【第6話】MLBドキュメンタリー番組『10月までの長い道のり』制作秘話

Jason Foster

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「家族の一員」

 

クルーが常に現場に張り付き、ターナーの特権があり、トーリのプロジェクトに対する情熱も高かったが、ダイヤモンド&Co.がチームに完全に溶け込むまでには時間がかかった。それには、信頼と関係性の構築が必要だったのだ。

「野球の礼儀を学ぶ必要がある。何をすべきか、何をすべきでないか、そしていつそれをやるのか?我々は迅速にそれを学んだんだ」ダイヤモンドは語った。

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野球では、その礼儀が毎日のルーティーンの多くを管理している。球場からホテルに帰るバスはどれか?チームの飛行機にいつ搭乗するのか?どこに座るのか?撮影が許されている場所はどこか?さらに重要なのは、カメラが入ってはいけない場所はどこか?

「野球の礼儀を尊重し、常識を以てしっかり判断すれば、舞台裏により入りやすくなった」ダイヤモンドは語った。

ハンソンは、遠征担当者のビル・アクリーと友人になるよう、ダイヤモンドに助言した。彼はトーリと同じく、クルーの最大の理解者になりうる人物であった。

「彼は身内だ」ハンソンはダイヤモンドに言った。「彼をハッピーにして、彼のルールに従ってほしい。」

2つの目標は達成された。

シーズンが進むにつれ、信頼が深まり雰囲気も良くなっていった。それにより、ハンソンが思い描いていた舞台裏の深部にまで、クルーのアクセスが許されたのだ。

クルーは、クラブハウスでふざけあう選手たちの姿を撮影した。遠征先では選手のあとを追った。ダイヤモンド&Co.は、ニューヨークでトーリとコーチたちの夕食についていった。モントリオールで行われたプライベートなチームのパーティーまで撮影した。

 

『10月までの長い道のり』の撮影クルー

『10月までの長い道のり』の撮影クルー:左から、音響監督のケン・ノーランド、プロデューサーのグレン・ダイヤモンド、ディレクターのマーク・ジョンソン、映像監督のラファエル・オルティス・グズマン(Photo courtesy of Glenn Diamond)

 

クルーとチームは、何とか共生できるようになった。

「我々は皆、友達になったので、より深くお互いを知ることができたんだ」オルティス・グズマンは語った。

新しい友人の費用で遊びまわるということではなく、ホテルの部屋の鍵を隠してふざけ合ったり、トイレについていってからかったり、注目を浴びで怒ったフリをしたりしていたのだ。

「僕がいつもやってたことは、『撮影はダメ!撮影はダメ!』と叫ぶことだった。それがクルーに対する挨拶だったんだよ」と語ったのは、82年のブレーブスのリリーフ投手、ジーン・ガーバーだ。

「開幕13連勝の記録を打ち立てたから、チームはクルーを快く受け入れたんだ。もし13連敗スタートだったら、また違っていたかもしれない」ダイヤモンドは述べた。

 

 

「チームが連勝したことで、我々の関係性のトーンが決まった。」

ガーバーは、より率直な理由を述べた。

「クルーはほとんどの時間、我々と一緒にいた。そんなものだと思ってたよ。我々は彼らに囲まれるんだってね。」

しかし何よりも、チームはダイヤモンドの人格とプロ根性を信頼していたと、トーリと選手たちは語った。

「グレン(・ダイヤモンド)は、誰の邪魔もせず、仕事を完璧にこなした。何も要求しないし、何かが必要だという素振りも見せなかった」トーリは語った。

かわかわれようと、あだ名をつけられようと、どんちゃん騒ぎが起きても、ダイヤモンドはそれを良い兆候だと思った。

「選手たちがSワードを使わなくなったら、心配になるよ。彼らは毎日使ってたからね。」ダイヤモンドは述べた。

第7話へつづく)

Jason Foster

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Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.