「最後の4割打者」テッド・ウィリアムズのシーズン最終戦をプレイバック

Jason Foster

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編集メモ:1886年にセントルイスで創刊され、すぐに「ザ・バイブル・オブ・ベースボール(野球の聖典)」と呼ばれるようになったスポーティングニュースほど、アメリカで豊富な歴史を誇るスポーツ誌はない。毎週、私たちは過去のアーカイブを掘り下げ、アイコン的な過去のスター選手たち、そしてこのスポーツを国中に広めた素晴らしいジャーナリストたちを紹介していく。

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テッド・ウィリアムズは、史上最高の打者として名を馳せたかった。そして、それを成し遂げた。1941年シーズン、彼は野球界に、自身の打撃技術が図抜けていることを示した。主には、シーズンを通して打率4割を打ち続けたことによって。1923年以降、4割打者は誕生していなかった。シーズン最終盤を前に、スポーティングニュースは他の多くのメディアと共に、当時22歳のウィリアムズが打率4割を達成できるかどうかを見守っていた。もちろん、彼は打率.406でシーズンを終えた。1941年10月9日号のスポーティングニュースでライターのジャック・マラニーは、ウィリアムズが打率を4割に乗せたシーズン最終日について綴った。

偉大なるテッドが大爆発で打率.406

打率維持のために欠場も可能だったが、本人は拒否して出場

執筆者:ジャック・マラニー

ボストン・レッドソックスは2位に終わり、それ以上の結果は得られなかったが、シーズン最終週はどの週よりも面白かった。そして、最も面白かったのは9月28日の日曜日、アメリカン・リーグのシーズン最終日だった。その理由は、テディー・ウィリアムズだ!

オーナーのトム・ヨーキーからバットボーイ、クラブハウス係までチームのメンバー全員、ボストンの全野球ライター、そして敢えて言おう、ニューイングランドの全野球ファンが、テディーが打率4割以上でシーズンを終えると信じていた。

そして彼は、それをやってのけた。シーズン最終日のダブルヘッダーで8打数6安打を記録し、打率.4057でシーズンを終えたのだった。

シャイブ・パークでのダブルヘッダーが始まったとき、テディーは打率.3995だった。彼は直近4試合で打率を6厘以上落とし、7月24日以来初めて打率.400を下回っていた。

打率を.406に乗せたシーズン最終日の1週間前、彼はボストンを発ち、ワシントンでの3試合、そしてフィラデルフィアへの遠征に向かった。

ワシントンでの3試合で、彼は10打数2安打に終わった。ワシントンの球場はライトが広く、ウィリアムズには不利であった。

連休を挟んだ後、9月27日にフィラデルフィアでの試合を戦った。フィラデルフィア・アスレチックスのコニー・マック監督は、若きナックルボーラーのロジャー・ウルフをマウンドに送った。テディーは全打席でナックルボールと戦い、4打数1安打だった。その結果、打率は4割を下回った。

日曜日の朝、レッドソックス陣営は緊張していた。テディーは再び打率4割に乗せることができるだろうか? 力量をアピールしたい別の若手投手に苦戦するだろうか? もし打率4割に乗ったらその時点で試合を退くだろうか?

彼は全ての質問に答えたが、まずは最後の質問に答えた。たとえ最後の数打席で打率を.398に落とすことになるとしても、彼は試合に出ると言った。彼はそれを強く望んでおり、ジョー・クロニン監督も支持した。もっともジョーは、もしウィリアムズが欠場を望むならば、彼を試合に出さないつもりだった。しかしテッドは、それを望まなかった。

ダブルヘッダーの第1試合が始まってすぐ、誰もが安堵した。テディーは第1打席でシングルヒット、第2打席でライトフェンスを越えるホームランを放った。さらに2安打を放った後、5打席目にしてようやく凡退。その打席も、エラーで出塁した。記録は訂正されず、エラーのままだった。それは平凡な、よくあるエラーだった。

試合が終わった時点で、テッドの打率は4割を超えていた。もう何も心配はなかった。あと4回凡退しても彼はなお打率4割で、そして彼が4打席に立つ可能性は小さい。第2試合を最後まで終えるには、空が暗くなりすぎていた。

しかし、テッドはこのナイトゲーム最初の2打席でも2本のヒットを放った。2本目は、右中間への痛烈な二塁打だった。これで彼は、打率4割を充分に確定させた。

この日は、フィラデルフィアのファンが長年見てきた中でも最高の打撃エキシビションのひとつだった。ボストンのライターたちは後日、果たしてテッドは正当なヒットを打っていたのか、あるいはアスレチックスの投手たちが本当に彼を攻めていたのかどうか、尋ねられた。アスレチックスの投手たちは、テディーに敢えて大きく外れたボール球を投げたりはしなかった。彼らは普通に投げ、普通に打たれたのだ。

これまで数人の素晴らしい打者しか達成していない偉業を成し遂げたテディーは、新しいオモチャを手にした子供のように喜んだ。テディーがまだ5歳の少年だった1923年、ハリー・ハイルマンが達成して以来の4割打者となった。テッドはまた、史上最年少の4割打者にもなった。彼はまだ素晴らしい打者としてのキャリアを始めたばかりであると信じている人々がたくさんいる。

テッドと同じように、レッドソックスオーナーのトム・ヨーキーもまた喜んでいた。4割打者となったテッドが、4割を打てなかった場合よりも来年の年俸を多く要求できるという事実は、ヨーキーにとって問題ではなかった。ヨーキーはきっと、もしチームに4割打者が4人か5人いたら、その全員に相応しい年俸を与えるだろう。彼はそういうタイプのスポーツマンだったのだ。

原文:SN Throwback Thursday: Ted Williams surges on last day to finish at .406

翻訳:Muneharu Uchino


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Jason Foster joined The Sporting News in 2015 after stops at various news outlets where he held a variety of reporting and editing roles and covered just about every topic imaginable. He is a member of the Baseball Writers’ Association of America and a 1998 graduate of Appalachian State University.