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ケイトー・ケリンほど激しい浮き沈みを経験した人はいないだろう。90年代のメディア批判者の彼は、2017年のシーズン後半戦にブルワーズが失速した後にチームを酷評したことで、ファンからの猛烈な攻撃を受けた。
生涯ミルウォーキーに暮らすブルワーズファンで、今ではチームのソーシャルメディアを担当するカイトリン・モイヤー(本記事のトップ画像で写真を撮っている女性)は、ケリンの例はチームのツイッターアカウントを運用する誰もが遭遇しうる現実だと言う。できるだけファンと関わりを持とうとするのは良いが、時には「無視をする」ことが最善な時もあるのだ。
「必ずしも全ての意見が反応するに値するわけではありません」とモイヤーは言う。
モイヤーは、感情的で敵対心をむき出しにしているファンへの最善の対処は難しいと認めている。極論を言えば、関わりを持つことからは何も良いことは起きないとも言えるという。
「最初の頃は、ファンとの交流が一番楽しかった」とスラビアンは言う。「でも、今や反応を得ることが目的のような人もいます。チームからブロックされることに誇りを感じている人もいます。そういうものに反応しても良い結果をもたらさないと思うのです」。
ほとんど全てのチームがこの方針を採っていることは驚くことではない。シアトルではネイサン・ラウシェンベルグが、マリナーズはかなり明確な方針を持っていると言う。すなわち、「“荒らし”に餌を与えるな」ということだ。
「人の怒りに触れたり、文句を言わせることだけが目的のアカウントが存在します。なので、額面どおりに受け取ってはいけないのです」とラウシェンベルグは言う。
しかし一方で、彼らはファンとはできる限り関わりを持ちたいと願っている。彼らソーシャルメディアの担当者はいかにして積極的にチームと関わり、いかにして機械的な文字情報に人間味を持たせる努力をしているのだろうか。
バレンティンは3人の子どもを寝かせてから作業を始め、深夜までロッキーズのファンへ返事を送っている。モイヤーの場合、ブルワーズに関連したニュースが公表される度、真夜中に携帯電話の音で起こされるのが習慣になった。そして、MLBで最も熱狂的なファンが集まっているシカゴでは、トラビス・ミラーとニコール・ベルサーニはいつでもお互いに連絡が取れるように務めている。2人は1日に11〜12時間もメールや電話でやりとりをしている。
ミラーとベルサーニはカブスが2016年ワードルシリーズ優勝を果たす前から、カブスのアカウントを運営している。長年の経験により、彼らはカブスのことを嫌う者に対して謙虚な対応で接することができる技術を身につけた。
「自虐的になると、他人は自分に対して優しく接してくれる」とミラーは語る。
チームが勝ち続けることも重要だと話す。モイヤーは文章のトーンをブルワーズの成績によって工夫していると打ち明けた。ベルサーニは、カブスが不調だった時期には、ファンが「荒らし」の対応をしてくれたと話した。
(後編へ続く)