1年の内でもこの時期の野球談議は最高の選手たちの話題が中心になる。
私たちはオールスターゲームに選ばれた選手や、真夏の祭典には招かれなかったもののそれに値する選手について話す。また、プレーオフのために最高のチームを築き上げようとしている球団が獲得を望む、トレード可能な最高の選手についても話をする。
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そして、最高の選手について思いを巡らす時、その正反対に分布される選手たちを考えないようにするのは難しい。低迷中の選手たちはどうなっているのだろうか? そう考えるのは自然なことだ。なので、今回はその考えに従った。
以下が、ポジションごとの2018年低迷中の大物選手たちだ。WARのランキングを基準にして選んだわけではないが、彼らのほとんどは最下層に位置していた。選考基準は、「与えられているもの(才能やお金)が多く、さらに期待値も高い選手」。つまり、今回ピックアップした選手たちは、期待に応えられていないのだ。
一塁手:クリス・デービス(ボルチモア・オリオールズ)
不調を表す数字:打率.159/出塁率.223/長打率.284、44OPS+、-2.1bWAR
MLBの歴史上(1900年以降のシーズン300打席に到達した選手の中で)最悪のWARは、-4.0という、打ち破り難いものだ。FanGraphsの統計データでは、ジム・レベイが1933年に-4.0を、Baseball-Referenceでは、ジェリー・ロイスターが1977年に-4.0を記録している。クリス・デービスは今年、もしかしたらその記録に届く可能性があるが、このまま苦戦を強いられ続けるようであれば十分な出場機会を得ることを想像するのも難しい。デービスは296打席に立ち、-2.1bWAR(Baseball-ReferenceによるWAR)と-2.0fWAR(FanGraphsによるWAR)となっている。また、1900年以降でシーズン400打席に到達した選手の最低打率は、アダム・ダンが2011年に記録した.159だ。デービスの打率は見ての通り.159。驚きだ。
(逆)特別賞:ローガン・モリソン(ミネソタ・ツインズ)
二塁手:ジョナサン・スコープ(ボルチモア・オリオールズ)
不調を表す数字:打率.224/出塁率.263/長打率.391、80OPS+、-0.1bWAR
オリオールズのあら探しをしているわけではない。それは誓おう。だが、信じられないほどお粗末なシーズンとなっている。シーズン2300万ドルで長期の契約を結んでいるデービスとは異なり、スコープは2019シーズンの後にフリーエージェントになる予定で、その契約は理にかなっていた。フリーエージェントになるマニー・マチャド、ザック・ブリットン、アダム・ジョーンズ、ブラッド・ブラックの全員が来年にチームを去ることと、このチームがタレント選手の投入が可能なことを考慮すると、おそらくオリオールズは、スコープの価値が最も高いうちに彼を放出しなかった過去のためらいから多くのことを学ぶだろう。2017年の彼は正真正銘のスターであり、打率.293、123OPS+、32本塁打、5.2bWARを記録していた。当時の市場価値は、今シーズンの悲惨な前半戦の結果を受けて瞬く間にほとんど消えてしまった。もちろん、スコープはこれからの厳しい数カ月間を終えた後に無価値だと見なされているようであってはいけない(彼はまだ26歳で、9日の試合では4打数3安打を放った。これは良い兆候だ)。しかし、オリオールズにとっての最高のシナリオは、彼が後半戦で勢いを取り戻し、オフシーズン中にトレードに出すことだ。
(逆)特別賞:エドゥアルド・ヌニェス(ボストン・レッドソックス)
遊撃手:アルシデス・エスコバー(カンザスシティ・ロイヤルズ)
不調を表す数字:打率.195/出塁率.243/長打率.275、43OPS+、-1.8bWAR
エスコバーは、2014年のワールドシリーズで第7戦まで粘り、2015年には優勝を果たしたロイヤルズにおいて大きな役割を果たしていた。カンザスシティのファンにとっては永遠に偉大な存在だ。しかし、終着点はすぐそこに迫っている。エスコバーは今年のオフシーズン中にフリーエージェントとなっていたが、1年250万ドルの契約でチームに戻って来た。打率は.200を下回り、出塁率も.250未満だ。彼がカンザスシティで2018年を終えるのは非常に難しいかもしれない。
(逆)特別賞:アメッド・ロサリオ(ニューヨーク・メッツ)
三塁手:エバン・ロンゴリア(サンフランシスコ・ジャイアンツ)
不調を表す数字:打率.246/出塁率.278/長打率.434、91OPS+、0.2bWAR
まずはこれを言っておかねばならない。今シーズンは多くの三塁手が良いシーズンを送っている。250打席に到達して、出場試合の75パーセント以上を三塁手として出場している選手が21名いるが、その中でbWARがマイナスになっている選手は一人もいない。なので、ロンゴリアが極めてひどいわけではない。しかし、出塁率は.341で、これは彼のキャリアの中ではとても低い数字だ。そして、彼のシーズンを通して記録した“最低の”bWARは、3.3という悪くはない数字で、現状の0.2からは程遠い。
(逆)特別賞:ルイス・バルブエナ(ロサンゼルス・エンゼルス )
外野手:デクスター・ファウラー(セントルイス・カージナルス)
不調を表す数字:打率.167/出塁率.270/長打率.271、49OPS+、-1.4bWAR
ここ数週間でファウラーに関する会話の大部分は、チームのフロントの権力者ジョン・モゼリアックが発したファウラーの努力レベルに関するコメントを中心に回っている。彼の努力レベルは……どうだっていい。今シーズン最大の問題はファウラーの生産レベルだ。もしもチームがまだプレーオフ進出を狙える質を望むのであれば、打率.200を下回る選手を定期的に打順に組み込み続けるのは難しい。
