【第8話】MLBドキュメンタリー番組『10月までの長い道のり』制作秘話

Jason Foster

【第8話】MLBドキュメンタリー番組『10月までの長い道のり』制作秘話 image

「彼らの友達だった」

 

ドキュメンタリーのクルーが舞台裏を撮影していくにつれ、ブレーブスの目まぐるしいシーズンも続いていった。

チームとクルーとの関係が悪化した時期があったとすれば、それは21戦で19敗を喫し首位から転落した8月だ。

 

MORE: “今なら無料視聴可。ワールドシリーズを見るならDAZN(ダ・ゾーン)に!

 

何もかも、うまくいかなかった。リードを守れず、タイミングの悪いエラーや稚拙なプレーが続いた。延長戦の末、1点差で負けることも多かった。

この時は、11連敗を喫した。

「開幕して2週間は、みんなカメラの前で楽しく話していだけど、8月はそれができなかった。試合に勝てないという事実を誰も話したがらなかった」マーフィーは語った。

「面白くないと思う時も当然あるよ」

常に監視されているカメラに向かって、選手が怒りをぶつける時もあった。

「そいつの電源を切れ!」

「カメラを近づけるな!」

「連敗中は、いつ撮影すべきか、特に気を付けて撮影したよ」ダイヤモンドは述べた。

クルーの存在が邪魔で、チームは悪夢のような8月を迎えてしまったと言われてはならない。

「試合やペナントレースに集中してたから、本当にクルーの存在は気にならなかったんだ。みんなも気にしてなかったはずだ」ニークロは語った。

4月の連勝記録を撮影したカメラが、今度は8月の低迷期を捉えていた。シーズンを通して撮影しているクルーにとって、それは1つのシーンに過ぎなかった。

「我々はずっと撮影を続けていたので、その時は何か特別なことが起きてるとは思わなかった」ガーバーは述べた。

選手たちは、悲惨な状況を記録されることを望んでなかったかもしれないが、最終的に彼らは快く受け入れた。そこには、クルーとの絆があったからだ。

「このプロジェクトの素晴らしい点は、我々が友達になれたことだ。我々はメディアの人間ではなく、彼らの友人だったんだ。そこには何の敵対心もなかったよ」オルティス・グズマンは語った。

事実、地元のメディアはインタビューで横柄な態度を取ることがある。彼らは、オルティス・グズマンに対し選手が心を開くのを見て、驚き羨ましがるだろう。

「我々が誰かにインタビューをする時、人々は何か面白いことを聞き出してほしいと思うだろう。」

ダイヤモンドとクルーは、貧打に苦しんだり、エラーをしたり、セーブできなかったスランプの選手に焦点を当てることをせず、正しい判断力を以て、その苦悩をカメラに収める努力をした。

彼らは、ドキュメンタリーと利己的な搾取との間に明確な境界線を引く努力をした。

「その境界線を越なかったとは言えないけどね」ダイヤモンドは述べた。

第9話へつづく)

Jason Foster

Jason Foster Photo

Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.