【第2話】ダルビッシュ有、ワールドシリーズへの軌跡

Muneharu Uchino

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第1話は コチラ

 

野球選手にとって「投げたいのに投げられない」という状況は、きっと苦しい時間だろう。

テキサス・レンジャースのダルビッシュはメジャー4年目の2015年3月に、トミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)を受けた。
当時、28歳だった。

トミー・ジョン手術を受ける投手として、28歳という年齢はかなり高齢だ。
若い投手が受けるよりも、リスクは高いと言われる。
最悪の場合、もうマウンドに戻ってこれない可能性もある。

手術前日の3月16日、ダルビッシュは自身のブログにこう綴った。


この手術は100パーセント帰ってこられるわけではありません。
帰ってこられない可能性もあるのです。
ただ強がりではなく不安も怖さもありません。
20歳の時に決めた事があります。
「いつ終わってもいいようにどんな事にも妥協だけはしないでおこう。」です。
それを今まで1日たりとも欠かさず守ってきました。
なので今までの野球人生に悔いはないのです。
 

ダルビッシュ有公式ブログ『明日』

 


今年3月には、自身のYouTubeチャンネルで、手術前後に心境を話した動画も公開した。

 

 

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幸いにも、手術がダルビッシュの野球人生を終わらせることはなかった。
それどころか、一段とパワーアップしてマウンドに帰ってきた。

手術から1年2ヶ月後の2016年5月、ダルビッシュは1年9ヶ月振りにメジャーのマウンドに上がった。

リハビリ期間中のトレーニングで巨大化した肉体から放たれる速球は、常時90マイル中盤を超えた。
ブランクを感じさせないピッチングでレンジャーズの地区優勝に貢献し、メジャー5年目を終えた。

そして迎えたメジャー6年目の今年、ダルビッシュは自身初の開幕投手を務めた。

 

 

2012年にレンジャーズた結んだ6年契約のラストイヤーである今年、ダルビッシュは開幕からローテーションを守って投げ続けた。
7月には3年振り4度目となるオーススターにも選出。
先発投手として、メジャーリーグの第一線に戻ってきたことを印象付けた。

そのオールスターゲームの約3週間後、ダルビッシュの名前は全米のスポーツメディアを賑わせた。
トレードでロサンゼルス・ドジャースへの移籍が決まったのだ――。

第3話 につづく)

Muneharu Uchino