2020年米国野球殿堂入り投票 選出者なしはありえるか?

Ryan Fagan

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米国野球殿堂協会は11月16日の朝(日本時間11月17日)に2021年度の野球殿堂入り投票対象者となる25人の選手の名前を発表した。

同投票は毎年繰り返されるエキサイティングな伝統行事であるが、開票後の(誰に票が集まったかなど)実際的なサプライズより、むしろそれによって巻き起こされる議論の方に焦点が向けられる。誰が殿堂入りをするかを予想することは難しくはない。

候補者たち、投票の仕組み、発表の時期など、野球殿堂入りに関して知っておくべき事実を下にまとめてみた。

 

2021年度投票候補者は誰か?

初めて候補対象になった選手:バリー・ジート、ティム・ハドソン、マーク・バーリー、A・J・バーネット、アラミス・ラミレス、トリー・ハンター、マイケル・カダイアー、ダン・ヘイレン、ラトロイ・ホーキンス、ニック・スウィッシャー、シェーン・ビクトリーノ

前年度から引き続き候補対象になった選手:カート・シリング、ロジャー・クレメンス、バリー・ボンズ、オマー・ビスケル、アンディ・ペティット、ビリー・ワグナー、トッド・ヘルトン、ジェフ・ケント、スコット・ローレン、ボビー・アブレイユ、アンドリュー・ジョーンズ、マニー・ラミレス、ゲーリー・シェフィールド、サミー・ソーサ

 

今年殿堂入りのチャンスがあるのは誰か?

今年は殿堂入りを果たす選手が1人も選出されないという可能性は非常に大きい。もしそうなれば、2013年に候補対象者が決まって以来の出来事になる。

3人の選手が昨年度の投票で60%以上の得票率を獲得した。これは通常であれば翌年度に選出される可能性が大きいことを意味する。だが、その3人とはカート・シリング(70%)、ロジャー・クレメンス(61.0%)、そしてバリー・ボンズ(60.7%)のことなのだ。彼らは投票において”大きな物議を醸しだすであろう存在”だ。今年になって考えを変えて彼らに票を投じる人の数が75%に到達することは予想しにくい。シリングだけは可能性があるかもしれない。もっとも、彼ら3人が候補者になってからすでに9年目だ。投票者が彼らなりのやり方で「罰」を与える目的で今まで投票を控えていたとして、そろそろ今年はこの3人への投票を決断する可能性もある。

他の選手たちに目を移すと、オマー・ビスケルの昨年度の得票率は52.6%だ。これが75%まで急増することは考えにくい。昨年25%以上の得票を得た他の6人の選手についても同じことが言える。スコット・ローレン(35.3%)、ビリー・ワグナー(31.7%)、ゲーリー・シェフィールド(30.5%)、トッド・ヘルトン(29.2%)、マニー・ラミレス(28.2%)、ジェフ・ケント(27.5%)らのことだ。

今年度の新候補者たちの層は薄い。谷間のような年であるともいえる。彼らのなかで初年度に殿堂入りを果たすものがいるかと問われるならば、それはないだろうと答える。だが、彼らは今年に5%以上の票を獲得しなければ、来年度以降の投票候補者に留まることはできないのだ。

初回で殿堂入りした選手が1人もいなかった2013年でさえ、その年の最高得票者のクレイグ・ビジオ(68.2%)とマイク・ピアッツァ(57.8%)は翌年以降に殿堂入りしている。近年の投票において初回で殿堂入りした選手たちは以下の通りだ。
デレック・ジーター(2020年)、マリアーノ・リベラとロイ・ハラデー(2019)、チッパー・ジョーンズとジム・トーミ(2018年)、イバン・ロドリゲス(2017年)、ケン・グリフィー・ジュニア(2016年)、ランディ・ジョンソン、ペドロ・マルチネス、とジョン・スモルツ(2015年)、グレッグ・マダックス、トム・グラビン、そしてフランク・トーマス(2014年)

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殿堂入り投票が行われるのはいつか?

すべての投票は郵送で行われ、2020年12月31日までの消印が有効でなければいけない。投票用紙は11月下旬の段階で投票資格のある選挙人に郵送されている。

野球殿堂協会の公式発表:「投票は全米野球記者協会(BBWAA) 会計担当役員のジャック・オコンネル氏とアーンスト・アンド・ヤング(会計事務所)の役員であるマイケル・ディレッチェ氏によって集票される」

 

2020年野球殿堂入り投票結果が発表されるのはいつか?

野球殿堂協会の公式発表:「投票結果は野球殿堂協会会長のティム・ミード氏が2021年1月26日の米国東海岸時刻午後6時(日本時間27日午前8時)に発表し、その模様は『MLB Network』で生中継される」

 

得票途中経過を知ることはできるか?

投票結果は公式には2021年1月26日まで発表されない。だが、多くの投票者は(筆者も含めて)公式発表前のある段階で自分の投票内容を明らかにする。

そうした事前発表はここで見ることができる。興味のない人には無価値なサイトではあるが、昨年は全398票のうち284票がこのサイトに公式発表の前に集計された。

 

殿堂入り式典はいつか?

2021年の野球殿堂入り記念行事は7月23-26日の週末にニューヨーク州クーパーズタウンで予定されている。2021年度殿堂入り式典は日曜日の7月25日に予定されている。

今年の選出者は2020年度選出者と一緒に表彰される。全米野球記者協会(BBWAA)から選出されたデレク・ジーター氏とラリー・ウォーカー氏、そして近代野球委員会から選出されたテッド・シモンズ氏とマービン・ミラー氏だ。2021年はベテランズ委員会などの投票は行われない。

2020年の式典は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期された。

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次のベテランズ委員会の投票はいつか?

2021年度はベテランズ委員会などの投票はない。本来であれば、今年の冬に「ゴールデン・デイズ委員会」(主に1950~1969年に活躍した選手が対象)と「アーリー・デイズ委員会」(1950年より前)の投票が行われるはずであったが、これも新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となった。各委員会は16人で構成され、室内での協議が行われるため、野球殿堂協会は今年それを行うのは安全ではないという賢明な判断を下した。

すべての予定は1年延期となっている。

 

野球殿堂に投票権を持つものは誰か?

全米野球記者協会(BBWAA)の会員で、最低でも10年以上の野球報道の経験者が野球殿堂の投票資格を持つ。2020年度は397票が投票された。2021年度の投票資格者数はまだ発表されていない。

各投票者は0人から10人まで票を投じる選手を選ぶことができる。

 

選手が選出される条件は?

選手たちは現役最後の試合から5年が経過すると殿堂入り投票の候補者になる資格が得られる。BBWAAのスクリーニング委員会(6人で構成)がその中から投票対象に相応しいとする選手たちを選ぶ。今年の対象者は25人で、この数字は2020年の32人、2019年の35人、2018年の33人、そして2017年の34人と比べると、大幅に減っている。

75%以上(昨年の例で言えば、397票中298票)の得票があった選手が殿堂入りとなる。最低でも5%以上の得票があった選手は翌年以降の候補者に留まる。昨年のマジックナンバーは19票で、ボビー・アブレイユはそれを僅かに上回る22票で候補者に踏みとどまった。

選出された選手たちは10年間候補者として残ることができる。バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、カート・シリング、そしてサミー・ソーサは今年で9年目だ。

(翻訳:角谷剛)

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.