【第1話】MLBドキュメンタリー番組『10月までの長い道のり』制作秘話

Jason Foster

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1981年秋、テッド・ターナーは既に、様々なアイデアを成功に導いていた。

メディア界の大物ターナーは、アメリカズカップで優勝し、WTBS(テレビ局)を買収し,スーパーステーション事業(衛星を使ってケーブルテレビに自社の番組を供給する)に参入し、CNNを含むテレビ局を創業していた。

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彼は新たなアイデアを思い付く。CNNを開局するほどの大事業ではなかったが、1981年10月のランチミーティングでターナーが発表したことは、当時、非常に野心的なものであった。

その新しい大きなアイデアとは、1976年に買収した野球チーム、アトランタ・ブレーブスに関するテレビ番組をWTBSで制作し、衛星を使って全米の各家庭に放送することだった。

ターナーの特権とWTBSのリソースを総動員して、ブレーブスの知られざる局面に深く踏み込み制作された、このドキュメンタリー番組によって、視聴者はメジャーリーグ球団の典型的な1年間をうかがい知ることができた。

いかなる手段においても、前例のないことであった。

スポーツの舞台裏に踏み込んだ、HBO『Hard Knocks』などの番組が当たり前になる何十年も前に、1年を通したプロスポーツ選手の人間的な側面をファンが垣間見れる番組は、革新的なものだった。

WTBSが全国的に有名になっていったのとは裏腹に、ターナーの買収以降、ブレーブスはほぼ毎年ナショナルリーグで最下位を争うほど、魅力に欠けた球団になっていた。

それでも、野心家のビジネスマンで興行師のターナーは、市場にチャンスを見出し、部下にこのアイデアを押し進めるよう指示を出した。ターナーの大きな目標は、ブレーブスを全国のテレビ番組の商品にすることだった。WTBSを通して、ブレーブスを「アメリカのチーム」だと印象付けたかったのだ。

構想した当初は、普遍的で包括的な野球の番組を目指していたが、初回放送までに、メジャーリーグ史上まれに見る劇的なシーズンに焦点を当てたものになり、このプロジェクトは『10月までの長い道のり』として知られるようになった。

制作から35年が経った今、どうやってこの番組が制作されたのか、振り返ってみたい。

第2話につづく)

原文:The untold story of 'It's a Long Way to October,' a groundbreaking, forgotten baseball documentary

Jason Foster

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Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.