ロサンゼルス・エンゼルスの元投手タイラー・スキャッグスさんの死因究明捜査が球団やMLB全体を揺るがすスキャンダルに発展しつつある。球団幹部による隠ぺいはあったのか、球団内に複数の薬物供給源ルートがあるのか、他にも薬物を乱用している選手はいるのか、疑惑は広がるばかりだ。
薬物関与の関係者の証言から複数選手が事情聴取
ロサンゼルス・タイムス紙が報じたところによると、少なくとも6人のロサンゼルス・エンゼルスの現役選手、あるいはかつて同チームに在籍した選手が連邦捜査官から事情徴収を受けた。これはこの夏にテキサスでタイラー・スキャッグス投手が麻薬を原因に死亡した事件についての米国連邦麻薬取締局(DEA)による捜査の一環である。ロサンゼルス・タイムス紙は、今回の情報源を「この事情聴取について知識があるが、公的に発言を許されていない匿名の人物」として、その氏名を公表していない。
同紙は4人の選手の名を特定している。9月にテキサスでDEAから尋問を受けたトレバー・ケーヒル投手、現役のアンドルー・ヒーニー投手とノエ・ラミレス投手、そして7月21日、スキャッグスさんの死後3週間以内にエンゼルスから解雇されたマット・ハービー投手だ。スキャッグスさんはテキサス・レンジャーズとのシリーズを前にダラス郊外のホテルにおいて死体で発見された。
同紙の記事によれば、捜査官はこれらの選手たちが「オピオイドの乱用がエンゼルスのクラブハウス内に蔓延していたのか、違法薬物を服用している他の選手を見たことがあるか、そしてスキャッグスさんがどのようにして違法薬品を手に入れたかを知っているか、について何かしらの手がかりとなる情報を与えてくれる」ことを期待していた。
これとは別に、スポーツ専門局『ESPN.com』 は10月15日付の記事で、もしエンゼルスの球団職員がスキャッグスさんのオピオイド乱用について、7月1日の死亡日より前に把握していたにもかかわらずMLBコミッショナー事務局に知らせなかったとMLBが判断した場合、エンゼルスは重大な制裁措置に直面する可能性があると報じている。
エンゼルスが南カリフォルニアから遠征先のテキサスに到着した翌日の7月1日、27歳だったスキャッグスさんは同州サウスレイクのホテルの1室で死亡しているのが発見された。スキャッグスさんの体内からはオピオイド系の薬物であるオキシコドンとフェンタニル、そしてアルコールが検出された。
ESPNは10月12日にエンゼルスの広報部門で24年働いているエリック・ケイ氏(45)が“数年に渡ってスキャッグスさんにオピオイド薬物を提供していたこと”、“スキャッグスさんと一緒にその薬物を乱用していたこと”、そして“スキャッグスさんが前述ホテルの1室内で砕いたオピオイドを3本吸引するところを目撃したこと”を連邦捜査官に供述したと報じている。
証言者自身も中毒治療、球団レジェンドも認識と証言
ロサンゼルス・タイム誌によれば、ケイ氏は現在オピオイド中毒の治療のために有給での休職中であるが、「もし自分が起訴された場合の減刑を求めてDEA捜査官に協力している」と氏の弁護士が10月12日のラジオ・インタビューで認めている。
ケイ氏は捜査官に対して、オピオイドを使用していたと氏が信じている(認識している)選手が5人いることと、2人の幹部職員(元エンゼルス副社長ティム・ミード氏とチーム遠征責任者のトム・テイラー氏)がスキャッグスさんの薬物乱用について死のずっと前から知らされていた、と供述した模様だ。
MLBの共同薬物協定(Joint Drug Agreement, 以下JDA)では、選手以外のいかなる球団職員は、もしある選手が禁止薬物を使用、所有、あるいは配布していると信じるに足るいかなる情報か理由があれば、それをコミッショナー事務局に通報する義務があるとしている。
JDAが定めるところによれば、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーはエンゼルスに対して最大2百万ドル(約2億1755万円)の罰金を科し、また問題の職員をMLBから永久追放する権限を与えられている。コミッショナー事務局はスキャッグスさんの薬物乱用について何も知らされていなかった、と匿名のMLB関係者がESPN.comに語っている。
現在は野球殿堂博物館館長を務めるミード氏とテイラー氏はともにケイ氏の証言を否定しており、またエンゼルスは「我々はいかなる球団職員がいかなる選手に対して違法薬物を提供していた、あるいはいかなる選手が違法薬物を要求していたなどという話を一切聞いたことがない」と声明を発表している。
ESPNの匿名情報提供者は、MLBは現在のところ独自の調査は行っておらず、DEAの捜査終了を待っていると述べている。
(翻訳:角谷剛)
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