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ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は、およそ3カ月ぶりに投手として復帰した直後、右ヒジの靱帯に新たな損傷が見つかったため、医師からトミー・ジョン手術(靱帯再建手術)を勧められる事態に陥ってしまいました。
9月2日、大谷はミニッツメイド・パークで行われたヒューストン・アストロズ戦で、6月6日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦以来のマウンドに立ちました。スタンドは4万1506人の観客で満員。日本人のファンも多く見られました。試合の模様はESPNで全米中継され、まさに復帰戦に相応しい華やかな舞台でした。
そんな注目の試合で大谷は、150キロ台後半の速球を投げ込み1回、2回を無失点。ところが3回に入ると突如球速が140キロ台に落ち、ジョージ・スプリンガーに左越え2点本塁打を喫し、この回で降板してしまいました。3日後の5日。右ヒジの張りが消えないためMRI検査を受けたところ、靱帯に損傷が見つかりました。6月には手術の必要なしとの診断でしたが、一転して手術をするべき状況になってしまいした。
こうなると、2日の復帰の是非が問われることになります。
米メディアの反応は、ふたつに分かれました。まず、以前から今季中の投手としての復帰に疑問を呈してきたヤフースポーツは、投手復帰は「やはりリスキーだった」としていました。プレーオフ進出がほぼ絶望のエンゼルスにあって、無理をしてマウンドに戻す必要があったのか。今季は打者に専念して、ヒジをじっくり休ませるのが得策だったのではないかという論調です。
一方、復帰してよかったとする意見もあります。地元テレビ局「FOXスポーツ・ウエスト」の解説者、マーク・グビザ氏は「いずれ手術が必要になるのであれば、今季気付かず来年のスプリングトレーニングで不具合が出るよりも、いま分かってオフに対処できれば復帰時期も早くなる」と話していました。
米紙『USAトゥデイ』のボブ・ナイチンゲール記者もグビザ氏と同じ意見で「もし手術が来春になったら、投手として戻って来られるのは再来季の終盤になってしまう。その点、このオフに手術を受ければ来季の終わりにも復帰できる」と語っています。
以上の反応から分かるように、米メディアは今後も大谷の二刀流継続に期待しています。『USAトゥデイ紙』のナイチンゲール記者は「大谷は投打ともに優れているが、彼の最も偉大な才能はマウンドにある。次に彼が投げるのを見られるのは2020年のスプリングトレーニングだろうか。それまで我慢することにしよう」と述べています。
そして、米紙『ニューヨーク・ポスト』のジョエル・シャーマン記者も、「彼はまだ24歳と若い。二刀流を続けることはできるだろう。ヒジの故障の原因が二刀流だという証拠はない。二刀流をしていない他の投手でも、彼と同年代でヒジの手術を受けたものはいくらでもいるのだから。来季はチームに同行して打者として出場しながら投手としてのリハビリを行い、また投打で活躍してほしい」と書いていました。今オフに手術を受けると、打者としては来季中に戦列に復帰できるだろうと言われています。
大谷自身は二刀流についてどう考えているかというと、もちろん前向きです。
9月7日、ホワイトソックス戦の前に、新たな損傷発覚後大谷は初めて報道陣の取材に応じ、「いくつかある選択肢の中で、今すぐに(手術)ということはないので、このままシーズンをしっかり最後まで自分らしくしたい。(二刀流は)今のところその方向で進むつもり」と口にしていました。直後の試合では、左腕のカルロス・ロドンから中越え本塁打を放ち、今季19号。2006年にマリナーズの城島健司がマークした日本人選手によるメジャー1年目の最多本塁打18本を更新しました。
ヒジの故障で二刀流のうちひとつの刃を失いながら、めげることなく打席で大活躍。素晴らしいプロ根性を見せています。
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