2010年4月5日:過小評価される大投手マーク・バーリーが開幕戦で見せたシーズン最高のファインプレー【MLBの歴史シリーズ】

Joe Rivera

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開幕戦では何が起こるかわからない。

それが野球の面白いところだ。第1試合は第162試合と同じ重みをもつかもしれない。4月の第1週のシリーズで対戦した相手が、シーズン終盤では地区優勝を争う相手になるかもしれない。3月26日は9月27日と同じ意味を持つかもしれないのだ。

告白すれば、私はスポーティング・ニュースに寄稿を開始する前の2019年まで、MLB開幕戦をスタンドで観戦したことはなかった。それでも、MLBの開幕戦には他のスポーツでは見られないオーラと謎があることはわかる。例えシーズン全体の見通しが暗くても、開幕戦にはすべてのファンが楽観論と希望をもって集まるのだ。

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詩的になるのはよそう。その場にいなくても、テレビで名場面を見る機会はいくらでもあるのだから。例えばそう、2010年4月5日、シカゴ・ホワイトソックスのマーク・バーリー投手だ。

バーリーがこのプレーを見せてからもう10年になることを信じるのは難しい(彼のラストネーム、’ Buehrle’ の綴りを忘れないようにするのと同じぐらい難しい)。だが、この瞬間が私の脳裏から離れることはない。多くの人にとっても、その後の2010年シーズン全体を通して、シーズン最高のファインプレーだった。

野球とは運に左右されるスポーツだ。どれだけ素晴らしいスイングをしても、打者はボールの行き先を完全にはコントロールすることはできない。どれだけ素晴らしいコントロールの持ち主でも、投手は常に完璧な投球ができるわけではない。

だからこそ、このプレーが伝説となるのだろう。ほとんどすべての動きが奇跡のようだからだ。バーリーが後ろ向きに両足の間を通して投げたグローブパスを、一塁手のポール・コネルコが素手でキャッチした。素晴らしい守備と信じられないような運が同時に生まれたのだ。

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忘れてはいけないことだが、バーリーの投手としての守備能力には定評があった。この日を迎える前年、バーリーは1度目のゴールド・グラブ賞を受賞しているし、その後3年連続で同賞に輝くことになるのだ。

そして守備の名手であったと言うだけではなく、バーリーは多くの人が記憶している以上に良い投手だった。故障が少なく、好不調の波も小さく、首脳陣からの信頼が高い投手だった。特にアメリカン・リーグ中地区がホワイトソックス、デトロイト・タイガース、ミネソタ・ツインズの3強で争われ、またインディアンズも強かった時期がそうだった。バーリーはまた2005年にホワイトソックスがワールドシリーズを制した時の優勝メンバーの1人だった。これも忘れられがちではあるが、この年のホワイトソックスは過去20年で最高のチームの1つに数えられる。バーリーが積み上げた生涯成績は52.3 fWAR / 60 bWARであり、それを見てもかなり生産性の高い投手であることがわかるし、おそらくは多くの人が考える以上に良い投手であっただろう。

バーリーはまた極めて頑丈な選手だった。何しろ、ルーキー(51回1/3)とキャリア最終年(198回2/3)を除く全シーズンで200イニング以上を投げているのだ。キャリア通算成績はかなりのもの(4.11 FIP と 117 ERA+)ではあるが、サイヤング賞の候補になるようなタイプではなかった。常にチームの2番手ぐらいに信頼される投手だった。バーリーがサイヤング賞最終候補5人の中に残ったことは1回しかない。

バーリーがキャリア晩年をマイアミ・マーリンズで1年、トロント・ブルージェイズで3年を過ごした後、2015年に現役を引退した。だがホワイトソックスはこのチーム史上屈指の投手に敬意を表し、2017年にバーリーの背番号56を永久欠番とした。

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バーリーは2007年にはノーヒット・ノーラン、2009年には完全試合も達成している。

記憶しておくだけの価値がある偉業だとは思わないか?

(翻訳:角谷剛)

Joe Rivera