田中将大の女房役、24歳サンチェスの成長

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優れた救済の物語は、いつだって土からはじまる。ゲリー・サンチェスにとって、それは文字通りのことだった。

このニューヨーク・ヤンキースのキャッチャーは今季、多くの批判にさらされていた。彼の監督から、ヤンキースファンから、さらには対戦相手たちからも。批判の内容は、彼のバットに関することではない。サンチェスは今季、メジャー全体のキャッチャーでトップとなる33本塁打、90打点を記録した。

批判の対象となっていたのは、サンチェスの守備だ。彼がホームベースの後ろで怠惰だと感じる者もいれば、単に彼は素晴らしいキャッチャーになる能力がないと考えている者もいる。

いずれにせよ、日曜日のア・リーグ地区シリーズ第3戦、サンチェスはヤンキース投手陣の投球をことごとくブロックすることによって、自身への批判をもブロックした。

この試合の4回、ジェイソン・キプニスが三塁打を放った後にサンチェスは、ヤンキース先発の田中将大に徹底してスプリッターを要求した。田中のスプリッターはホームベースの僅か手前で、砂埃を巻き起こした。サンチェスはそのボールをブロックし続け、キプニスを三塁にとどめた。田中はピンチを脱し、7回無失点の快投を演じた。ヤンキースは7回裏にグレッグ・バードがソロホームランを放ち、シーズン終了の危機を免れる1-0の勝利を収めた。

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トッド・フレイジャーは7月後半からヤンキースの一員となったが、彼はサンチェスの守備のおけるアプローチの変化に気付いている。

「彼は自らボールに当たりにいっているように見える。ただ座って、ボールが来るのを待っている代わりにね」フレイジャーはスポーティングニュースに語った。「僕はキャッチャーではないけど、その代わり三塁線から違った角度で見れるんだ」

「彼はあの守備にかなり集中的に取り組んでいるよ。そして今日、彼は素晴らしい仕事をしたのさ」

サンチェスと田中は、お互いに絶大な信頼を示している。それはたとえば、大技アイアン・ロータスに挑むフィギュアスケートのペアや、防護ネットなしで空中ブランコに挑む曲芸コンビのような類いの信頼だ。サンチェスは自分が何をしていたか、明確に理解している。

「どれだけショートバウンドしようとも、僕はボールを止めにいくんだ」サンチェスは試合後、通訳を介して言った。「そして前にも言ったように、全てを止められるわけじゃない。でも今日は、かなり良い結果になったよ」

この日、サンチェスのショートバウンドをブロックする努力は、田中が降板した後も続いた。

ヤンキースにはメジャー屈指のクセ球を持つ投手が揃っており、この試合は彼らが立て続けにマウンドに上がった。田中のスプリッター、デビッド・ロバートソンのカーブ、そしてアロルディス・チャップマンの豪速球。

これらは全て、サンチェスの頭の中に入っている。ピッチャーたちも、これらの多様なボールをキャッチすることは簡単ではないと理解している。

「彼はエリートクラスのキャッチャーになる能力があることを見せているよ」ヤンキースのリリーフ投手、チャド・グリーンは言った。「でも以前に言っていたように、僕らはキャッチャーが簡単に捕球できるような投手陣ではない。たくさんの色んな投手がいる。シンカーボーラーがいて、豪速球を投げる投手がいて、素晴らしい変化球を投げる投手がいる」

「ときどき(サンチェスに対して)フェアではない批判があると思うね。彼は本当に難しいボールを投げる投手たちの球を受けているんだから」

サンチェスは今季、リーグ最多となる16個のパスボールを記録した。また『ベースボール・リファレンス』によると、彼は捕手として出場した104試合でDRS(守備防御点)がゼロだった。控え捕手のオースティン・ロマインは、67試合でDRSマイナス3を記録した。日曜日、サンチェスは4回の守備で鮮やかに、周囲の批判を封じ込んだ。

キャッチャーの守備力不足は、ヤンキースにとって何も新しいことではない。実際、長年ヤンキースの正捕手を務めたホルヘ・ポサダは10年間で、トップ5に入るパスボールを記録した。彼はまだ、通算でDRSマイナス60を記録し、これはキャッチャーとしてメジャーリーグ史上最低の数字である。

このポサダと共に、ヤンキースは4度ワールドシリーズを制した。ヤンキースは、サンチェスが同じような存在になってくれることを願っている。

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私は何かに反論したり、誰かを批判したりしたいわけではない。単純に、過去数ヶ月に渡りサンチェスに浴びせられてきた批判の数々— 特にヤンキース打線が不調だった7月と8月に— は、少しばかり言い過ぎだったのではないか、と言いたいのだ。

サンチェスはまだ成長途上の24歳だ。メジャーリーガーとして200試合をプレーした程度に過ぎない。

ヤンキースのショート、ディディ・グレゴリウスは批判を一蹴する。

「彼は僕らの正捕手だ」グレゴリウスは淡々と、そっけない笑みを浮かべて言った。「もちろん彼は努力しなくちゃいけない。彼には彼の仕事をしてもらいたい。それが彼が毎日マスクをかぶっている理由だ。彼はブロックすべきボールをブロックする。それだけだ」

1点差の投手戦となったこの試合、パスボールが致命的な失点につながりかねない、さらにはヤンキースのシーズンを終了させるかもしれない状況だったことを考えると、サンチェスの守備は極めて重要だった。

彼はたとえ批判を聞き流しても、自分の仕事を投げ出すことはしないのだ。