日米球界を盛り上げるニッポン男児、大谷翔平と佐藤輝明

菅谷齊

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大谷翔平が大リーグで快速ホームランを打てば、日本では阪神のルーキー佐藤輝明が場外へ本塁打をかっ飛ばす。太平洋を挟んで大型ニッポン男児が話題を集めている。今年の野球はわくわくする――。

佐藤ゲット、大アーチでDAZN賞100万円

4月15日のナイター、広島戦。佐藤は甲子園球場のバックスクリーンに第5号を放り込んだ。

今シーズンから甲子園球場のバックスクリーンに本塁打を放つと、100万円の賞金が出る(バックスクリーン・ホームラン賞=DAZN)ことになっており、佐藤は勝利とともに臨時ボーナスをゲットしたのだった。

「いい追加点になったのでよかった」

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こんなコメントを残した。実は、佐藤が5本のホームランを打った試合は、すべて勝利。10勝一番乗りの好調阪神をしっかりと支え、各チームから「恐怖の6番打者」と完全マークの状態である。

太平洋を挟んでホームラン競演

野球ファンにとって14日はたまらない一日だった。

午前=大谷が4号本塁打を放つ
午後=佐藤が4号本塁打を放つ

テレビで両選手のアーチを見ることができたのである。大谷はフロリダでのロイヤルズ戦で現地13日。佐藤は地元の甲子園での初アーチだった。日米の時差によって朝と夜に日本選手のホームラン合戦が楽しめるわけで、これほどの楽しみはない。

193cm95kgの大谷、187cm94kgの佐藤。二人とも大きい。大谷はベンチでも大きさは、あのプーホールズにひけをとらないし、トラウトよりもかなり大きい。佐藤もベンチではひときわ目立つ。

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「頼もしい限り」とエンゼルスのマトン監督は大谷にぞっこんである。佐藤に対しては矢野監督が「まるで10年選手のよう。新人とは思えない」

大谷と佐藤、ともに初安打がホームラン

大谷と佐藤は同じようなペースで本塁打を放っている。

大谷

1号=4月2日 2号=4日 3号=9日 4号=13日(現地時間)

佐藤

1号=3月27日 2号=4月1日 3号=9日 4号=14日

大谷の1号は今季の“初安打”。佐藤の1号はプロ“初安打”である。二人の3号は“記念”がつく。

大谷は大リーグ通算50号の節目だった。達成スピードが半端ではない。262試合、997打数は、ヤンキース松井の329試合、1393打数をはるかにしのぐ。

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佐藤のは横浜スタジアムの右中間場外へ消えた。初の場外ホームランで、相手のDeNAベンチもスタンドもあっけにとられた。阪神の面々は「ほんとうに規格外だ」

佐藤は4号を打った相手は広島の昨年の新人王森下で、前回対戦したとこの2打席三振のリベンジを果たした。

本格二刀流でルースに挑む大谷

大谷は今年、フォームを修正して調子を取り戻した。3月末にコロナ予防のワクチンをうち「開幕のころは体調がおかしかった」ものの、その後は打ちまくっている。ファーストストライクから振りにいくところは自信の表れと見ていい。

地元メディアはオープン戦から大谷に興奮しており、今季を「感動的なロケットスタート」と報じた。

注目されたのは4日のホワイトソックス戦で「先発、2番・指名打者」で出場した試合。5回途中まで投げる一方、本塁打を放ったときは、先発投手が1番から7番までの打順で本塁打したのは90年ぶり、とさすがのデータを示した。

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メディアはベーブ・ルースとの比較を前提に報道する姿勢は明らかで、大谷の二刀流は今後も事あるごとに取り上げていくだろう。

「昭和の強者」を再現するスラッガー佐藤

一方の佐藤はストライクゾーンに来たらすべてフルスイングといった感じで、豪快そのもの。ホームランを量産するが、三振も多いが、今は「豪快な空振りが絵になる」と大評判である。

「ファンを呼ぶ三振」といえば、まず巨人の長嶋を思い出す。ヘルメットが飛ぶ姿にスタンドはやんやの喝さいだった。やはり巨人の4番を打ったハワイから来た日系二世のエンディ宮本は、空振りしてニコッとする笑顔で受けた。

佐藤は“昭和の強者”(つわもの)を思い出させる。スラッガーという古典的名称がぴったりする、この豪快三振スターは、久しぶりに表れた「木戸銭(入場料)を払って見たい選手」といっていい。

ヤクルト村上、巨人岡本とのホームラン争いは大きな見どころで、新人本塁打王も夢ではない。

大谷と佐藤の強打、豪打。今年の野球は朝から晩まで目が離せない。


「略歴」

菅谷 齊(すがや・ひとし)1943年、東京・港区生まれ、法大卒。共同通信で巨人、阪神、大リーグなどを担当。黒い霧事件、長嶋茂雄監督解任、江川卓巨人入団をはじめ、金田正一の400勝、王貞治の756本塁打、江夏豊のオールスター戦9連続三振などを取材。1984年ロサンゼルス五輪特派員。スポーツデータ部長、編集委員。野球殿堂選考代表幹事を務め、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。大沢啓二理事長時代の社団法人・全国野球振興会(プロ野球OBクラブ)事務局長。ビジネススクールのマスコミ講師などを歴任。法政二高が甲子園夏春連覇した時の野球部員。同期に元巨人の柴田勲、後輩に日本人初の大リーガー村上雅則ら。現在は共同通信社友、東京運動記者クラブ会友、日本記者クラブ会員、東京プロ野球記者OBクラブ会長。

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菅谷齊(すがや・ひとし)1943年、東京・港区生まれ、法大卒。共同通信で巨人、阪神、大リーグなどを担当。1984年ロサンゼルス五輪特派員。スポーツデータ部長、編集委員。野球殿堂選考代表幹事を務め三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。大沢啓二理事長時代の社団・法人野球振興会(プロ野球OBクラブ)事務局長。ビジネススクールのマスコミ講師などを歴任。法政二高が甲子園夏春連覇した時の野球部員。同期に元巨人の柴田勲、後輩に日本人初の大リーガー村上雅則ら。現在は共同通信社友、日本記者クラブ会員、東京プロ野球記者OBクラブ会長。著書「日本プロ野球の歴史」(大修館、B5版、410ページ)が2023年度ミズノスポーツライター優秀賞を受賞。