(逆)特別賞:クリス・オーウィングス(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
外野手:コール・カルフーン(ロサンゼルス・エンゼルス)
不調を表す数字:打率.170/出塁率.220/長打率.260、34OPS+、-1.2bWAR
カルフーンは、過去4シーズンをマイク・トラウトの隣でプレーし、エンゼルスにとって信頼できる外野手だった。しかし、今シーズンは大惨事だ。上記の打率と出塁率を見ればそれが分かるだろう。また、以下のことも考慮してほしい。カルフーンは過去4シーズンで平均51本の長打を放っているが、今シーズンは254打席に立ち、たった10本のみだ(本塁打5、二塁打4、三塁打1)。
(逆)特別賞:ルイス・ブリンソン(マイアミ・マーリンズ)
外野手:ジェイ・ブルース(ニューヨーク・メッツ)
不調を表す数字:打率.212/出塁率.292/長打率.321、72OPS+、-1.0bWAR
昨年、ブルースはインディアンスとメッツの2チームで合計36本塁打を放った。メッツは今オフに彼と3年契約を結び、彼はシティ・フィールドへの復帰を果たした。しかし、左翼を守る31歳の強打者に全盛期のパワーは存在しなかった。彼は臀部の問題で故障者リスト入りしており、しばらくの間は復帰しない見通しだ。今年、彼は62試合で3本塁打17打点を記録しているが、昨年の彼は62試合で18本塁打47打点を記録していた。
(逆)特別賞:トレイ・マンシーニ(ボルチモア・オリオールズ)
捕手:クリスチャン・バスケス(ボストン・レッドソックス)
不調を表す数字:打率.213/出塁率.249/長打率.300、47OPS+、-0.8bWAR
レッドソックスの先発捕手として最初の年になった2017年、バスケスは99試合で打率.290、出塁率.330、1.1bWARを記録した。今シーズンは、指のケガで2カ月以上故障者リスト入りする以前でもそのような生産性は見られなかった。
(逆)特別賞:サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)
指名打者:ビクトル・マルティネス(デトロイト・タイガース)
不調を表す数字:打率.243/出塁率.296/長打率.320、OPS+68、-1.2 bWAR
ひと昔前、マルティネスは泣く子も黙る打者で、当たり所のよい二塁打を球場の反対側まで打ち流し、圧巻のホームランを打つスイッチヒッターだった。魅了されていた人々の時代は過ぎ去ってしまった。彼は今でも311打席で32回と三振に打ち取られはしないが、打棒が振るわない。その311の打席数での長打はたった14本(10本の二塁打と4本の本塁打)。指名打者としては芳しくない。
(逆)特別賞:ケンドリズ・モラレス(トロント・ブルージェイズ)
先発投手:マット・ムーア(テキサス・レンジャーズ)
不調を表す数字:防御率7.08/4.87FIP/1.879WHIP、-1.3 bWAR
ムーアにとっては厳しいシーズンが続いている。この29歳の左腕は54奪三振と同数の54得点を許し、68と2/3イニングの登板で97被安打を記録している。最近ブルペンに下げられて以来、(5回登板で3.55ERAと)復調してきてはいるものの、防御率7.08はメジャーリーグで60回以上登板したどの投手よりも低い。
(逆)特別賞:ジェイソン・ハメル(カンザスシティ・ロイヤルズ)
先発投手:ルーカス・ジオリト(シカゴ・ホワイトソックス)
不調を表す数字:防御率6.59/6.33FIP/1.557WHIP、-1.0 bWAR
ムーアは60イニング以上を投げて最低の防御率を記録しているが、ジオリトはFIP(守備から独立した防御率)が誰よりも低い。まだ若く技術を習得中の右腕の大きな課題は制球である。この23歳の投手はア・リーグ最多の57四球を記録し、メジャーリーグ最多の11死球を与えている。一方、直近の敵地ヒューストンでの対戦で先発した7と1/3イニングの登板(3安打2失点を許した)を含むこれまで8回の先発で、6イニング以上を5回投げている。そのようなことがホワイトソックスにとっては彼の2018年のFIPよりも重要なのだ。
(逆)特別賞:ホーマー・ベイリー(シンシナティ・レッズ)
リリーフ投手:ブライアン・ショウ(コロラド・ロッキーズ)
不調を表す数字:防御率7.57/5.81FIP/1.963WHIP、-1.7 bWAR
ショウは7年間のキャリアを通して、球界で最も信頼の置ける一貫したリリーフ投手としての評価を高めた。過去4シーズン中3シーズンでア・リーグ最多の登板数を記録している。これは左バッター専門のリリーフピッチャーでない割に素晴らしい。そのためコロラドのブルペンに卓越したFA選手が補強されたと見られていた。ところが彼はいままでにないような苦戦を強いられている。ERAをご覧いただいただろう。彼はすでに自身のキャリアで最悪に匹敵する自責点(30)と被本塁打(8本、本拠地コロラドで5本、敵地で3本)を記録しているのだ。現在はふくらはぎを痛め、精神的に追い込まれたことも重なり、キャリア初の故障者リスト入りをしている。
(逆)特別賞:グレッグ・ホランド(セントルイス・カージナルス)
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原文:MLB Anti-All Star Team: Position-by-position look at baseball's struggling players
翻訳:日本映像翻訳アカデミー