【最終話】ダルビッシュ有、ワールドシリーズへの軌跡

Muneharu Uchino

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第3話はコチラ

 

ダルビッシュはテキサス・レンジャーズ時代、2度プレーオフのマウンドに上がっている。

1度目はルーキーイヤーの2012年、ボルティモア・オリオールズとのワイルドカードゲーム。
大役を任されたダルビッシュは7回途中3失点と好投したが、試合には敗れた。

2度目は昨年、トロント・ブルージェイズとの地区シリーズ第2戦。
ダルビッシュは強力ブルージェイズ打線に4本塁打を打たれ、やはりレンジャーズは敗れた。

そして今年、ダルビッシュはまずアリゾナ・ダイヤモンドバックスとの地区シリーズ第3戦に先発した。
敵地チェイス・フィールドで、相手エースのザック・グリンキーとの投げ合いだった。

ドジャースが2連勝してシリーズ突破に王手をかけて迎えたこの試合、ダルビッシュは序盤からエンジン全開だった。
初回先頭打者を三球三振に仕留めると、今季45本塁打の主砲JD・マルティネスのバットを97マイルの速球でへし折った。
その後もダイヤモンドバックス打線に付け入る隙を与えず、5回途中まで13人連続アウトと快投を続けた。

 

 

ダルビッシュは6回に相手打者の頭部に死球をぶつけ降板したものの、ドジャースは3連勝でシリーズ突破。

昨年覇者シカゴ・カブスとのリーグ優勝決定シリーズに駒を進めた。

やはりドジャースが連勝して迎えた第3戦、ダルビッシュは敵地リグレー・フィールドのマウンドに上がった。

初回にソロホームランを浴びたものの、ダルビッシュは7回途中1失点とまたも好投。
打席では押し出し死球を選び、ガッツポーズする場面も見られた。
攻守に渡る活躍でドジャースを3連勝、そしてワールドシリーズに導いた。

明日、ダルビッシュはワールドシリーズ第3戦に先発する。

もしこのシリーズが第7戦までもつれた場合、ダルビッシュは第7戦にも先発する可能性が濃厚だ。
第6戦までに決着がつけば、おそらく明日が今年最後の登板になる。
そしてそれは、2012年にレンジャーズと結んだ6年契約で最後の登板になる。

ダルビッシュは今オフ、自身初のFAになる。
既に現地メディアでは、メジャー複数球団による大型契約での争奪戦が予想されている。

しかし今、先のことを考えるのは野暮というものだろう。

明日、ダルビッシュはワールドシリーズ第3戦に先発する。
舞台はかつて「あと一人で完全試合」の快投を演じたヒューストンだ。

野球選手にとって世界最高の大舞台で、ダルビッシュが投げる。
その勇姿を、この目に焼き付けたい。

(完)

Muneharu Uchino