MLBのサイン盗みスキャンダルが議会に飛び火する可能性が出てきた。
イリノイ州選出米国下院議員ボビー・ラッシュ氏は1月17日(日本時間18日)、エネルギー及び通商委員会の主だったメンバーに書状を送り、MLBを揺るがしている不正疑惑について監視聴聞会を開くことを提案した。同委員会は米国内のメジャースポーツを管轄下においている。ラッシュ氏の書状には以下のようにある。
「MLBの不正疑惑を徹底的に調査し、この球界のがんがどれだけ広がっているのかを明らかにすることが、我々に課せられた倫理的および道徳的な義務であると私は確信しています。我々の調査はMLBとそれぞれのチームが行った処置が妥当であったかを調べ、不正に関わった個人に懲罰を与えるべきだとも確信しております」
MLBが既にヒューストン・アストロズのAJ ヒンチ監督とジェフ・ルーノウGMなど疑わしい人物に対して処罰を行っているにもかかわらず、この書状はMLB機構が迅速かつ適切な処置を行ったかについて判断するべきだとしている。さらにMLB内部にこのような不正がはびこることを可能にした「組織的な欠陥」が存在するかどうかも判断すべきだとも述べている。
現在のところ、同委員会がラッシュ氏の請願を取りあげるかどうかは不明である。
今月はスキャンダルの激震が続いた。1月13日(日本時間14日)にヒンチとルーノウがアストロズが近年行ったサイン盗みに対する罰として1年間の出場停止処分を受け、その後解任された。疑惑はボストン・レッドソックスにも広がり、アレックス・コーラ監督がアストロズのベンチコーチだった2017年シーズンに不正に関わったという理由で退任することになった。レッドソックスはそれとは別に2018年シーズンに不正を行った疑いを持たれていて、現在MLBが調査中である。
波紋はさらにニューヨークにも及んでいる。ニューヨーク・メッツの新監督であったカルロス・ベルトランは1試合も指揮をとることなく解任されることになった。ベルトランは2017年シーズンにアストロズの選手として不正に関わったとして、MLBの調査に名前が上っていたのだ。
疑惑はさらに過去に遡るかもしれない。1月17日(同18日)、元サイヤング賞投手であるジャック・アームストロング氏がシャーロットのラジオ番組で、1980年代のシカゴ・ホワイトソックスが殿堂入りもはたした名将トニー・ラルーサ監督の指揮の元でカメラを使ったサイン盗みを行っていたと発言したのだ。
米議会がMLBのスキャンダルに関わるのは初めてのことではない。議員が役割を担ったもっとも最近の例はステロイド疑惑で、2005年の聴聞会では禁止薬物の使用疑惑を持たれた、もしくはそれを認めたホセ・カンセコ、マーク・マグワイヤ、サミー・ソーサ、そしてラファエル・パルメイロといった有名選手たちが証人喚問に現れたことは記憶に新しい。証言はテレビで実況され、スキャンダルを広く世間に知らしめた。
この問題はさらに続くだろう。
(翻訳:角谷剛)