【第2話】MLBドキュメンタリー番組『10月までの長い道のり』制作秘話

Jason Foster

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1981年の野球シーズンが終了して数週間後のランチミーティングで、ターナースポーツの取締役、テリー・ハンソンとロバート・ウスラーに対し、ターナーはこう告げた。

「我々はブレーブスの特別番組を作るべきだ。球団を経営している我々は何でもできるはずだ。君たちはどう思う?」

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魅力的なアイデアだった。

「何時間の番組かな?」ウスラーは尋ねた。

「4時間だよ」ターナーは答えた。

ブレーブスの試合が延長になったり、雨で中断したりしない限り、4時間のテレビ番組などWTBSで放送したことはなかった。

「一瞬言葉に詰まったけど、こう言ったんだ。『すごいね。長時間の特別番組になる。でも、できると思うよ』」ハンソンは述べた。

ターナーが望んでいたものは、良質のエンターテイメントだった。ターナーから内容の詳細を任されたウスラーとハンソンは、野球シーズンの舞台裏に焦点を当てるのと同時に、全チームのファンに向けてブレーブスをアピールするという番組概要をまとめた。

選手が1日をどう過ごしているのか?遠征先では何をするのか?チームミーティングで何が話されているのか?

「野球選手のルーティーンを公開するのが私の目的だった」ハンソンは語った。

ブレーブスは強豪チームではなかったが、それは問題ではなかった。チームのシーズン成績は二の次で、主に野球の舞台裏に焦点を当てた、長年にわたって楽しめるドキュメンタリー番組を目指していた。

「他のチームのファンでも、ブレーブスをひいきのチームに置き換えて楽しめるような番組にしたかった」ハンソンは語った。

1982年、ターナーは監督に、カリスマがあり時に気性が激しいジョー・トーリを迎え、スーパースター候補筆頭のデール・マーフィーやボブ・ホーナーのような若手選手の育成に力を入れた。

どんなに楽観的に考えても、ブレーブスの長年の評判を振り払うには多くの時間がかかると思われた。

「ブレーブスは、どのチームと比べても人気がなかった」長年のエース、フィル・ニークロは述べた。

野球チームとしてのメリットはなかったとしても、ブレーブスは1982年、メジャーリーグの実態に迫るドキュメンタリー番組で、主役を演じることになった。

ハンソンは、何か特別なことができないか可能性を見出し、特権を利用して文字通りドアを開いた。トーリがチームに加わったことで、ハンソンの熱意は高まっていった。

「ジョー・トーリが加わったことは、まさしくプレゼントだった。彼は、メディア向きの人物だからね。インタビューの受け答えも素晴らしいし、マスコミ受けも良い。ファンからも愛されてる」ハンソンは語った。

トーリは、チームに加入早々、熱意を示した。

「番組に参加することは義務ではなかったが、協力を求められたので喜んで参加したんだ。ブレーブスに来て1年目だったので、そんな機会をもらえてうれしかったよ」トーリは語った。

ユニークな野球番組制作のための材料はそろったが、ハンソンを悩ませたのはこのプロジェクトにかかる膨大な金額の問題であった。

「まず私がテッド(・ターナー)に聞いたことは、予算はいくらか、ということだった。でも、彼が『いくらでも良い』と言うので、番組内の何かのコーナーをカットする必要はなかったんだ」

第3話へつづく)

Jason Foster

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Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.