マニー・マチャド
2017年シーズン、ア・リーグ東地区のライバルチームと比較して、守備力に欠けるボルチモア・オリオールズにおいて、最も頼りになる選手の1人であったが、かなりの成績が落ちた。昨シーズン、マニー・マチャドは守備防御点でリーグ3位につけるなど、その優れた守備力は健在ではあるが、2016年と比べると打撃力が著しく落ちている。2015年から2016年にかけて、平均wOBA.368をマークしたマチャドであるが、2017年のwOBAは.328で、その減退ぶりは無視できない。
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興味深い点は、マチャドのパワーが消え去ったわけではないということだ。2017年の本塁打数は33本で、ISOは2015年とほぼ変わらない。2016年に比べて、マチャドの選球眼は向上しており、四球が増えて三振が少なくなった。その代わり、本塁打や三振ではなく、シングルヒットや二塁打に関しては、非常に苦しんだのだ。
我々は、打球を3つのカテゴリーに分類することができる。ゴロ、ライナー、フライだ。2015年以来マチャドは、ゴロのwOBAを.259(ゴロの中でヒットや二塁打になるものもあるが、大体はアウトになる)、ライナーのwOBAを.650(彼のライナーの多くは、ヒットや長打になる)、フライのwOBAを.435(ほとんどがポップアウトだが、マチャドのフライの多くはヒットになる)としている。
2017年前半、マチャドのゴロによるヒット数は大幅に減少したが、一方、フライによるヒットはほぼ一定のままだった。その結果、マチャドの本塁打数は変わらなかったが、シングルヒットや二塁打は2016年シーズンほど多くなかった。その理由は、下記グラフの通り、そのようなヒットのBABIPが低かったからである。下記グラフは、マチャドの各打球タイプに対する30球以上打った試合のwOBAを表したものである。このグラフから、シーズン前半、マチャドのゴロによるヒット数がひどく少なかったことが見て取れる。一般的に、ゴロは最もヒットにつながる打球ではないが、多くのヒットが生まれる打球でもあるのだ。マチャドは、過去にヒットにできたゴロの打球をヒットにつなげることができなかったのだ。
マチャドは2016年シーズンに比べて、ゴロの割合が急激に増えたことで痛手を受けたが、一方でライナーの割合は減少した。2017年前半、マチャドは2016年よりも多くのゴロを打ったが、通常よりもヒットになる確率は低かった。
しかし、シーズン後半はゴロの割合が減り、ライナーの割合が増えた。図で示したように、ゴロをヒットにする確率が高くなっていった。マチャドのwRC+は2017年前半が92だったのに対し、後半は114と向上している。
マチャドはまだ若く、一流レベルの才能の持ち主だ。彼が時々苦しんでいるのは若いからなのだ。しかし、2017年前半に彼を悩ませた問題を既に解決しているため、2018年には調子を取り戻すはずだ。
((3)につづく)