに出てチームの皆と一緒に喜ぶことができないのは信じられないよ。このチームのことを誇りに思う。そしてロサンゼルスのために信じられないほど嬉しく思うよ。
#WorldSeriesChamps

そしてそのわずか数分後には、ターナーはフィールドに現れ、ワールドシリーズ優勝トロフィーを抱えていたのだ。

そしてさらにその後で、ターナーはチーム撮影でデーブ・ロバーツ監督の隣に座り、マスクを顎髭の下にまで引き下ろしていたのだ!

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2020シーズン最終日に起こった奇妙な出来事第2位:ブレイク・スネルの早過ぎた交代

レイズの左腕ブレイク・スネルはワールドシリーズの歴史の中でも特筆されるべき素晴らしいパフォーマンスを見せていた。6回1死でオースティン・バーンズにシングルヒットを浴びるまで、9個の三振を奪い、たった1人のランナーしか許していなかったのだ。これだけの数の三振を奪い、さらに投手に多くの球数を投げさせることで知られている打線を相手にしながら、スネルは非常に効率的な投球を続けていた。バーンズにシングルを打たれたときのスネルの投球数は73球だったのだ。

だが、レイズが1-0で試合をリードしていたこの場面で、ケビン・キャッシュ監督はダグアウトから出てきて、ニック・アンダーソンをマウンドに送った。アンダーソンはこのプレーオフでそれまでに出場した9試合の防御率は5.02であり、直近の6回では連続して失点していた。キャッシュ監督はこのアンダーソンをムーキー・ベッツと相対させた。スネルがベッツの3打席目を迎えることを回避したのだ。ベッツはそれまでの2打席でどちらも三振していた。非常に驚くべき交代であったと言えよう。

そして予想された通り、この交代は即座に失敗を招いた。ベッツは0ストライク2ボールのカウントから2塁打を放ち、バーンズを3塁に送った。バーンズはアンダーソンの暴投で得点し、ベッツは3塁へ進んだ。そしてベッツはシーガーが内野ゴロを打つとフィルダーチョイスで得点した。スネルが降板してわずか2打者で、ドジャースは2-1と逆転に成功したのだ。これがドジャースに勝利を大きく近寄せる結果となった。

 

2020シーズン最終日に起こった奇妙な出来事第1位:ジャスティン・ターナーについては?

試合が終了してすぐに、7回途中で不可解な退場をしていたターナーが新型コロナウイルス検査で陽性と診断されていたことが報じられた。「ターナーに何があった?」の疑問はこれで解決したが、他のたくさんの疑問を生むことにもなった。例えば、MLBはいつそれを知ったのか? MLBは試合を中止するべきではなかったのか? もしレイズが勝って、シリーズが第7戦にもつれこんでいたら、どうなっていたのか? 選手全員が検疫を受けるべきではないのか?

ニューヨーク・ポスト紙のジョエル・シャーマン記者のツイートによると、このような経緯だったようだ。

  1. MLBは2イニング目にジャスティン・ターナーが月曜(26日)に受けた新型コロナウイルスの検査結果が明確にならなかったと検査所から警告を受けた。そこでMLBはユタ州にある検査所にその日に採取されたサンプルとともに、再検査を依頼した。その日のサンプルは陽性だった。MLBはドジャース経営陣に連絡した。
  2. ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成部門取締役はターナーを試合途中で退場させた。この時点で試合を中止することは考慮されなかった。シーズン前半にシンシナティ・レッズのニック・センゼル選手が同様の理由で途中退場し、試合が続けられた前例があったためだ。ドジャースの選手たちはマスクを着用するよう求められた。

MLBで新型コロナウイルス検査の陽性結果が出たのは6週間ぶりのことだったことを考えると、それがワールドシリーズ6戦目の途中に起きたことは非常に衝撃的だった。

(翻訳:角谷剛)

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.